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青春ラブコメなんて嘘っぱち  作者: ゆうゆう
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1話

俺の名前は七星悠。

今日から高校一年生だ。


今は入学式が終わって最初の授業、といっても最初だから軽くクラスで自己紹介をする程度だ。

みんなが順番に意気揚々と、これからの高校生活の夢を語ったり、自分のことを話している。

当然俺の番もやってくる。

緊張で汗が出てきた。


ここで突然だが俺の昔話を聞いてくれ。


俺は中学の時、漫画やラノベなどのサブカルチャーにどっぷりハマりこんでいた。

その影響でか、人とのコミュニケーションというものを蔑ろにしてしまった。

もちろん愛想が悪く、オタク趣味の俺なんかにいつまでも根気強く話しかけてくれるような人はいなかった。

こうして俺は中学3年間を誰ともろくに話さず、世間話ができるぐらいの友達すらいなかった。

でも当時の俺はそれでも現状に満足していた。

(誰とも話さなくたって生きていける)

(俺には漫画やラノベ、アニメがある)

そう思っていた。


ただその考えは中学3年生の後期に変わることになる。


俺の両親が死んだ。


交通事故だった。

それはあまりにもいきなりで突然の出来事だった。


俺が友達を必要としていなかったのは漫画やラノベの影響も大きいが両親が優しかったからだ。

俺が困っていたり、助けが必要なときは何も言わなくても助けてくれた。

家でもよく会話をするから孤独も感じなかった。

だが、両親が亡くなることで俺はとてつもない不安感と孤独感に襲われた。


普通だったら友達が心の支えになってくれるのだろう。

しかし中学3年間、ほぼ誰とも話さなかった俺にそんな友だちがいるはずもなく、葬式が終わってもそんな状態が続いた。

その後、葬式の手続きを終えた祖父母が快く俺を引き取ってくれた。

そうして俺は祖父母の家で暮らすことになった。

祖父母とも仲が良く、俺の不安感や孤独感は消え、数カ週間後ぐらいには完全にとはいかないが元の調子に戻ってきていた。


だが俺は今回の事を踏まえて一つ思ったことがある。


【友達が欲しい】

と。


俺は両親がいなくなったことで少し寂しさを感じていたのだろう。

漫画やラノベでは埋められない人との付き合い、友達の大切さに気づいたのだ。

だが今からキャラを変え、友達を作ろうとしても無理だ。

そう思い、俺は高校デビューをしようと心に決めた。


そして今、


ついに俺の番が来た。


実は前々から自己紹介の内容は決めていた。

自分でも思わず笑ってしまいそうなほどの自信作だ。緊張で舌を噛まないかだけが心配なことだ。

この自己紹介でみんなの興味を引いて友達をつくってやるぜ!

















終わった……

完全に俺の高校生活終わったよ………


なんだよ俺の自己紹介が終わった時のあの空気。

地獄そのものじゃねぇか。


最初に名前を名乗るぐらいまでは良かったよ。

みんな普通に笑顔だった。

でもよ、俺が「一発ギャグやりまーす」って言ってギャグやったあとの空気感よ。

ナニコレ?お通夜?

とでも言いそうなぐらいどんよりとした雰囲気だったよ?。

もう俺の後ろのやつの目とか凄かったね。「お前のせいで俺、どんな風に自己紹介すればいいんだよ」みたいな目で見られたよ。

そんなの逆に俺が聞きたいよ。

俺だって今からどうすればあの時をやり直せるか知りたいよ。


マジでどうすんだよ俺の高校生活。


これだと俺の中学時代の方がまだましだ。

相手にはされてなかったけど特に何か言われたりすることはなかった。

でも今回はこのままだときっといじめられコース入っちゃうよ?。

「お前つまんねーんだよ」とか「何か面白いことやってみろよ」とか不良たちに言われるような毎日を過ごす羽目になるぞ。


そんなのは嫌だ!しかも少なくとも少しは俺に原因があるのも嫌だ。

まてよ、今からなら滑って笑いを取るキャラとしてクラスに溶け込めるのではないか?。

いや無理だ、あの空気感では「お前つまんねーよ(笑)」というツッコミでは済まないレベルでみんなどうすればいいのかわからない顔をしていた。



もうどうしようもない失敗を初日で犯してしまった。

マヂ無理。帰ってマリカしよ……






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