表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

28/106

アリスとエリオット、互いの思惑

The Sky of Parts[09]

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

この物語は、軍事好きな筆者が作った育児モノ。


Web上での読みやすさ優先で、適当に改行などをいれたりしてあります。


「……エリオット。二人きりになりたい。

 他の部屋で、タケが監視モニタを見る事を、やめさせろと言うつもりはない」


「閣下っ」


「それは、どういう意味だ?

 タケ……竹内イチロウという男はね、君、天王寺アリスよりも、ずっと長く僕に仕えてくれているんだ。

 納得の理由がなければ、下がるようには言えない。

 立場、分かっているのか?

 アリス。

 今の君は、僕から処分を言い渡されるのを待つ身だ」


「……ルイーナの事を話すんでしょ。

 あの子の今後についても――。

 だから、面と向かっては……エリオットと二人になりたい。お願い」


「……分かった。

 タケ。

 警戒した顔をやめろとも、この女の監視をやめろとも言わない。

 あと、このまま手は拘束しておく。

 どれだけ輝かしい戦績を残せる軍師と言えども、宿っているのは所詮は女性の身。

 手の拘束がなくとも、僕に危害を加えるような真似はできないと、タケもよく分かっているはず。

 何かあれば、すぐ呼ぶ。

 ……だが、このまま、本当にアリスが、僕に罰せられる事を受け入れてくれるのなら――竹内イチロウ。その時は、本当に下がってくれるか?」


「閣下。

 お許し頂いた通り、心配りは、続けさせて頂きます。

 そのお役目すらも、断てという事であれば……どうぞ、御二人で奥の部屋にでもお下がり下さい。

 竹内イチロウの量見りょうけんと致しましては、それを合図に、この任務を終了させて頂きます」


「さて……タケは下がらせたよ。

 なにかな、アリス?

 珍しく、お願いなどしてくれて。良く事が運ぶのを期待していいんだろうな?

 対空ノイズ研究データの記録隠しに、アリス。君の書いた物語は、たしかに僕の想いそのもの。

 ――ずっと、君に向けていたものだ。

 嬉しかったね……書く君の真意は分からないが、最低限、僕が君にしたい事や、君にしてほしい事を、理解してくれていたと思うとね。

 ぜひに、あれをまっすぐな心に、偽りのない気持ちというものにしてくれないか?

 いや、させるよ!

 手段は問わずに――」


「――あれは、私の胸中きょうちゅうそのものだわ。

 エリオット。

 私は、あなたが望む事、あなたが私に望んでいる事。それはすべて分かっていた」


「ふ。

 僕に、人生最大の戦略を知られてしまったから、そんな態度なのかい。

 アリス。

 それとも、思い断つほどに、本当に降参で、これからは僕に服従するしかないと、すべてをほうってしまったのか?」


「ううん。

 逆に気づいてくれていなかったの? 私が……たしかに、エリオットを愛しているって事に」


「アリス……?

 どうして、憂いを顔に出さない? 物案じる様子を見せない?

 優し気で、心嬉しい気配を、どうしてまとえる……」


「エリオット。

 きっと、あなたは動揺して、そう言うと思っていた。

 私だって、あなたがただの個人ではないと、『エリオット・ジールゲン』だと知った時は――私が、知っているつもりだったエリオットではないと分かった時は、それなりにショックだった。

 でも、ルイーナを宿す事になった時、私のおなかにあの子がいた時、そして、あの子の顔を初めて見た時……私は、たしかにエリオットを愛していたと思うの。

 あなたが、どう思っていたとしても」


「……僕も、アリスを愛していた。それは今でも変わらない。

 でも、僕の愛し方が、君の望むものじゃない……そう言いたいのか?

 だから、こたえられないと。

 ……そうか。

 いい。

 言葉にしなくても。そのほんの少し心淋しそうな表情をして、心が孤独の中にあるという様子を見せてもらえれば、返事はいらない。

 アリス。

 情けなく見えるかもしれないが……顔に手を置いてもいいかい?

 頭を整頓させてくれ。

 ……とりあえず、心配しているのか?

 この件、アリスの研究結果を手にして、僕が、ルイーナに何かするのではという事を。

 それならば、余計な憂虞ゆうぐを抱えなくてもいい。

 扱う方法は……今までのようにはいかないし、Lunaには、もちろん即時に引退してもらう。

 しばらくは、かなりレベルをあげて管理させてもらうが、対策は必ず講じると約束しよう。

 その間、アリスには、母親として、ルイーナにしっかり寄り添ってやってほしい。

 正直、神を恨んだよ。

 僕が、ルイーナの父ではなく、ただのエリオット・ジールゲンであれば……良かったと思うほどに。

 知らなければ良かったとさえ思ったっ。

 まさか、ルイーナの歌声が、『sagacity』の稼働や処理を、狂わす事ができるなんて――」



* * * * *



「父上も、母上も遅いな……部屋、鍵かけられちゃったから、リビングにも行けないし。

 そういえば、今夜は、月が出る日なんだ。

 きれいな夜空になるかな。

 夕飯の後で、二人の前で歌いたいな……歌、なにか作ってみようかな。

 あっ!

 そういえば、母上に言われていた事があったんだった。

 ……えっと。

 この物語だったかな……?」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ