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逃げた、とにかく必死に逃げた。
転生して犬の餌になるなんて、御免だ。
だが、現実は甘くは無かった。私は今、犬に体を押さえ付けられていた。
勘弁してくれ、私は美味しくないんだ。出来れば見逃して欲しい。
その願いが犬には一切通じるはずもなく、遠慮なく齧られた。
ガリッ
「ぎゃあああああああああくそ痛ぇ!」「ガッ!?ギャウ!?キャンキャン!」
あまりもの痛さ故か、犬は泣き叫びながら逃げていった。
「本当に酷い目にしか遭わないな、俺・・・」
そう言いながら体を起こす。すると、暗闇にキラキラ光るものが見えた。
犬の件もあり、警戒しながら近付いていく。
すると、そこには割れたガラスの破片が落ちていた。
恐らく酔っ払いが酒瓶でも割ったんだろう。だが、丁度良かった。
この世界に来てから自分の容姿を一切確認出来ていなかったんだ。
そう思い、ガラスの欠片に近付き自分の容姿を確認した。
「は・・・?」
そこに映っていたのは人では無かった。
肉質がとても良さそうな油ベトベトのベーコンだった。