表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

38/106

たがう、アリスとエリオット ~ つがう、小鳥と少女

The Sky of Parts[12]

■■■■■■■■■■■■■■■

この物語は、軍事好きな筆者が作った育児モノ。


Web上での読みやすさ優先で、適当に改行などをいれたりしてあります。


『閣下が、それでよいと仰るのなら、この竹内イチロウが、何か口を出す事ではないと思いますので。

 実行に移すのは、わたくしにお任せ下さい。

 ただ、念の為、リスクがあるという事は、ご承知願えますか?

 ……その……天王寺アリスさん。

 この前、診察に行った時に、哺乳瓶を机の上に置いて、最敬礼しているので、どうしたのかと聞いてみたら、ミルク以外で、できたらルイーナ様を育てたいとの事でした。

 妊娠中に使っていた薬は――妊婦というのは元々、身体を休める作用のあるホルモンが出やすい体質になるので、それを助長していただけです。

 身体に害があるものではなく、腹に宿る御子おこにも問題がないという自信がありました。

 思ったよりも悪阻つわりがひどかったり、高熱が出たり……途中からは、何をせずとも、体調が悪そうでしたが……まあ、それは今となっては、どうでもよい事ですね。

 今回、天王寺アリスさんに使う、足止め用の薬は、通常の状態の人間に使うのと同じものになります。

 閣下。

 彼女を通して、ルイーナ様のお身体に、薬が入る事態があるかもしれないという事です』


『タケが心配してくれている件は、うまくいっていないようなので、問題はないはずだ。

 だが、念の為、今から使うものは、即効性があるもので頼む。

 天王寺先輩が眠ったら、すぐにルイーナを引き離す。

 僕の妻になると言うまで、彼女が、その手でルイーナを抱きしめる事はないから、大丈夫だ。

 ……まあ、相当心乱れるだろうな。

 天王寺先輩の事だ。

 僕の正体を知ったら――簡単には、いい返事をしてくれないと思う。

 タケ。

 だからこそ、既成事実だと分からせる意味で、御披露目おひろめの件、予定通りに話を進めてくれ。

 ふん。

 あんなに強情に、僕のそばを去ると言うのなら、もう優しい顔をするのはやめる。

 僕が、エリオット・ジールゲンである事を、しっかり理解してもらわなければ。

 天王寺先輩は、僕の――世界の支配者の子を産み落としたんだ!

 今さら、どこへ行こうというのだっ。

 僕のそば以外で、生きる場などないと、分からせてやらないと。

 仲睦なかむつまじく、手を取りあって、僕の妻である天王寺先輩を、顔見世かおみせしたかったし、それは最後まで希望を持たせてもらうが……だが、どうしても嫌だと言うのなら……いいだろう!

 無理やり引っ張り出されるように、舞台にあげられ、何も隠せないような恥を受ける感じで、皆の目にさらされるといいっ。

 独裁者の妻になるというのが、どういう事なのか――心に刻むといいさっ』


『ご心痛のほど、お察し致します。

 天王寺アリスさんは、竹内イチロウにとっても、大学の先輩にあたりますが、直接の面識はありません。

 しかし、人物像は、それとなく知っています。

 ふう……。

 閣下への振る舞い――とても、夫に対して、妻が行うべき行動とは思えません。

 御二人が縁付えんづかれる事になると、私にとっても、彼女はあるじになりますので。

 まあ、閣下の今のお気持ちを知っていますので、大胆な言い方をさせて頂きます。

 ――この竹内イチロウが、仕えても良いと思うような閣下の奥様になって頂かないと。

 おや。

 閣下。

 口元を緩められて、楽しそうですね。

 アリス・ジールゲン様として迎えられた後の事を、お考えでしょうか?』


『ああ。

 タケの言う通りさ。

 天王寺先輩には、僕の妻として相応しくなってもらうつもりだ。

 知ってるか、タケ。

 彼女、ここを出て行って……僕のところを出て行って、バイト同然、食堂で働くつもりだったみたいだ。

 子供を背負ったまま、汗水たらして働くのが夢だとか言っていた。

 もう少しルイーナが大きくなって、保育園にでも預けられたら、やってみたいバイトがいくつもあるらしい。掛け持ちフリーターが夢だとか……冗談じゃないっ!

 何を言っているんだ!

 天王寺先輩の頭脳は、僕を超える戦略を立てられる!

 恐ろしいまでの天賦てんぷの才を持っているのに、日銭稼ぎで満足して暮らす、民間人になりたいなんてっ。

 意味が分からない!

 それに付き合わされるルイーナの身にもなってやってほしい!

 僕のそばにいれば、ルイーナは、このエリオット・ジールゲンの子としての待遇が約束されている。

 幼い頃から、多くの人間をかしずかせ、支配階級としての力を振るう事ができるんだっ。なんの問題があるっていうんだ。

 天王寺先輩は、間違っている。

 タケもそう思うだろ!

 だから、僕は、彼女を正しい道に導く。

 ルイーナの為にも。

 天から与えられた、その能力を、僕の下で最大限に活かして生きていくべきだ。

 『sagacity』だって、彼女――天王寺アリスを求めている。

 僕と手を取りあい、僕と想いを重ねて、絶えずいくさのデータを収集する為のいくさを起こしてもらわないと。

 天王寺先輩と僕が協力すれば、とても効率よく、『sagacity』を完成に導けるはず。

 ……ああ。

 そういえば知らないんだったな。

 天王寺先輩。

 彼女の食堂で働く話、自分の故郷に帰るつもりだったらしい。あそこ、もう、働く事ができないのにな!

 くくっ。

 こころよく彼女とルイーナを送り出してやろうか?

 ……故郷に辿たどり着いたところでへたり込む彼女を、後ろから抱きしめながら、言ってやろうか。

 あはははは!

 君の故郷を滅ぼしたのは、この僕だ――ってね……っ!

 ――誰だっ!』


『閣下……天王寺アリスです。

 ……本人が聞いていたようです……扉が少し開いていたようで。

 廊下を走り去る姿を、確かに目撃しました。

 彼女の部屋にも、鍵をかけていませんでしたね。如何いかがいたしましょうか?』


『あーあ。

 アリス姉さん、聞いちゃったんだ。

 ……まあ、説明するのも面倒だと思っていたから、丁度いい。

 どうせ、今日中に知る事になっていたんだ――タケ、とりあえず彼女の部屋の扉を閉めて、外から鍵をかってきてくれるか。

 先ほどの薬の話は、保留にする。

 おそらく何かで使ってもらう事になると思うが』


『御意のとおりに。

 エリオット・ジールゲン閣下の御心おこころのままになるように、取り計らっておきます――』



* * * * *



「よーし。

 お前たち、このエルリーン姉さんの指示に従って、雨漏りしてる箇所にバケツを置いていくんだ!

 素早くやらないと、床拭きの仕事が増えるだけだぞっ。

 ルイ!

 早くバケツ持って来いよ。

 お掃除・皿洗い班の中じゃ、お前が、あたしの次に年上なんで、副班長に任命してやったんだ。

 十一なんだから、チビどもに負けない働きをしろって。

 ルイが頑張れないなら、お料理手伝い班の副班長のノアに、ここの副班長兼任してもらってもいいんだぞっ。ノアだって、もうすぐ十一になるんだから。

 ……はあ。

 まったく。

 ルイは、相変わらず体力ないな……男なんだから、毎日腕立て伏せしろって言ってるだろ」


「エルリーンは、人使いが荒すぎるんだよ。

 ほら、みんな、一つずつバケツ持って。

 急ごう。

 ――早く終わらせないと、あそこの茶色髪の赤いスカートの姉さんを見てみて。雨だけじゃなくて、雷が落ちてくる。

 こわい、こわいだね!

 これ終わったら、ルイ兄ちゃんが、みんなにお歌を聴かせてやるから、ピンクのシャツ着た、肩より下に伸ばした髪揺らして威張る、小うるさいエルリーン姉さんに、何か言われた事は忘れてしまおう」


「聞こえてるぞ、黒い半ズボンに、水色シャツのやつ!

 あたしが、さらに髪伸ばしたの――ルイの方が、女の子に見えるとか言われたから……対抗じゃないぞ!

 明るい色の服や、フリフリ付きとか、少しばかり意識してないぞ!」


「はいはい。エルリーン。

 オレに、暗い色や青系の服以外は着るなって言ってきたりね。

 髪は、切らないよ。

 何度言われても、長いの気に入ってるから。

 それよりも、エルリーンも手を動かしてよ。

 雑巾っ!

 床の濡れてるところ、ちゃんと拭いて」


「今日も、ずいぶん楽しそうだな。エルリーンも、ルイも」


「あっ。

 ダノンさん、おかえりなさい」


「ダノン、おかえり。

 ジーン叔父さんも!

 無事で良かったよ。今回は、都の近くまで行って、他の反乱組織と取り引きって言ってたから……あたし、ちょっと心配してたんだ」


「エルリーン。心配してくれて、ありがとう。

 そうだ、ルイ!

 忙しくして悪いけど、また歌ってもらってもいいか?

 君の――Lunaの歌があるから、エリオット・ジールゲンと戦おうとしている者は、絶望の中でも戦意を失わずに済む。

 戦いの為の道具みたいにしてしまって、すまないが……」


「いや。

 それは、母上が希望してた事だって分かってるから、オレ、どんどん歌うよ。

 ダノンさん。

 他の反乱組織との繋がりが強められると、ついにこっちが切り込める事もあると思う。

 だから、オレ頑張る。

 Lunaこと、ルイーナに任せておいてよ!」


「ありがとう。

 ルイが、そう言ってくれると助かるよ」



* * * * *



「閣下。

 青い瞳の小鳥の歌声、反乱分子の連中に、大好評らしいです。

 先日、実際の録音を入手する事ができましたが、相変わらず、神の歌声でした。

 歌詞も……鼻で笑ってやりたくなるような、平和や希望を訴える、素晴らしいものです」


「『sagacity』をたぶらかす、悪魔の音吐おんとね。

 ……タケ。

 そろそろ頃合いじゃないかって、小鳥を、鳥カゴに放り込む計画の実行責任者が言っているんだ。

 もう一度、僕の方から確認してみるが――必要なものがあったら、すぐに用意してもらえるか」


「分かりました。

 ……念の為ですが、必ず、閣下のご確認のもとでお願いします。

 アウトソーシングは、有効に使うべきだと仰る閣下のご意見、もちろん理解しております。

 それ故に、今後の為にも、正しい使い方を検討したり、評価すべきだと考えます。

 この竹内イチロウが――医者のわたくしなどが、戦略について口を出す事自体……恐れ多いと思っておりますが」


「タケの心配、確かに受け取っておこう。

 だがな、昔、母さんが言っていた事、思い出したんだ。石橋は、叩き過ぎて壊すなってな。

 ふふ。

 僕は、非常に面白いと思うんだ――あの作戦。

 だから、多少時間はかかったが、とても評価している。

 くくっ。

 いい感じに残忍さのスパイスが癖になりそうな、そんな恋焦がれたくなるような深謀しんぼうなんだ。

 実行したら、どんな味の料理として提供されるのか――思わず楽しみになってしまうだろ!

 今回の結果が、タケを納得させられるようなものだったら、また使うつもりだ。

 アウトソーシング。

 面白いじゃないかっ。

 僕や『sagacity』じゃ、考えつかないような作戦が提供されるなんて」


「……竹内イチロウが申し上げると、不遜ふそんな発言なのは分かっておりますが、閣下が管轄して下さると仰って頂けるのなら――」


「では、問題ないな。

 これが成功したら、タケが大きな功績をあげたという事にもなるじゃないか。

 物は試しだ。

 ――試用期間で、成果がでないと判断したら、すぐに打ち切るよ」



* * * * *



「オレが思うだけかな……最近、やたらと自転車の動画流れてない?

 ……しかも、二人乗りのシチュエーション。

 食堂の大画面を見上げるたびに、自転車のCMばかりな気がする」


「言われてみれば、多い気もするわね。

 はい、ルイ君。

 紅茶入ったわよ。ミルク多めに入れておいたわ」


「ありがとう、リリンさん。

 リリンさんが注いでくれる紅茶、すごく美味しくて、歌の練習の後に、つい飲みたくなっちゃう」


「まあ、嬉しい!

 何度も言ってるけど、私、Lunaとして、ルイ君がデビューした頃からの大ファンなの!

 そんな憧れの画面の向こうのアイドルが、私の作るご飯や、注いだお茶を美味しいって言ってくれるなんて……ふふふ。ファン冥利に尽きるわ」


「オレは、そばにいるだけで、優しい雰囲気をくれるリリンさんが大好き。

 ふわっとしたワンピースに、いつもエプロンしてて、長い髪を一つに束ねてて……オレの母上とは違うって分かってるけど、本当にお母さんって印象。

 エルリーンと同じで茶色い毛なんだけど……勝手なイメージって思われるかもしれないけど、リリンさんのは栗毛って言いたくなっちゃう。なんか、可愛らしいリリンさんにぴったりって言うか、オレも、きっとリリンさんの大ファンなんだと思う!

 あ。

 そういえば……リリンさん。

 聞いちゃったんだよね。

 エルリーンから。

 食堂、今の時間は誰もいないけど……ちょっと小声で喋るね。あの、その。オレが、みんなが言う軍師殿――天王寺アリスの息子だって」


「うん……エルリーン。

 あの子、うっかり教えてくれちゃった……。

 しまったって顔で、急いで手で口を塞いでいたけど……でもね、私は、その事を誰にも言っていないわ。

 それから――嬉しかった!

 軍師殿は、いまだに助ける事ができていないけど、私が、軍の施設から助け出してもらえたのは、ルイ君のお母さんのおかげ。

 軍の施設を、たった一人で混乱に追い込んでくれたから。

 私の息子のノアは、おなかにいたから、一緒に逃げれたけど……軍師殿自身の息子さんは、施設内に取り残されたって聞いて……心が痛かったわ。

 その息子さんが、まさかLuna――ルイ君だったなんて!

 ダノンたちの話だと、軍での扱いは、相当辛いものだったみたいね。

 ごめんなさい。

 嫌な事を思い出させてしまっているかしら?

 ……ありがとう、ルイ君。

 優しい顔しながら、黙って、ゆっくりと首を横に振ってくれて。

 エルリーンからルイ君の話を聞いた時に、どうして自分があんなにもLunaにかれたのか、分かった気がした。

 ルイ君。

 知っていると思うけど、ノアの父は、エリオット・ジールゲン軍の人間だわ。

 軍の施設にいる事は、怖いとは感じていたけど……あの人が護ってくれていたから。

 あの人、今、どうしているかも分からないけど、私は、いつか彼に会いたいの。

 ノアを、お父さんと会わせてあげたい。

 ――これは、私の思い込み。

 なんとなくだけど、Lunaの歌声が、いつか、本当にそれを実現してくれる気がしたの。

 本当になんとなく。

 根拠なんてない。

 でも、希望がどんどんわいてきて、今も、それは大きくなっていってる」


「ノアには、お父さんがいるんだ――オレには、いないけど。

 うん。

 だからこそ、ノアがお父さんに会えるように、オレの歌声で、戦争が終わるように頑張るよ。

 ……たしかに、戦争を終わらせる為の戦争をしようとしているのが……今のオレのやり方なのかもしれない。

 でも、オレの歌声に魅力を感じてくれて、ダノンさんや他の反乱組織の人たちが、やり遂げようとしている、軍との戦いに、賛同してくれる人が、一人でも増えるといいなって思ってる。

 リリンさんの旦那さんも、オレの歌声にかれて、エリオット・ジールゲンの軍なんて辞めて、こっちの人間になりたいと思ってくれるようにね!」


「ありがとう、ルイ君。

 感謝しておいて、なんだけど、私の為に歌ってほしいかな。独占コンサート!」


「オッケー!」


「おーい。ルイいたいた」


「エルリーン、どうしたの?

 また、雑用?

 それとも、腕立て伏せか、懸垂運動クラブへの勧誘?」


「違うよっ。

 ジーン叔父さんが、熱出しててさ。

 薬買いに、街まで行かないといけないんだ。

 ほら、ダノンほどじゃないけどさ、叔父さんもそれなりに軍から睨まれてる。

 だから、基地の治療所使う以外に、医者には診せれないから。

 ……あそこ、ちっちゃい街なのに、軍の監視カメラだけは、たくさんあるんだよな。

 頑張って歩いて行っても、帰って来れるのは、ぎりぎり今日が終わらないぐらいの時間だと思う。

 チビたちの事を、副班長のルイに、よろしく頼んで行こうと思って。

 あたしの留守の間を任せられるのは、ルイしかいないから」


「あっ。

 自転車とか使えば、もうちょっと早く行って来れるんじゃないの?

 森に食料さがしに行く時、オレは、よく自転車借りてるよ。

 様子見てないけど、わざわざ街まで薬買いに行くって事は、それなりにジーンさんの症状良くないんだろ?

 エルリーン。

 早めに行って、戻ってきた方がいいと思う」


「うーん。自転車か。

 あたしは思うんだ。

 ――自転車。

 あれはな、ものがな、ついてる……」


「……エルリーン!

 まさか、自転車乗れない?

 うわっ。

 絶対にそうだ!

 あはは……睨まないでよ! いつも、もっと体力つけろとか、いろいろ言ってくるエルリーンが、まさか自転車乗れないなんて……ぷぷ。

 ごめん、ごめん!

 でも、傑作過ぎる!」


「ルイっ!」


「オレは、乗れるからさ!

 へへん!

 母上が、自転車ぐらい乗れるようになっておけって教えてくれたんだ」


「へっ?

 ルイ、あそこのどこで練習してたんだよ。

 Lunaとして連れ出される時以外は、タワー『スカイ・オブ・パーツ』の上層に閉じ込められていたんだろ。

 廊下か?

 あ、まさか寝室とか、超狭いところか?」


「空中回廊。

 エルリーンたちが、オレを助けてくれたヘリポートのあったところだよ。

 屋上。

 たまーにだけど、あそこで母上と過ごせる事があったんで。懐かしいな……母上、根気よく乗り方教えてくれたんだよ。

 で、あれだ。

 二人乗りして、エリオット・ジールゲンの……悪口とかも、大声で叫んだもんだ。

 母上、あの時には、きっとオレの歌声の秘密に気づいていて……なんとか、オレだけでも逃がそうと思ってくれていたんだ。

 だから、思い出作りに――」


「ルイ……涙出てる……。

 自転車ね。

 たしかに、あたしも、お前の母ちゃん。軍師殿に一度教えてもらった。

 だけど、きっと悪霊でもとりついていたんだ!

 どうにも、前に進みやしなかったっ」


「エルリーン。

 乗れないんだね。どうにも、自転車に」


「……ルイ、復活早いな!

 ちょっ。

 涙浮かべたまま……小ばかにしたように笑うなよ!」


「オレが、自転車で送ってあげようか?

 うんうん。

 たまには、このルイ君の世話になってみたら? エルリーン班長……ぷっ。自転車乗れなかったんだ……くす。

 ほら。

 オレ、今日、キノコ集めの当番だから、自分の用事も済ませられてちょうどいいんだ。

 森からは、出ちゃダメって言われてるから、街まではついて行けないけど、エルリーンが帰ってくる頃までに、たくさんキノコ集めておくよ。

 で、リリンさんにフライにしてもらうっ」


「ん~。

 ……父親代わりでもある、ジーン叔父さんの為に、早く薬は持ち帰りたい。

 高熱出してるっぽいんだ」


「オッケー。行こう、エルリーン」


―久々に登場人物―


天王寺アリス(一人称『私』)……軍を倒し、息子を取り戻そうとしているシングルマザー。


エリオット(一人称『僕』)……軍のトップ。武力行使による悪政を行う支配者。アリスの未婚の夫で、大学時代の後輩でもある。


ルイーナ(一人称『ボク』→『オレ』)……アリスとエリオットの息子。『Luna』という名で活動する事も。


竹内イチロウ(一人称『私』)……タケ。竹内一浪。エリオットの側近の軍医の男性。


エルリーン(一人称『あたし』)……反乱組織の女の子。非戦闘員。


ダノン(一人称『俺』)……母の跡を継いで、反乱組織のリーダーになった男性。


ジーン(一人称『おれ』)……エルリーンの叔父で、反乱組織の一員。


リリン(一人称『私』)……反乱組織の台所仕事をしている女性。ノアという名の息子がいる。


ミューリー(一人称『私』)……故人。ダノンの母で、反乱組織の前のリーダー。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ