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反乱組織の人々

The Sky of Parts[01]

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

この物語は、軍事好きな筆者が作った育児モノ。


Web上での読みやすさ優先で、適当に改行などをいれたりしてあります。


「ダノン! ジーン叔父さん! 軍師殿と連絡が取れなくなったって、本当!」


「エルリーン!

 勝手にダノンの部屋――作戦部屋に入って来るなって、何度も言われているだろうっ」


「ジーン叔父さんには聞いてないよ!

 あたしは、もう九つになったんだ! ダノン・イレンズをリーダーとするこの反乱組織で十分戦えるさ!

 叔父さんだって、作業着の延長みたいな格好しかしていないじゃないかっ! 無地の薄緑のシャツにズボンに、ニーパッド程度。

 軍師殿は、死んだ父さんからも、必ず護るように言われているんだ!

 だから、あたしも戦わせて!

 ダノンだって、まだ十七歳じゃないか。

 いくら、亡くなったミューリーさんの息子だからっていっても子供だよ。

 ミューリーさんの写し姿のつもりなのか、どこで買ってきたか知らないけど、青い軍服みたいなの着たってさ。

 リリンと食堂で話してたんだ。

 たしかにミューリーさんと同じで金髪だけど、ちょっとでも大人びて見せる為に、髪を少しだけ伸ばしてる。まだ不精ぶしょうひげを生やしてもさまになるような年頃じゃないから」


「エルリーンっ! ダノンに謝れ」


「ジーンさん。俺、気にしてない。

 エルリーンだって混乱してるんだと思う。エルリーンが、軍師殿を母親のように思っていたのは、ジーンさんが一番知ってるだろう。あんたの亡くなった兄さんが、慕情ぼじょうに近いものを軍師殿に感じていたのも――いいよ、何も言わなくて。

 ……エルリーン。

 隠す必要もないから言うよ。

 たしかに、軍師殿が潜伏されていたと思われる村が、軍によって壊滅させられた。

 逃げ出そうとした者も、すべて殺されたようで……なんの情報も得られないが――おそらく軍師殿だけは、生かされたまま連れていかれたのではないかと、現地に確認に行った者の感想だけが頼りの状態だ。

 今のところ、軍師殿――天王寺アリスさんが、どうなったかは分からない。

 最低限、公開処刑などの情報は流れてきてない。

 エリオット・ジールゲン軍を壊滅に追いやる作戦を、かなり危険を冒してまで、我々に提供して下さろうとしていたので……正直、護れなかったという思いを、俺も強く感じている」


「ダノン。あたし――」


「スカートをはいたりして、最近は、少しは女の子らしくなってきたね。

 エルリーン。

 君が、力を貸してくれるって言うのかい? こんな時だからこそ、余計に嬉しい。

 いつもは、毛先が可愛く丸まっている茶色髪が、絡まってしまっているようだけど、起きて身支度を済ませる前に、事を知って、ここに走り込んできたのかい?

 せっかく肩の下まで、髪を伸ばしたのに。

 やれやれ、お転婆さんだ。

 ありがとう。

 本当にエルリーンは、俺らの心強い味方だね。

 でも、ジーンさんの顔を見てごらん。

 叔父さん、とても心配しているよ。君のお父さんが亡くなって二年。まだまだ歳は追いつかないけど、ジーンさんの短く切りそろえた黄色い髪や、鍛えた肩のつくり。明らかに日焼けした顔の色を見ていると、本当に君のお父さんそっくりだよね。

 今は、分かってあげてほしい。

 ジーンさんの心配を。エルリーンのお父さんが、こんな顔していたら、きっと君は、その不安を真っ先に感じ取れるよね?」


「……ダノン。ごめん。ジーン叔父さんも」


「ありがとう。エルリーン。

 こういう時に、黙って何も言えなくなっちゃうのも、ジーンさんと君のお父さんは、本当に兄弟って感じだね。

 戦うだけが、俺らを助けたり、軍を倒す事に貢献するわけじゃないと思うから、台所仕事などで助けてほしいところだけど、エルリーンの志願は、リーダーの俺が、ちゃんと受け取っておくよ」


「ありがとう、ダノン。

 あたし、血気盛んだから、必ず戦闘要員の中でも一目置かれるようになるからね!

 ジーン叔父さんの文句は聞かないよ! じゃあね!」


「ま、待て、エルリーン!

 ダノン、おれはエルリーンが戦闘に参加するのは認めないぞっ」


「それは、父親代わりとして、彼女を上手に説得してくれ。

 勝手にいろいろ勉強してるらしいから、どうにかして。

 的への命中率がすごくて、天才なんじゃないかとか噂になってるっぽいから、早めに婚約者でも決めて、十歳になる前には嫁に行く先で修業させられるぐらいに、手はずを整えないと、手遅れになるかもしれないな」


「ぐ……」


「まあ。エルリーンのおかげで少しは、気分が落ち着いてきたな。

 さて……軍師殿からの作戦の提供がない状態で、これからどうやってエリオット・ジールゲンと戦っていくかだな。

 すでに、いくつか、預かっていたものはあったが……使い方に対する指示がなければ、どうにもならない。

 物資も、兵力も、致命的に足りない――」


↓旧:1話

https://ncode.syosetu.com/n0499ey/


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