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プロローグ
「いらっしゃいませー」
店員のいつもの挨拶を聞きながらコンビニへ入る。
残業を終え、くたびれた体を酷使しながら進む。
若い頃は多少の無茶をしても、問題は無かった。
だが、私ももう良い歳だ。年齢は既に40近い、言うなればおっさんだ。
それ故に自身の老後の事を考えると怖くて堪らなかったのだ。
駄目だな、こんな事を考えていると気が滅入ってしまう。
何か別の事を考えよう、えっと後何日働けば休みだったかな?
そんなどうでも良い事を考えながらお目当てのコーナーに向かう。
「これだよ、これ」
そう独り言を言いながらシュークリームを手に取る。
「この歳になってもデザートは止められないんだよな」
そう言いながら、シュークリームをじっと見ていた。
ファァァァァァァァァァァァァァァン!
随分とクラクションがうるさい車だな、そう思い振り返った。
振り返り、見たのが私の人生最後の光景になった。