プロローグ
高校一年生の春。
それは人生で最も夢と希望に満ち溢れている時と言っても過言ではないだろう。
新たな環境に新たな出会い、広がる自由。
そのどれもが輝かしい未来を連想させ、誰もが皆、つい夢と希望にあふれる学園生活をおくれると錯覚してしまう。
しかし、そんなものは嘘っぱちだ。
新たな環境はやがて慣れ親しんだいつもと変わらない場所へと変わり、新たな出会いもいずれはただのいつもと変わらない普通に仲の良い友人になるだけ。
広がる自由?高校生の自由なんてたかが知れてる。せいぜいバイトができるようになったり、移動範囲が少し広くなるぐらいだ、いずれは慣れてしまう。
結局の所、高校生になろうが中学より少し自由が増えただけで特に何が変わるわけでもないのだ。
何なら勉強が難しくなり、テストに赤点というものが出できたせいで勉強に時間を奪われ、自由な時間はむしろ減るかもしれない。
それなのに高校生という言葉に胸を膨らませ、今まで何もしてこなかった癖に希望に満ち溢れている新入生が後を絶たない。
まったく、愚かしいことだ。
えっ?何故俺がそんな高校に夢と希望に胸を膨らませている高校一年生を嫌っているかだって?そんなの簡単だ。
俺が高校に夢と希望を胸に膨らませていた高校一年生だったからだよ