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学校行事

今回で授業前の話は区切りになります。


 真面目に新たな友人が出来た翌日。 いつも通りに朝起きて、母と朝食を食べて、いつもの時間に登校をすると、昨日と同じ様に、少年が脇道から登場してくる。 もう何度も同じ事を繰り返しているので、お互いに距離を取って挨拶を交わす。


「おはよう浅倉さん。」

「おはよう一ノ瀬君。 昨日は楽しんだ?」


 岬も昨日のことはあらかた聞いているので、その質問に真面目も答える。


「楽しかったよ。 話の通じる友人がいるって素晴らしいね。」

「それは良かった。」

「そっちも友達と話をしてきたんじゃないの?」

「まあね。」


 そう言って手で岬はVの字を作る。 岬の方でも楽しんでいたようで、真面目はそれに対してホッとしていた。


 そして学校について、自分達の教室に入ろうとした時


「おーい! 真面目!」


 呼ばれたので右を見ると、そこには手を振ってこちらに向かってくる隆起の姿があった。


「おはよう隆起君。 前までこんなに早かったっけ?」

「昨日はなんか寝付けなくてよ。 折角だから早く登校したんだよ。 お前もこの時間に来るのか。」

「まあね。 その方が落ち着けるし。」

「なるほどな。 ところで・・・」


 真面目と会話をしている最中に、岬の事が目に入った隆起は、昨日と同じ様に真面目の脇腹をつついてくる。


「俺よりも先に友人を作ってるなんて知らなかったぜ? しかも異性の。」

「まあ隠すつもりは無かったんだけどね。 いつかは会わせようと思ってたし。」


 脇腹をつつかれつつも真面目は岬について答えていった。


「というわけで紹介しておくよ。 こちらは浅倉 岬さん。 浅倉さん。 昨日友達になった、というか元の学校で友人だった、木山 隆起君。」

「よろしくな。 浅倉。」

「こちらこそよろしく、木山君。」

「んじゃ、俺は教室に戻るわ。 そいじゃあな。」


 そう言って手を振って自分の教室へと向かう隆起を見送りながら、真面目と岬も自分達の教室に入って、自分の席に座った。


「元気な人だった。」

「隆起君は昔からあんな感じだったからねぇ。 髪色とかまで変わってるのには驚いたけど。」

「私達は黒いまんまだもんね。」


 その辺りは人によってとしか言いようがなかった。 真面目と隆起だって元々の身体よりも全然違うものになっているし、成長度合いがまた違う。 これも原因は不明で、解明はされていない。


 それが生活の支障になるかと言われればそうではないので今となってはそれも古い考えの1つになっている。


 そしてクラスメイトも全員集まり、今回も体育館での集まりとなるので移動をする。 何度も通ってきた道なので、流石に皆順序よく行っていた。


「えー本日もお集まりいただきありがとうございます。 本日はこの学校での生活における行事、注意点、相談事についてのお話をさせていただきます。」


 先生の説明少しざわめきを出した後に、すぐに静寂に包まれる。


「まずは相談事について。 これは高校生になった皆様の為に、教員全員での支えを目指しております。 例えば進路のこと。 例えば家族でのこと。 自分一人で悩まずに、相談できる場所を私達は提供していく方針です。」


 学校とはそういう所だと分かっていてもなかなか相談にまで踏み出すことはそう簡単なことでもない。


「そしてもう1つ。 自分達の身体に少しでも異変を感じたり、違和感を感じた時はすぐに相談しに来て欲しいと言うことです。」


 その一言でみんなの注目が教壇の上に集まった。


「今のご時世は政治家の方々によって、以前に比べるとかなり安定した生活を送れていると思います。 ですが心身の変化というのは例え周りから変化がないように見えても、本人にとっては重要なことかもしれない。 そう言った場面に出くわす事が出来ずに、後悔をするよりは、より身近な人間でなくても、相談はしに来てください。 それが皆さんにとっても私達にとっても、より良い学校生活を送る為の一歩だと思います。」


 その言葉に静まり返りつつも、拍手が返された。


「長くなり申し訳ありません。 では続いては行事についてのお話をしましょう。」


 そう言ってプロジェクターが用意されて、そこにスケジュール表が映し出される。


「まずこの学校には大きく分けて3つの大型行事があります。 1つ目は梅雨前に行われる「体育祭」。 これは全学年でのクラス対抗となるため、上級生との交流が深まると思っております。」


 自分達の身体に変化が起きてからの、身体を競うイベントではあるが、実際はその辺りはある程度考慮されているとも補足が加わった。


 学年が上がればクラス替えが行われる為、敵だった生徒は味方になり、味方だった生徒は敵になるという状態が生まれる。 これにより更なる交流も望めるからだろう。


「次は秋に行われる文化祭。 毎年各クラスの出し物で数々のアイデアがこの文化祭に出されます。 なので皆さんも遠慮無くアイデアを出しあって貰いたいと思います。 勿論学校が許す範囲内で、ですが。」


 秋の学校の風物詩の文化祭。 クラスメイトの親睦が深まったその中で、どんな出し物が飛び出すのか生徒間は勿論、参加する保護者も楽しみにしている行事だ。 毎年かなりの人で大にぎわいらしい。


「そして最後に冬に向けて卒業生が様々な話をしに来てくれます。 大型行事と言えないのではと思うかもしれないですが、実際に性別が変わって生活をしてみて、想いや考え方が変わった生徒もいます。 そのような人達の貴重な経験や、触れ合いもあるので今後の進路について考えさせられると思います。」


 ただの経験談を語って貰うのではなく、その時の実体験が聞けるのは滅多に無い事でもあるだろ。 そう言ったものは何気に大事だ。


「そして我々からの注意点として、一時期は校内及び高校生での恋愛を禁止にしていた事もあったのは記憶に新しいかと思います。 昨今は緩和されてはいますが、それでも不純異性交流は禁止しております。 もしそのような行為が見られた、もしくは前兆がある場合それ相応の処罰が下ることを覚えておいて下さいね。」


 先生の一言に会場全体の空気が冷えたのを感じた。


「ではこれにて説明は以上となります。 明日明後日とお休みにはなりますが、来週からは授業も始まります。 準備はしっかりとしておきましょう。」


 そして集会も終わり教室に戻ると、机の上には1枚の紙が置かれていた。 しかもクラス全員の机にだ。 確認してみるとそれは時間割表だった。


「みんな目は通してくれたと思うが、来週から本格的に授業が始まる。 そのためにこの週末でに準備をしておくこと。 持ってくる科目も間違えないようにな。 本日は以上になる。」


 そして今日も午前中で解散になった。


「来週から本格的に始まるんだねぇ。」

「一ノ瀬君は今日も木山君と帰るの?」

「そうなるかもねぇ。 ・・・ん? 携帯が鳴った?」


 真面目が携帯の画面を見てみると、そこにはMEINの通知だった。 相手は隆起からのものだった。


「隆起君からだ。 ・・・あ、今日は用事があるみたいだから先に帰るってさ。」

「ふーん。 そうなんだ。 でもそれは私も同じなんだよね。」

「あ、そうなの? それじゃあ早めに帰らないといけないよね。 僕のことはいいから、早く帰った方が良くない?」

「それもそうかも。 それじゃあまたね一ノ瀬君。」

「うん。 それじゃあ。」


 そう言って教室を早々に出ていった。 そして真面目も教室を出て、昇降口へと向かい、真面目も家に帰ることにした。


 これまではなんだかんだと誰かと一緒に帰っていたので、急に一人で帰ることになると、急激に寂しさが増してくるものだ。


「なんだろう。 清々しい位に楽しいんじゃん。」


 ちょっとだけ嘲笑をしながら通学路を歩いている真面目。 それは夕飯時にまで引きずっていたようで、壱与にその事を見抜かれた。


「どうしたの真面目? 学校でなにかあった?」

「ん? あー・・・ 学校で友達が出来てさ。 ずっと一緒に帰っていただけに、一人で帰ってみたら寂しく感じちゃって。 そう思ったら笑えてきちゃって。」

「・・・なるほどねぇ。 良かったんじゃないかしら? 自分がそう思える友達が出来たって思えば。」


 確かにそうなのだろう。 肉体が変わろうが心は変わっていないので、そう思うのは必然的だったのかもしれない。 同じ様に話を聞いていた進もうんうんと頷いていた。


 お風呂にも大分慣れてきて、真面目は自分の部屋へと入り、貰った時間割を見ながら必要なものを確認する。 そして今週末の間に買い足しておかなければいけないものを確認していると、不意に携帯がなり始める。


「ん? 隆起君からかな?」


 MEINを開くと送り主は「浅倉」と書かれていた。


「浅倉さん? なんのようだろ?」

『こんばんは一ノ瀬君。 早速で申し訳無いんだけど、明日文具を買うのに付き合って欲しい。 男子らしい文具で授業を受けてみたいから。』


 そんなお誘いの通知だった。 確かに真面目も文具が欲しいと思っていたので好都合だ。


『いいよ。 場所はどうしようか』

『私の家の近くに文具屋がある。 そこで買い物をしよう。 10時に通学路の道で待って貰えれば迎えにいく。』

『分かった。 それじゃあまた明日。』

『うん。 また明日。』


 そうして、やりとりをして布団に入り寝ようとした時に、真面目はふと気が付いた。


(・・・あれ? もしかしてデートに誘われた?)と。

思った以上に話の文字数が増えましたw


まだ数話は違う話ですが、授業中の話も今後は書いていく予定です。


ここの時系列的にはまだ1週間位しか経ってないんですよね。

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