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生・動

The Sky of Parts[33]

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

この物語は、軍事好きな筆者が作った育児モノ。


【!】『対話体小説』の読みにくさを軽減させる為、独自の「改行ルール」、「句点(くてん)ルール」を使っています。


『閣下。お呼びでしょうか。

 ――よろしいのですか? 天王寺アリスさんのそばを離れていて』


『天王寺先輩は、今は、眠っている。熱も下がっているよ。

 タケ。

 いろいろ考えてみたが……やはり、我が子を、彼女の手に渡す役は、僕自身だ。そう決めた』


『……御意のとおりに。

 実際に、その時がきましたら、真夜中だろうと構いませんのでお呼びください。

 この竹内イチロウも、そばで待機させていただきます。

 もちろん、閣下を侮辱(ぶじょく)するような行為ではなく、あっても使わなかった(そな)え――私は、期限切れで不用品になるのが望みです』


『……タケ』


『備蓄は、余剰(よじょう)なぐらいが理想だと言います。

 産科専門の者などに、すぐに連絡がつく態勢を整えておきます。同じく、期限切れで不用品になるものだとお考えください。

 ……どうしたんですか?

 閣下。

 世間は、あなたの事を、悪魔だ、外道(げどう)だと(たた)えているのに――私しかいないとはいえ、やめてください。父親になるのが怖いだけのエリオット・ジールゲンを見せないでください……先輩』


『僕は、休暇中だ。

 そうだな。

 タケ。今は、お前の大学の先輩の男だ。父親になる事を、不安に感じている――ただのエリオット・ジールゲンだ』


『先輩。私は、『その未来』には辿(たど)り着いていないので、よく分かりません。

 ただ、『今という未来』に連れてきたのは、先輩、あなただ。

 ……その事を、忘れないでください』


『もちろんだ、竹内イチロウ。

 必ず、お前に、絶対的な権力が築かれ描かれていく(うつつ)を、与えてやる』



* * * * *



「父上。あんまり、切りすぎないでよ!」


「お前が幼い頃から、前髪にしても、後ろの髪を整えるにしても、僕が切ってやっていたんだ。

 任せておけ」


「五歳ぐらいの時だっけ?

 オレは、もう切らないでって言ったのに、父上が、『もっと短い方がいい』って言って……無理やり切るから……あの(あと)から、髪を伸ばしたんだよ!」


「……そうだったのか。

 ルイーナ。

 なぜ、男の癖に、髪を伸ばしたいと言い出したのか、どうにも教えてくれなかったからな」


「もう、いろいろ分かっていたんだよ! オレにだって、こうしたい、ああしたいは、いっぱいあったんだ!

 無視すんなよ、うちの父親って思ってた。

 だから、復讐で、髪が長い息子になってやったんだ! ザマぁみろ、エリオット・ジールゲン!」


「――あはっはは。

 いいのか? ルイーナ。

 僕は、今でも、お前の髪の長さを自由に決める事ができる! それでも、反逆の()を示すか?」


「言っておくけどね、オレは、とっても強いよ!

 エルリーンと連合を組んで、父上に、イタズラで仕返しするから――その覚悟があるなら、やってみろ!

 ……あはは!」


「あははっは……誕生日にするのだったか? 世界の支配者さまになるのは、お前の十三歳の誕生日の日」


「父上。

 世界の代表って言い方にしてよ。

 うん。エルリーンとダノンさんが決めてくれた。オレが、本当の意味で、生まれ落ちれるように――だから、オレの誕生日なんだって」


「ルイーナ。

 本当の意味で、世界に生まれ落ちるがいい。

 僕の――エリオット・ジールゲンの子ではなくな」


「ううん。

 オレは、ずっと父上の子だよ。父上と母上の息子。それは、変わらないから」


「――そうか」


「うん!」



* * * * *



「分かった……やはり、結婚しなくて正解だった。エリオット。これは、すべてが完璧な応じ方か?」


「ああ。ありがとう。

 すべてが完璧な応じ方だよ。アリス」



* * * * *



「ルイ! 髪短い! 短い! だけど、身長は伸びた!」


「うん。

 エルリーン、どうかな? 父上には、まだ長いって言われたけど」


「いや。これぐらいでいいと思う。

 肩上だし!

 うわぁ、この髪の長さ丁度(ちょうど)いいな。きっとハイスクールの制服に合うって! ブレザー! ブレザーだぞっ。

 エンブレムはもちろん、ボタンがすでにカッコいい! (えり)の形が、あたし好みなんだ!

 あっ、男子は、長ズボンだけどいいか?」


「べ、別に、オレ自身は、半ズボンにこだわっているつもりはないよ。

 ……うちの両親、どっちも思い入れがあるみたいだから、親を立てて、自分で選ぶ時も半ズボンなだけ!

 っていうか……お坊ちゃん服だろうが、女装ぎりぎりのアイドル衣装だろうが、庶民スタイルだろうが、軍服だろうが、両親が渡してくるものは、全部、半ズボンだった……ははは」


「まあ、まあ。顔ピクピクさせながら、引きつった表情するなよ。

 ルイは、着せ替え人形にしたいぐらいに、親に愛されていたって事にしておけ。

 あー。

 あの歌、また聴きたいな。今日も、歌ってほしい!」


「昨日の歌、みんなの心に、ちゃんと届いたのかな?」


「いや。届いただろ! 絶対に!

 だってさ、ルイが歌ってから、世界のみなさんが、本気でルイを(たた)えてしまっているじゃないかっ。

 あ、あたしも、惚れ直した……お、思わず、素直にそう伝えてしまったぐらいに、よかったよ!」


「そっか……父上と母上は、目の前で聴いてくれていたのに、ただ、優しそうな表情を向けてくれただけで――感想は、言ってくれなかった。

 二人で、オレを抱きしめてくれただけ」


「十分な感想もらっているんじゃないか? ルイは、贅沢者だな」


「ねえ、エルリーン。今度、オレたちが世界の代表になる時に歌うのは、もっと、父上と母上を想ってもいいのかな……」


「ルイが、そうしたいなら、そうすればいいと思う。

 もう、誰かに遠慮して生きるな。ルイは、ルイとして生まれた、ただのルイなんだから」


「うん。エルリーン、ありがとう」



* * * * *



「……はい、竹内イチロウです……おいっ!

 何度、着信拒否設定したらいいと思っているんだ!

 いろんな奴の回線を無断で乗っ取って、私にプライベート音声通話してくるな!

 このまま、あんたが回線乗っ取りを続けると、そのうち竹内イチロウには、誰も音声通話してこれなくなるだろっ!

 ああ。

 いいだろ!

 重要な連絡なら、窓口を用意しているじゃないか。

 プライベートな方に、内容が完全に押し売りまがいの独裁演説……真夜中に、迷惑通話を何度もかけてくるから、着信拒否してるまでだ!

 しかも、あれだろ!

 夜中のやつ、自動音声!

 録音っ。

 自宅マンションのFAXに、無限ループ通信してきたのも、あんただろ!

 忙しすぎて、自宅になんて滅多に帰れないのに、FAXロール紙が、全部垂れ下がっているとか……『ヘビ、ヘビ、ヘビ』と書いて、何度も送信するな!

 紙の無駄づかいするな!

 パルプに謝れっ。

 は?

 ああ……そ、そっちは、一枚の紙をセロハンテープで貼りつけて、ぐるぐる回していただけ……エコロジー……言われてみれば、『ヘビ』という字が、まったく一緒の字の形だった気がする。

 って、小僧の提案なのかっ!

 父親として、ガキの夢をかなえてやらずに、責任持って企画を潰せ!

 (あと)さ、ギャンブル三昧の生活、いい加減にしてくれるか。

 とぼけるな!

 HN:Eという名で、軍が裏でやっている賭博(とばく)を使って、金巻き上げ過ぎだ!

 たしかに、あんたがいなくなった(あと)に、うぜぇって思った連中の社会的抹殺にはなっている! よく、あんなにうまく潰していくなと、感心させてもらった。

 だがな、軍の資金の方にもダメージがくるんだっ。

 この竹内イチロウの薬があれば、うぜぇ奴らなんて、いろいろな意味でどうにかできる。

 裏でこっそりな!

 ……ま、まあ、そうだ。

 最近、デスクワークが忙しくて、手が回っていなかったのは事実だ……か、感謝の言葉なんて……言ってやらんぞ!

 ああ、あんたに言ってやりたい事があった!

 『sagacity』バックアップの破壊コンプリートおめでとう!

 お子様ランチの白旗、捨てていいか?

 全部、ゴミ箱行きでいいな!

 捨てておくからなっ。

 バックアップ経路から、本体を攻撃してくるあんたの書類上繋がりない奥方様みたいなのがいると怖いので、ゴミ処理ご協力って事にしておいてやるよ!

 ……はあ。

 で、何の用ですか? 先輩。

 知ってくれていると思いますが、私、お宅の義理の娘の受け入れ関連の資料作りやらなんやらで、超忙しいんです。無駄話だったら、すぐに音声通話切りますよ。

 ……え?

 あ……はい、異存はございません。

 しかし、よろしいのですか?

 ああ……よろしいから、そうするんですよね……いつか、そういう話がくるのではないかと、竹内イチロウといたしましても、思っておりました。

 先輩。

 あなたの御心(おこころ)のままになるように、取り計らっておきます――」


【※:連絡】

 ここから最終話までの投稿スケジュールを「活動報告」に書いておきます。


 投稿前にチェックをしてくれているメンツとの都合調整結果のスケジュールです。

 大幅変更などあれば、再度「活動報告」を書きます。


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