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とにかく迷う

 ビーステットハンティングを終えた次の日の朝は雨模様。 起きてもいい気分とは言えないが、夏休み前の3連休なので遅くに起きようが、外に出なければ問題ない。 朝御飯の匂いもしてきたので、身体を起こしてリビングに向かう。 外は雨で特に出掛ける予定はないので、そのまま入ってもおかしくはない。


「おはよう真面目。 随分と眠たそうじゃないか。」

「おはよう父さん。 母さんはもう行った?」

「ああ。 雨が酷くなる前にって、珍しくご飯には手を付けなかったよ。 父さんの準備が遅かったと言うこともあるけど。」

「え。 じゃあ母さんなにも食べずに行ったの?」

「流石に食べないと悪いと思ったのか、1人分のおにぎりを作ってから出ていったよ。 今頃どこかで食べてるんじゃないかな。」


 一ノ瀬家は家族で朝食を食べることが1つの日課となっているため、忙しいことも然ることながら、朝食を食べずに行く、と言うことはまずは無いのだ。


「雨かぁ。 それなら今日は家にいようかな。 濡れるのも嫌だし。」

「そうしなさい。 父さんも今日はどこにも出掛けないから。」

「月曜日も仕事?」

「本屋だからね。 仕入れは出来ないが整頓は出来るし、お客様はそう言った時にやってくるのさ。」


 2人で和朝食を食べながら会話を繰り広げて、そこから休日のワイドショーを見る。 そして天候に関係ないかのように、アイドルグループの1人が、テレビで水着のファッションショーを行っていた。


「あの人は成人済みだって考えると、なんかちょっと考えちゃうな。」

「アイドル業界と言うのも、このご時世は大変だろうね。」

「一番欲しい時代の人たちが性転換してるんだもの。 見た目以上に慎重になるのかもね。」


 そんな遠い存在のような話をしながら、テレビを見ていると、進がこんなことを聞き出した。


「ところで真面目はみんなで出掛けるための準備は出来ているのかい?」

「・・・今日はそれ考えないようにしてたのに・・・」


 進の問いに真面目はため息をつく。 みんなで出掛けるともなればそれ相応の準備はいるし、何より自分に見合った服装を選択しなければならない。 行く先々が多ければ多いほど、だ。


「一応明日か明後日辺りには下見と、いいものがあったら買おうかなとは思ってるけど。」

「存分に迷うといいさ。 父さん達の時代では出来なかった事だからね。」

「その言い方だと逆に気になるんだけど・・・」


 そうして部屋に戻りゲームに手を掛けて、真面目は昨日の夜から本格的になったハンティングをしながら、テレビでの事を考えていた。


「水着ねぇ・・・」


 これが男子だった場合は海パン1つで考えは終わっていたかもしれない。 だが、今は女子でしかも真面目には胸も大きいこともあって、それこそ生半可な水着ではどちらの意味でも食われてしまう。 女性用水着の種類が豊富なのは知っている。 だがいざ自分が着るとなるとどうするかがまた迷う。


「うーん・・・こんなことで昔は迷わなかったから余計に頭が回らないよ。」


 その考えのせいか、ゲーム自体にも身が入らなくなってきた。 まだ難易度としては低い部類だが、余計な被弾が増え始めてしまった。


 なんとか倒したものの、考えを取り除かなければいけないと考えて、ゲームを止めて一度自分のスマホで水着の情報を入れる。

 目に入る様々な水着の数々。 普通とはかけはなれた服装に真面目は自分が着ている想像をしてみる。


 まずはビキニタイプ。 色合い的に青系を好む真面目はシンプルな自分の水着姿を思い浮かべる。


「まあ、これが普通かもね。」


 次に見かけたのはフリルのついた物。 先程より胸周りの露出は控えめになっている。 だが逆にその圧倒的存在感を醸し出すのは間違いない。

 次に見かけたのは競泳用の水着だったが、流石に学校外でそれを着る予定はあまり無いように感じた。


 次に胸元を1つの布で巻いたような水着があった。 かなり胸元を上にあげているので強調がされやすく、なにより胸の下部分が見えている。 下はパレオで巻いているが、刺激的と言われればそれまでだろう。


 もちろんワンピース水着も見ておく。 真面目は変に冒険はしようとはしないで、あくまでも清楚な女子でいたいと思っている。


 その後からはすこしずつ布面積が狭くなっていくものが多くなっていった。 確かに気になるあの人へ、みたいな意気込みは分かるものの、周りから見ても異質、もとい好奇の目に晒されることだろう。 それ目当てと言う人もいなくはないだろうが。


 そして最後に見かけたのはマイクロビキニ


「・・・って流石にそれはないって。」


 自分のイメージとかけ離れすぎている物は取っ払って、とにかくある程度の目星はつけた。 なんだったら帽子や羽衣も考えているつもりである。


「まぁ、お披露目するのは当日の本番なんだろうけどね。」


 買ったところで見せる相手など限られている。 それまではしばしの間は考えないようにして、少しだけなにかを食べようとリビングに向かった。


「うん? 珍しいな。 今日は部屋にいるものだと思っていたが。」

「ちょっとお腹が空いてさ。」

「もう少しでお昼だから、まだ食べないで待っていなさい。」

「え? もうそんな時間だった?」


 外の雨のせいで暗かったこともあってか、時間の感覚がずれていた真面目は、時計を改めてみると、確かに昼前になっていた。


「お昼はサンドイッチでいいか?」

「冷蔵庫になにが入ってたっけ?」

「前に買ってきた残りを使おうと思ってな。 野菜もそろそろ危ないしな。」

「ああ、ほんとだ。 葉物野菜が冷蔵庫に入っていたから萎れ始めてるや。」

「レタスがあるなら、トマトとハムで十分だろ?」

「チーズもあるよ。 折角だから挟まない?」

「そのチーズは今晩使うから残しておいてくれ。」

「分かった。」


 そう言って真面目は6枚切りの食パンのうち2枚を取り出して、それぞれのパンにレタスとハム、トマトは輪切りにしたのを半分に切ってからパンの上に乗せる。 マヨネーズかドレッシングかはお好みである。


「いただきます。」

「いただきまーす。」


 そうして食パンを半分に折って、そのまま口に運ぶ。 かなり適当に作ったがこれも立派なサンドイッチである。


 そして食べ終えると真面目は眠たくなったので仮眠をとり、その後に再びビーハンを進めて(この時点でストーリーの通過点を1つ突破している)夕飯時にはり壱与が帰ってくる音がして、そろそろ夕食時かと部屋を出て、リビングへと入った。


「あれ? 母さんはお風呂?」

「そうだよ。 真面目、降りてきたならスープを作ってくれないか?」

「分かった。」


 そう言って台所に入った真面目は進がスパゲッティにしようとしているのが見えた。 寸胴が無いので、おそらく麺は半分に折ってからお湯に入れたのだろうと思った。 そしてフライパンにはミートソースが作られていた。


「ミートソースにするならバランス悪いから、ポトフみたいにするよ?」

「ああ、頼む。」


 そうして壱与が出てくる間に夕飯の準備が整ったので、そのまま席について家族揃って手を合わせて、食卓に並んでいる料理を食べ始めた。


「そうだ、母さん。 明日って買い物行く予定あるでしょ?」

「そうね。 海の日は私も出勤するから、明日しか買い物出来ないわね。」

「だったらついていくよ。 買いたいものもあるからさ。」

「あんたがそう言うのは珍しいわね。 夏休み、なにかあるんでしょ?」

「予定が満載だよ。 早めに行くなら言ってよね。」


 そう明日の予定を備え付けて、食事が終わり、テレビを少し見て、部屋に戻ってビーハンを眠くなるまで行う。


「明日で全部揃う・・・いや、揃わなくても良いのかな?」


 先はあまり長くはないものの、それでも出来る限りは揃えようと真面目は眠りにつく前に思ったのだった。

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