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落ちこぼれ仮聖女ですが、王国随一の魔道士に溺愛されました  作者: 六花心碧
本編

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23.4つの扉

 また研究室で魔法道具を作ったり研究の日々となり、すっかり私は日常に戻っていた。あれからティナ様と顔を合わせることもなく、平和に過ごしている。


 ナジェとはあの夜会の日以降、会っていない。王宮の会議に出かけたり、王太子殿下の視察に同行したりだとかでとても忙しいようだ。


 でも、それでちょうど良かったのかもしれない。あの日のお礼が言えてないのはちょっと気になるし会いたい気持ちもあるけれど、会ってもなんて言っていいのかわからない。



 まあ、こんなことがなくてもナジェは普段から神出鬼没で会いたいと思ったときに会える人ではないのだけれど。ハニカ様も『書類の決裁が……』と呟きながら仕事が滞って大変そうにしている姿をよく見かける。本当に自由な人だ。



 あの夜会の次の日に、レニから聞いた『ティナ様とは正式な婚約者でもなく拒否している』という話。あれを聞いた瞬間から、私は少し気持ちが舞い上がってしまっている。


 それならナジェのことを好きになってもいいのだろうか?あんな風に優しくしてくれるなら、私のこの気持ちを迷惑には思ったりしないかもしれない……なんて期待が膨らんでしまう。色々なことがいっぺんに起こって、気持ちがついていかないのだ。


 うん、今はとにかく仕事と研究に集中しよう。




 と、まあ、そんな日常を過ごしている私だったが、先日の夜会の一件で少し思ったことがある。


 “白い扉”


 あの扉をくぐった先は違う次元になる。それってつまり異世界への扉ってことだよね。


 今の空間とは違う場所に行けるってことは、もしかしたら私が元いた世界へ戻るための空間もあるんじゃないかって考えた。理論的には可能性がゼロではない……かもしれないもの。


 高度な魔法が使えるこの国だったら、それを可能にする術があるのではないだろうか。そもそも本当にこの世界に扉は4つだけしか存在しないの?


 考えれば考えるほど、多くの可能性が出てくるような気がして、私はレニに相談してみた。


「あ……そう言われてみたらそうかもね! うーん、考えたことなかったからわからないけど……そういえば昔、扉について研究していた有名な魔道士がいたような気がするけど、えーと名前なんて言ったかな」


 レニが思い出そうと唸っているところにハニカ様が通りかかった。


「あ、副所長! 昔、扉について研究していた魔道士がいましたよね」


「ええ、いましたね。それがどうしたのですか?」



 私たちは先ほどの話を伝えた。



「なるほど、元の世界に繋がる異空間……。それは考えつきませんでしたね。私の方でも少し調べてみましょう」


 なんとなく沈んだ顔つきで、その昔に扉の研究をしていた魔道士はゲルマーという名だったということ、そして前回の聖女様を召喚したのも彼だということを教えてくれたハニカ様はすぐに去って行ってしまった。


 何かあったのかな。


 彼のその様子に少し引っ掛かったけれど、特に思い当たることもなく、それ以上は何も分からない。


 釈然としない気持ちでいると、明るいレニの言葉が響いてきた。


「私も協力するよ!」


「うん、ありがとう」


 とにかく、自分でも扉について色々と調べてみよう。

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