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話題とその相手は選ぶように

「よろしくお願いいたします。」

「よろしくお願いします。」


 男子も女子も(見た目は逆だが)まずは挨拶を交わすが、実際に言葉に出したのは真面目と隆起を含めて男子側は1人、女子側は2人ほどだった。 とはいえ男子も女子もそれぞれ10人ずついるので、あまり言葉では発しない人が多いのだろう。


「これ、会話が成り立つのか?」

「議題によるかもね。 僕が取ってくるよ。」


 そう言って真面目が動いて、先生から議題を貰ってくる。


「何が書かれていました?」


 青髪の少年が声をかけてきたので、真面目は貰ってきた封筒の中身を確認する。


「ええっと議題は・・・「自分にとってかけがえのないキャラクター」だって。」

「かけがえのないって・・・なんでもいいのか?」

「うーん。 好きなキャラクターでも、個性的なキャラクターでも、とにかく自分にとってのだから、どんな理由でもいいんじゃない?」


 真面目がそう言うとみんなが唸り始める。 多分自分の中で好きなキャラクターを語ることは出来るかもしれないが、それが相手に受け入れて貰えるかはまた別問題なのだろう。 実際真面目も好きなキャラクターはいるが、それが万人受けしないラノベタイトルだというのは明らかだった。


 どう切り出して行こうかと真面目は迷っていたが、そうこうしている間にも、なんだかんだで話は盛り上がっているように見えた。


「えー? あのキャラがいいのか? 言っちゃなんだが、もう少しいいキャラいたんじゃね?」

「いいじゃないの私は好きなんだから。 そっちこそキャラの容姿だけに目がいってるんじゃないの?」

「そんなわけないだろ!? これだから女子は・・・」


 仲良くする為の議題の筈なのに若干一触即発状態になっている。


「待って。 一旦冷静になろう。 今は交流を深める場面なんだから、そんなことで言い争いをするのは、相手の尊厳を無視することと一緒だよ。 好みの文句なんて垂れ流していたらキリがないから。 ね?」


 そうなる前に真面目は話を一旦区切らせる。 こんなところで切れ目が入るなど本末転倒もいいところ。 真面目はそれをいち早く悟り、話題を別の方向へと持っていこうと考えた。


「じゃあよぉ。 好みの話じゃなくて、なんでそのキャラが好きなのかを話してみねぇ? そのキャラに思い入れがあるなら、その分だけ語れるだろ?」


 真面目が止めたその次に女子側から意見が出る。 言葉にしたのは赤髪の芝生頭で、目元が厳つい少年だった。 元々女子だったことを考えると、結構強気な性格なのかもしれない。


「まぁ、そう言うことなら・・・」


 そう言ってその場の溜飲は収まった。


「あーそれ分かるかも。 なんていうか敵なのにものすごい憎くないって言うか。」

「そうそう。 敵としてただ戦うんじゃなくって、それ相応の理由があって対立してるんだから格好いいんだよ。」

「それなら僕はあの時に助けてくれたシーンが好きだなぁ。 どんな絶望的な状況でも必ず助けに来てくれる。 そんなシーンがさ。」

「主人公が倒されるのは、やっぱり見ててもあんまりいい感じにはならないからね。」


 そしてみんなも地雷を踏まないようにか、結構メジャーなキャラやアニメで話題として盛り上がっていく。 そしていつの間にか時間になったようで、壇上で鐘が鳴った。


「それでは皆さん、交流は深めたでしょうか。 明日もこの場で今後の学校生活についての説明と行事の説明を行います。 それでは皆さん、自分達の教室にお戻り下さい。」


 そうしてわらわらと入り口へと戻っていったが、その前に真面目は確認しておきたいことがあったので、はぐれる前に隆起と話す。


「そう言えば木山君はクラスはなん組なの?」

「俺か? 俺はD組だ。 それとちょっと気になったんだが、折角だから名前で呼び合わねぇか? ほら、こうして出会えたんだからよ。」

「うーん、そういうの苦手なんだけどなぁ。 でも分かったよ隆起君。」

「流石に呼び捨てまでは無いか。 ま、お前らしくていいや。 どうせ今日も午前終わりだろ? どうだ? 久々に語り合わないか?」

「そうだね。 こうして会えたし、色々と話したいよ。」

「決定だな。 それじゃ、終わったら正門で集合な。 また後でな。」


 そうして真面目と隆起は本当に分かれる。 教室に戻れば帰る生徒でごった返しになっていた。


「さてと、僕も帰ろうかな。」

「あ、一ノ瀬君。」


 帰ろうとした矢先に真面目は岬に止められる。 そこで真面目は考えた。


(あ、そう言えば隆起君と帰ることを知らないから言っておいた方がいいよね。 別に約束とかはしてないけど、内緒にしておくのも、なんだか気が引けるし。)


 そんなことを思いながら真面目は口を開いた。


「ごめん浅倉さん。 今日は僕、友達と帰るから、一緒には帰れないよ。」

「あ、そうなんだ。 実は私も同じことを言おうとしてたんだ。 私もあのレクリエーションで友達を見つけたから。」


 同じ理由だったことに驚いた真面目だったが、それならば逆に気を遣わなくて済みそうだと真面目は思った。


「あ、そう言えば浅倉さんって、趣味は何にしたの?」

「私? 私は道術関係で。」


 道術関係でどうやって交流を深めるのだろうと考えた真面目であったが、それこそ深く考えてはいけないんだなと考え直した。


「お待たせ。」

「おう。 待ってないぜ。」


 そんな隆起の軽口をクスリと笑って返す真面目。 例え見た目が変わっていようとも、中身が変わっていなければ楽なのだろう。


「しっかし中学の奴でお前が最初とはな。 運が良いって思うぜ俺は。」

「それはどうして?」

「だって話し相手で話が通じない奴よりは、分かる奴の方がいいだろ? それにお前なら分かってくれる部分もあるしな。」


 隆起は真面目の脇腹をウリウリと小突いていっている。 それを悪い感じはしなかった。


「で、さっきのあれ。 あのレクリエーションどうだったよ?」

「どう、て言うのは?」

「いやぁ、あれは議題が悪いと思わなかったか? というかあんなの好みや趣味嗜好なんて十人十色なんだから答えられる訳なくないかい? 途中から言いたいことも言えなくなっている感じだったしよ。」

「まあ・・・あれは女子もいたから・・・」

「そう! そこだよ! 別に交流を深めるのに女子は流石に必要なかったんじゃないか? そもそも俺達みたいなオタクが女子と一緒に喋るだけでも緊張するっての。」


 隆起の中でも色々と思うところがあったらしい。 実際に語りたいことは語れなかったのは真面目自身も思っていたことなので、敢えて否定はしなかった。


「ま、それなら心置きなく話の出来る場所へ行こうぜって事で、お前を誘ったんだけどな。 クラスは違うが喋れる相手がいるのはベクトルが違うからな。 これからよろしく頼むぜ。 真面目。」


 そう言って隆起は拳を突き出してくる。 それに呼応するように真面目も拳を突き出して、拳同士を合わせた。


「さて、折角だから移動しちゃおうぜ。」

「移動って何処にさ?」

「俺な、この学校に登校し始めた頃にな、家の近くにいい施設が出来たんだよ。」

「隆起君の家って言うと・・・」


 真面目が思い出すように記憶を手繰っていくと、隆起の家の近くはそんな大型施設は無かったように思えたが、なにか新しい施設でも出来たのだろうかと思っていた。


「でもそんな大型施設出来たなんて聞いたこと無いんだけど?」

「まあまあ。 とりあえず付いてこいって。 多分お前も気に入るだろうしよ。」


 そう言って隆起は歩いていく。 少しだけ疑問に思いつつも付いていく事にした。 別に悪いことをしに行くわけではないので問題ないかと真面目は思っただった。

こう言った会話を普通に出来る女子がいるだけでもテンションは爆上がりだと思います。

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