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異文化喫茶 予行演習

 文化祭も迫るところ1週間。 どのクラスも文化祭の出し物をより良くするために必死になって飾り付けのための準備を行っている。


 それは真面目達のクラスも例外には漏れないが他のクラスよりは準備は整っている方だと思われる。 何故なら一番準備がかかるであろう調理は作り置きしやすいものを選んでいるため、そこまで慌てる必要もなく、飾り付けも概ね完成している。 衣装も既にネビュラが手配しているので、後は当日に向けて準備をするのみになっていた。


「準備は出来たけど、実際どうやってお客さんに提供するの?」


 不意にクラスメイトの1人がそう言ったので、みんなが顔を合わせる。


「そう言えばそうだ。 提供方法を確立しなければいけないかもしれないな。 誰か配膳経験がある人はいますか?」


 そう委員長が聞いて回った。


「・・・配膳方法って、そんなに変わるものかな?」

「気分の問題じゃないかな? それに異文化喫茶だから、色んな国のやり方を考えないといけないんじゃない?」

「日本式で違和感があるのかな?」


 真面目と刃真里の会話の最中でもあーでもないこーでもないと会話は繰り広げられている。 そんな中で真面目は1人の男子生徒、岬がこちらに向かってきていることに気が付いた。


「あれ、浅倉さんは参加してこなかったの?」

「というよりも逃げてきた。 さすがにあの中にずっといるのは煩すぎる。」

「浅倉さんは静かな方が好きなのかい? 夏休みの時に行った出店の時はかなりハツラツだったように見えたけど。」

「そうでもない。 注文のために出向いて、聞いてそれを伝えて、出来た注文を運ぶだけだった。 だから出来たこと。」

「愛想笑いでも通るは通るからねぇ。 でももう少し笑えるようになってもいいと思うんだけどね浅倉さんは。」

「一ノ瀬君。 それは私が無愛想だって言いたいの?」

「まあまあ。 お店自体は盛況だったんだから良かったじゃない。」


 そんな会話をしていると、何人かが真面目達を見ているのを確認できた。

「ねぇ。 3人は配膳経験があるの?」

「え、ま、まあ。」

「それなら一緒に協力してくれない? どんな感じでやっていたのかだけでも教えてくれればいいからさ。」


 どうやら全面的にやって欲しいわけでは無さそうなので、真面目達も協力をすることにした。


「それじゃあお客さんが入ってくるところから。」


 そして改めて接客のしかたを確立させるために、配膳係になっているクラスメイトの為に、練習をすることにした。


「それじゃあ入るぜ。」

「ウェルカムトゥ異文化喫茶!」


 そう配膳係が入ってきたクラスメイトに大きな声で挨拶をする。 するのだが、少し違和感もあるようにも感じた。


「うーん、英語にするなら英語のままにした方がいいんじゃない?」

「でもどうやって英語にするのか分からないんだよね。」

「喫茶店はカフェにするとして、異文化って英語で何て言うの?」

「今調べてみたらディファレントカルチャーだってさ。」

「そんな長いの言えないよ。 他になにかない?」

「とにかく異なるって英語が「ディファレント」だからどっち道英語は無理だよ。」

「お客さんを迎えるための挨拶を考えているのだが、なにかいい案は無いものか。」

「というかそんなにこだわった呼び方しなくてもいいのでは?」

「いや、こう言ったところで差をつけるのも悪くないんじゃないかな。」


 あれやこれやと意見を募っていく。


「メニューはどうする?」

「凝った名前にしてもしょうがないから、そのままでいこう。」

「なら説明はいるよな。 このクラスって誰が一番文字書くのうまいっけ?」


 メニュー表の方も着実に作られていく。 何だかんだであれよあれよと準備が着々と出来上がっていく。


「僕は多分本番は料理の方に移動することになるかも。 あ、でも生徒会の仕事もあるからそうも言ってられないのかも。」

「忙しくなりそう? 文化祭は。」

「見回りはあるだろうなって思ったりはしてるけどね。 文化祭は完全には楽しむことが出来ないかも。」

「仕事だと割り切るしかないよ。 ボクたちもそれなりに忙しくなりそうだけど。」

「料理もそうかもしれないけど、配膳する人も多くなるだろうからね。」

「役割分担は大事。 出来る出来ないじゃない。 やるしかないんだから。」


 経験者である3人でも前のようにいくとは限らないと思ってるし、なにより学生が中心になって行うのだから、至らない部分も絶対に出てくる。 文化祭なのだからと割り切ればそれでもいいのだろうが、せっかく楽しんでもらうのならば全力でなければという想いはみんな同じらしい。


「あ、そうそう。 ネビュラの家に服が揃ったって聞いたけど。」


 その言葉に等の本人であるネビュラはVサインを出していた。


「オフコース! イロイロナクニノミンゾクイショウヲトリソロエテミマシタ。 デスガサイズマデハアワセラレナカッタノデ、キラレナイヒトモイルカモシレマセン。」

「いやいや、用意してくれただけでもありがたいよ。 試着はまた別の日にして、今日はとにかく接客面を見ていこう。」


 そうしてまた授業が終わるまで試行錯誤を繰り返すのだった。


「そちらもクラスで動いているようですね。」


 日本舞踏クラブに顔を出した真面目は、皇にそのように言われた。


「もしかして聞こえてました?」

「この時期になると予行演習はおおくなりますからね 大体は予想通りの動きをするものです。 その音は違いますよ。」


 練習もしつつ現状把握をしているので、その辺りは手慣れている。


「予行演習はいくらやってもいいものです。 本番で活かされるのがどのくらいなのかはその時々で変わりますからね。」

「今の練習だって、君達2人でやるからね。 しっかりと引き出せるように頑張って。 次はこの動きに合わせてみようか。」

「はい!」


 そうして日本舞踏クラブでの練習も終えて、今日という日が終わる。 文化祭までは後少し。 学校中が文化祭に向けて動いていき


 そしていよいよ文化祭当日を迎えるのだった。

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