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休日部活

ゴールデンウィークは始まりましたがまずはこちらからになります。

 ゴールデンウィーク初日の朝。 真面目は普通の時間に起きて、登校するための準備をする。 今日は水泳部への参加のために学校へと向かう。 まだ本格的な水泳の練習は無いものの、1つ1つをこなしていくことによって、身体を鍛えていくのが部活動の醍醐味である。


 そして真面目は家に鍵をかけて出発する。 この時点で既に両親はどちらとも出社しているので、真面目が最後になるのだ。


 そして登校してすぐに水泳部の部室へと入ると、既に筋トレをしている駿河と数名の部員がいた。


「おはようございます。」

「おうおはよう! まだ集合時間には早いぞ!」

「は、はぁ。 ・・・あのその筋トレは・・・」

「自主連だ! 気にしないでくれたまえ!」


 そう言われても部室の中で筋トレをしてしまっていては気になってしまうものだ。 とりあえずは数あるロッカーの中から1つを自分の荷物入れにして、カーテンの奥へと入る。 ここが部室内で着替えられる場所で、主に女子(男子)が使うルールになっている。


 着替え終わったはいいものの、流石になにもしないのは良くないと思ったので、筋トレではなく部室の掃除をすることにした。

 そんなに使われている形跡がないのか、割りと部屋の中は綺麗になっていた。


「もしかして目黒先輩がやっているのかな?」

「呼んだかい?」


 部室の入り口の方を掃除していると、部室を開けた目黒がそこにはいた。


「うむ、来てくれたか目黒。 君も着替えて早速始めようじゃないか。」

「はいはい。 着替えたら行くから先に外でストレッチでもしててよ。」


 そうして部屋から駿河達を追い払ったので真面目もそれに続こうと思ったら、目黒にそれを止められる。


「一ノ瀬君。 ちょっとだけ待って貰えるかい?」

「はい? いいですけど。」

「申し訳ないね。 話し相手が欲しくてさ。」

「話し相手って・・・」


 別に自分でなくても良かったのではと思ったが、理由があるのか無いのか分からなかったので、これ以上は返さなかった。


「うちの水泳部は元々はあそこまで熱血では無かったんだよ。」

「熱血じゃなかったって・・・それじゃあ今の状態になったのは駿河先輩のお陰って事ですか?」

「凄いものだろ? 私が入部したての水泳部だってちゃんとしていたけれど、やる気をさらに上げたのは駿河がいたからなんだ。 でも周りが見えなくなることが多いから、それを私が拭っていったって状態さ。」

「そんな過去があったんですね・・・」

「まぁだから、もし君達の中で駿河のような熱血な生徒がいたら、影ながらに支えてやって欲しい。 私としては君に期待しているからね。」

「・・・あれ? そう言うのって普通2年の先輩に話しませんか? 次に部長などの候補が上がるのは在校生になるのなら。」

「あの駿河になんの疑問もなく付いていく連中の中にいると思うかい?」


 メンバーを思い返してみて、確かに無理だなと思った真面目であった。


「よし、みんな揃ったところでメニューを説明する。 まずはみんなで校内を二周する。 みんなで走る速度を合わせるため、慌てる必要は無いぞ! 一度休憩を取り次は縄跳びでのスタミナトレーニングになる! それが終われば部室にて水泳のコツについて教えていって、今日は終了となる! 本日はプールを使っての練習は出来ないが、来週からは近くの市民プールに許可を得て練習をさせてもらう。 なので次回からは学校指定の水着を持ってくるように! それでは行くぞ! 俺に付いてこい!」


 全体的な説明を終えるとすぐに走り出す駿河に、そのまま付いていく生徒と、追いかけるように付いていく生徒、そして真面目や目黒のようにややゆっくり発進する生徒の3グループに分かれたのだった。


「州! 点!」

「「水泳部!」」

「州! 点!」

「「水泳部!」」


 そんな掛け声と共に水泳部は校内を走る。 もちろん他の部活もやっているなかなので、意外と目には止まらないようだ。


「そういえば、夏の大会が、終わったら、その後の、水泳部の活動って、どうなるんですか?」


 真面目は走りながら隣にいる目黒に対してそんな質問を投げてみる。 水泳と言えば大抵は夏が多い。 つまり期間の無い冬の時期にはどうなるのかを聞いておきたかったのだ。


「もしも練習がないと思っているのならそれは大きな間違いだ。 むしろ冬に体力作りを行うことで夏にはより強くなるからな。」


 確かに夏だけが体力作りの本番ではない。 真面目の頭に浮かんだのは、中学時代にグラウンドで見た野球部の練習風景だった。 真冬の中でも一生懸命に練習をしている姿は、次の大会に向けての熱心さが伺えたものだ。


「まあ、そうは言っても冬場でやれることは限られているんだけどね。 その辺りも今後分かってくると思うよ。」


 目黒の説明に、真面目も今は分からないのだから仕方ないと、群衆に遅れないように走るのだった。


「よし! 運動を終えたら次は座学だ! 泳ぐと言ってもただ泳ぎをするだけではもちろん勝てない! 速さはもちろん、その泳ぎに対してどんな部分を今後鍛えていくかによっても、出れる部門は変わってくる! 今回は基本的な泳ぎ方の種類を比較していこうと思う! 心して聞くように! ただ聞いているだけだと悪いと思うので、糖分補給用の飴と飲み物も用意したので、是非とも摂取しながら聞いて欲しい!」


 そう言いながらホワイトボードにマグネットなどで座学を始めた駿河。 その説明の仕方も熱血譲りなのだが、それでも要所要所で分かりやすく伝えてくれている教え方である。 それを見た真面目は感心をしていた。


「ちゃんと引っ張っていける人材って凄いなぁ。」


 到底真似できそうにない思った真面目の隣で、目黒は優しく微笑むのみでそれ以上の事はなにも言わなかった。


「時間になってしまったようだ! 今日はここまでだ! 次は来週の月曜日だ! 授業終わりだとは思うが是非とも参加してくれ! それでは着替えてから解散だ!」


 駿河の言葉にみんなが一斉に着替えを行う。 そうして部室からみんなで帰ろうとした際に真面目は目黒に声をかけられる。


「一ノ瀬君。 これから予定はあるかい?」

「いえ、特にこれと言っては・・・」

「では少し手伝ってくれるかい? 備品や医療品が不足気味でね。」


 そう言われたので着替えた後に付いていくことにした。 着いたのは薬局だった。


「水泳部でも医療品は必要になるんですね。」

「軽い怪我程度用の物だけどな。 本命はこっちだったりする。」


 そう言って目黒が持ってきたのは段ボールだった。 中にはスポーツドリンクが大量に入っているものだった。


「こういうのって部費から出るんですか?」

「いや、こう言ったものは基本的には自腹だ。」

「え? それじゃあ今日出た飲み物や飴って言うのは・・・」

「勘違いしないで欲しいが、部費が出ていないわけではない。 部費の方は競泳水着のために使われているんだ。 それにちゃんと補給はしておかないと身体に支障が出るからな。」


 そして段ボールごとレジに通した後に真面目が持っていたかごの中に入れていた医療品も一緒に購入して、そのまま薬局を出る。 ちなみに段ボールの方を真面目が持っている。


「この後ってどこに運べばいいですか?」

「学校が近いから部室まで運んで貰おうかな。」


 目黒に言われたのでそのまま水泳部の部室へと運んだ。


「ありがとうね一ノ瀬君。 わざわざ付き合って貰っちゃって。」

「いいですよこれくらいなら。 また何かあったら力貸しますよ。」

「それは頼もしい限りだ。 折角だ。 お昼を奢ろうじゃないか。 これを手伝ってくれたお礼としてね。」

「あ、そ、そうですか? それならごちそうになります。」


 そう言って真面目は目黒についていくのだが、目黒の意外な事実を知ることになるとは思わなかったのだった。

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