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大丈夫は魔法の言葉
「大丈夫」という言葉をよく使う女の子の物語
大丈夫は魔法の言葉。
辛いことも嫌なことも、この一言で吹き飛んでしまう。何言われても気にならないし、何も感じない。
彼氏と別れても、友達と喧嘩しても、親に殴られようとも、クラスメイトから無視されても、何とも思わない。
「死ね」とか「消えろ」とか、心のない文字も気にならない。
そもそも、気にしたところで何になるのか。大事な意見だからだの、見てくれているからだの、大切に思っているからだの、つらつらと思っていないことを言う人がいるが、そんなのは関係ない。他人事だから言えるんだ。
「折角意見をくれたんだから」
だからって何言ってもいいのか。人の傷つくことを言っていいのか。嫌な思いすると分かるはずなのに、言っていいのか。少し考えればわかるはずなのに。
「大丈夫」は、そんな悪意から守ってくれる。
「大丈夫」は、そんなものなかったことにしてくれる。
「大丈夫」は、魔法の言葉。
心を守るために必要なこと。自分を保つために必要なこと。
それが間違っていても、やめることはできない。
これは、私が私にかけた呪いなんだ。