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来週はいよいよ

 現国の小テストというちょっとしたイベントを終えた真面目達及びクラスメイトは何かから解放された気分になっていた。 とはいえ小テストなだけあってある程度予習が出来ていればそこまで難しい内容でもなかった。 杞憂とまではいかなくても赤点を回避できるレベルだと分かったので安堵しているのだ。


 そんなわけで現国が終わったお昼休みはどこか空気が澄んでいるように感じた。


「なんか、みんな大袈裟じゃない? 小テストが終わったくらいで。」

「そんなに喜んでもなにも出ない。 分かってはいるんだろうけど喜びが勝ってる感じが出てる。」


 そんなことを言う岬に真面目はなんというか、現金だとしか思えないような言い方だなぁと思った。


「それにほら、来週は大型連休だし。」


 それを言われて確かにと頷いた。 自分達がこのような身体になって初めてとも言える大型連休。 何だかんだで学校がないのだから喜ばないわけもない。


「一ノ瀬君は去年までGWはなにしてたの?」

「元々インドア派だからねぇ。 惰眠を貪ってた・・・って言い方は良くないけど、とにかく漫画読んだりゲームしたりしてたなぁ。 友達と遊ぶこともほとんど無かったし。」

「一ノ瀬君、ぼっち?」

「その言い方は傷付くけど・・・そこまで賑やかなのは好きじゃなかったかも。」


 今までの過去を振り返って思った答えがそれだった。 改めて言ってみて少し落ち込んだが、実際にそうだったのでなんとも言えないのであった。


「なら今年から楽しもうよ。」

「え?」

「花の高校生なんだよ? 楽しまなきゃ損でしょ。」

「それはそうかもだけど。」


 岬にそう言われるも真面目は、正直自分が誰かとワイワイやっている姿を想像できなかった。 したことがそもそもないのでそう言う結果になるのかもしれないが。


「でも行く当て何てあるの?」

「レジャー施設ならいくらでもある。 それこそ遠くに行けば尚更。」

「確かに近くで遊ぶよりはその方が普通か。」

「でしょ? だから得流達も呼ぼうと思う。 みんなで行った方が思い出になるし。」


 岬の言うこと一つ一つに正しいという想いが入っている気がした真面目は、その意見に賛成していた。


「まあそれを決めるのは今じゃないんだけど。」

「だよね。」


 結局2人はそのまま次の授業の準備をしてから席に座り直したのだった。


「そりゃ遊ぶに決まってんだろ。 GWだぜ? ゴールデンウィーク。」


 お昼時にそんなことを話したら隆起は滅茶苦茶乗り気になっていた。 ちなみに今いるのは屋上前の階段だ。 屋上は入れないが、その前の踊り場に少しだけ空間があり、そこで真面目と隆起はそこに目を付けて2人で昼食を取っていた。


「遊ぶにしたって、どこに行くとか考えてる?」

「そりゃ勿論遊ぶといやぁ遊園地だろ? あとは水族館とかもいいよな。」

「へぇ。 なんでまた?」

「だってよぉ、綺麗な水族館なら色んなものが見えるだろ? 大きな魚然り、女子の服装然り。」

「今は女子は僕らの方だよ。」


 半分くらい自分の欲望が混じっているのを確認しながら真面目は隆起の事を見ながらため息を付きながら自分の持ってきた弁当を食べる。


「テストも一段落したしよ。 次のテストまで期間もあるから気晴らしもかねてよ。」

「そんなこと言って大丈夫? 小テストとは勉強する範囲全然違うんだからね? 油断だけはしないでよ?」

「心配すんなって。 俺だって馬鹿じゃ無いんだからよ。」


 それが油断なんだけどと思いながらも、陽気になっている隆起に、そんな野暮でもないことばをさすのはよくないと思った真面目であった。


「ゴールデンウィークねぇ・・・」


 授業を聞きながらもポツリと真面目は呟いた。 今までそんなことはしてこなかったし、なにより中学生時代にはまともに友人を作れた記憶がなかったような気がした。


 別にこれは真面目がいじめられていたとか、中二病を発していて周りから距離を置かれていたわけではない。 単純に真面目は人付き合いが苦手だったのだ。


 高校になって身なりも変わったため真面目の中でも色々と変わるために動いていたのだ。


 そして今回の大型連休の事だ。 去年までの自分ならばほとんど家に出ることは無かっただろう。 それでも両親とはどこかに遊び行ったりはしていたので、完全に籠っていたわけではないが。


「では次の説明を・・・一ノ瀬、読んで貰えるか?」

「・・・へ? あ、はい!」


 真面目は先生に指名をされたが、どこをやっているのかはぼんやりしていても分かっていたので、授業を止めること無く進ませることが出来た。


「・・・となり、江戸時代の始まりと言われています。」

「よろしい。 そう、この時代の流れとしては・・・」

「・・・はぁ、危なかった・・・」


 真面目は頭を振って頭を切り替える。 流石に浮かれすぎだと反省した。 それで勉強を疎かにするのは良くない。 真面目は一度授業に集中するのだった。


「それでは授業はここまでにします。」

「起立、礼。」


 そうして授業が終わった後で真面目は顔を机に乗せるのだった。


「へぁ~・・・」

「お疲れ様。 大丈夫だった?」

「うん。 ちょっと自分らしくなかったなって思ってさ。 変な空気になってなかった?」

「その辺りは問題なかったよ。」


 それなら良かったと真面目は思ったのだった。


「目黒先輩。 水泳部はゴールデンウィークの予定ってどうなっていますか?」


 水泳部へと足を運んだ真面目は隣で走っている目黒にそう質問を投げ掛けた。


「ふぅむ。 夏の大会前だからね。 正直気は抜けない状態かな。」

「あ、やっぱりゴールデンウィークでも部活はあるんですね。」

「とはいえそこが一番の鍛え時とも言えるんだよね。 ほらゴールデンウィークが過ぎてしまえば待っているのは中間試験だから。」

「あぁ。 その間は部活が出来ないって事ですもんね。」

「その通り。 それにうちの部長は才色兼備ではないからな。」

「え? もしかして・・・」

「あれで脳筋でなければ私も苦労はしなかったさ。」


 どうやら駿河は見た目どおりの男、いや女のようだ。


「そう言うわけだからゴールデンウィークは確かに部活はあるが、数日はちゃんと予定を空けるつもりだ。 そうでなければあの脳筋は止まらないだろうからな。」


 目黒も駿河の事を思ってのことなのだろうと真面目は思った。 何だかんだで面倒見の良いお姉さん・・・いやお兄さんなのだろうと思った。


 そして部活から帰ってきて、自分の部屋に荷物を置いてからシャワーで汗を洗い流したらリビングへと入っていく。 夕飯は既に用意されている。 今日は豚と茄子の甘辛炒めのようだ。


「そうだ真面目。 母さんゴールデンウィークはお店の方が忙しくなるから、休みはゴールデンウィークの終わりの週末になるからね。」

「ん、分かった。 1日だけ?」

「いえ、2日貰えたわ。 進さんは?」

「奇遇だねこちらも最後の週末に貰ったんだ。 2日は貰えなかったが、夜からなら過ごすことが出来るだろう。」

「ふーん。」


 そうなってくるとあとは真面目の部活の問題になってくるなと思った。 今回のゴールデンウィークは始まりは金曜日からなので世間によってはかなり長めのゴールデンウィークだ。 学校としてもそんな状態で授業をしてもしょうがないということで、間の平日は午前授業になっていたりする。 休みと思っても複雑な気分になったりするのだ。


 そして夕飯を食べ終えた真面目はすぐさま部屋に戻り宿題を取り組んで、少しだけ漫画を読んでから寝ることにした。 色々と思うところはあるもののやはり代わり映えはそんなに変わらないのだと思いながら真面目は夢の世界に入ったのだった。

いよいよゴールデンウィークの話の始まりです。


とはいえまだすぐには入らないですが

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