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反乱組織の人々

The Sky of Parts[09]

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

この物語は、軍事好きな筆者が作った育児モノ。


Web上での読みやすさ優先で、適当に改行などをいれたりしてあります。


「うわっ。あたし、本物は初めて見た。

 あたしも連れて行ってくれるんだろ? 一緒に極秘の解読を手伝ったんだ。あの音程が神懸かって外れた……魔物の叫びのような動画を見続けた仲じゃないか」


「ダメだ! エルリーン。

 これは、おれとダノンでやる。

 子供のお前とはいえ、そんなに人数が乗れるものじゃない。

 帰りは、大人一人、子供一人が増える予定だ」


「ジーン叔父さんのケチんぼ!

 ねえねえ。ダノンは、あたしを連れて行ってくれるつもりだろ? そう言ってよ。

 このヘリってやつに乗せてよ」


「エルリーン。解読の手伝いはありがとう。

 でも、今回は、俺とジーンさんに任せて、君は待っていてくれ。

 帰って来てからが本番になると思う。

 なにせ、あのエリオット・ジールゲンのところから、私的に有していると思い込んでいるものを――かすめ取るんだから」


「ダノン! あたしは、軍師殿に早く会いたいんだ!

 あんなヤツのところに捕まって、きっと怖い思いして過ごしていると思う。だけど、それでも、あたしたちを助けようとしてくれてる……だから、一日も早く安心してくれるように。

 安全で、もう酷い事はされないよって、あたしは言ってあげたい。

 ……あのLunaってアイドルの子供の事はよく分からないけど、軍師殿が連れ出してくれって言うのなら……まあ、男のクセに、女みたいな事はやめろって言ってやろうかな」


「エルリーン。今回は、ダメだ。

 それと、今から、俺とジーンさんは、大事な話がしたい。君は、向こうに行っていて。

 頼む。お願いだから。

 ……これは、大切な事。

 軍師殿――天王寺アリスさんが用意してくれた、好機だから――」


「うっ。

 わ、分かったよ……。

 ダノン。

 でも、軍師殿が帰ってきたら、必ず一番に会わせてね! 約束だよ!」


「……エルリーンは、行っちゃったかな。隠れてる様子もないし」


「ダノン。

 まだできてもいない話だが、軍師殿を無事に救出できた場合、まあ、これも推測だが、軍師殿とLunaの関係は、黙っていてもらった方がいいと思う。

 五年前に、ミューリーさんや兄貴がいなくなり、組織が半壊に追い込まれた時より以前からいる人間はたしかに少ない。

 軍師殿自身が、ここにいられなくなったというのもある。

 だけど、知っているヤツもいる。疑っているヤツもいる……軍師殿が残してきた子が……違うと思いたいが……いや、ダノン。お前はハッキリその耳で聞いてしまったんだったな……」


「真実は、どうあれだ。そして、それは軍師殿自身の問題。

 ジーンさん。

 俺らの反乱組織を助けてくれる――それが、現実なんだ。軍師殿――天王寺アリスという存在の。

 きっと、俺も、まだどこかで懐疑心は持っている。

 でも、死んだ母さんが何を思っていたのか。天王寺アリスという人間の何を信じたのか――それは、エリオット・ジールゲンを倒したいという気持ちであったのか、本当に、それが真相なのか、知りたい。

 母さんは、もう、どんなに尋ねても、喋りかけてはくれないから」


「……ダノン。

 そうだな。たしかに、おれも思っている。

 軍師殿の存在は、おれらの味方として、はっきり顕在けんざいしてくれている。形をなしている。

 だから、今でもこの組織に残ってくれている連中で、軍師殿を知っているヤツなら――おそらく信頼してもいいと思うんだ。

 ただ、それはあくまで軍師殿という個人。

 Lunaは、いくら歌うたいとして、平和に貢献していると言われていても、所詮は、軍が所有を主張している。

 一緒に現れた、青い瞳の小鳥に対しては、また別だ」


「そうだな。

 かつての俺がそうだったように、俺らがあれこれ望んでも、そうなるように取り計らっても、うまくいく保証はないが、あくまで二人には、プロデューサーATとLunaの関係を徹してもらった方がいいだろう。

 Lunaという少年が、本当はどんな人物かは分からないが、軍師殿がそうしてくれというように、ツールと思って接したり、扱ったりした方がいいのかもしれない。

 せっかく、気をつかう必要がないと、言ってくれているんだ。

 軍師殿にとっては、本当は、とても大切な小鳥なんだろうけど……無垢だとしても、血に宿しているものが大き過ぎるから」


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