ねぇ、どうして?
愛されたかった少年のお話。
親愛なるあなたへ。
これを読んでいるということは、僕はもう、あなたの隣にはいないのでしょう。
僕はずっと、あなたから逃げてばかりでした。学校もバイトも一緒だったから、辞めて引きこもるしかなくて。重く沈んだ空気を吸って吐く毎日でした。
それでも生きていられたのは、あなたのおかげでした。
ありがとう。
きっとあなたは今頃、どうして?って頭に疑問符が浮かんでいることでしょう。
この件について詳しく話すには、まず僕の親について話さなければいけません。
僕の親は、いわゆる毒親と言うやつでした。
父親は物理的な暴力でしたが、母親は精神的な暴力でした。拳ではなく言葉や態度で遠回しに攻撃してきました。拳の方が数倍もマシ、と言えるくらいでした。
父親と母親に暴力を振るわれる日々でしたが、時を重ねるうちに段々と、暴力は減っていきました。今思えば、2対1が1対1になっただけなんですけどね。そして、高校を境に父親は滅多に帰ってこなくなり、母親の暴力はエスカレートしていきました。
どうしてそんなこともできないの!?
どうしてこんなにも心配させるの!!
貴方を想っているだけなのに、どうして分かってくれないの……?
母親から放たれる心のない言葉に、泣くという態度に、僕は苛立ちを隠せなくなっていきました。
泣けばいいと思ってるのか、こうすれば罪悪感で改善すると思っているのか。馬鹿でしかない。
それでも懸命に生きました。笑って耐えました。笑顔で全てを隠しました。
自分だけが違うなんて、周りと比べて羨ましくなっていきました。でも僕は耐え続けました。
今日という時間に、依存していました。
辛く重く暗く、しんどいです。
今だから言えます。
僕はただ、愛されたかっただけなのに。
ずるいよ。