叫び7~エピローグ~ あえて読まない選択もあり
最近はあまり近寄らなかった公園で久々に休憩をする。
そもそもこの公園に来るようになったのは口うるさい先輩から休憩中だけでも逃げたかったからだ。
その先輩は少し前に、夜中の交差点で叫んで血を吐いて倒れたらしい。
偶々夜間見回り中だった警察官に見つけられてすぐに救急車で運ばれたとか。
過労から来る神経症じゃないかとか言われているが、会社はそういう不利なことは自分達には公表しない。
まあ、でもそんな噂が立つくらいには最近の様子はおかしかった。
やたらと怒鳴り散らしてたのは家庭でうまくいってないのかと思ってたんだけどな。
まあ、先輩の同期にはじめ怒ってたのは偶には仕方が無いかくらいにしか思っていなかったが、どんどんエスカレートしていくにつれて、周りの人に有りもしないミスまで押し付け始めた時はちょっとまずいんじゃないかって皆思ってた。
心の底から心配しましたなんてこと言えるほどではないが、やっぱり疲れてるのかな?位には思ったし、出来るだけ仕事も皆で分担して早く帰らせたのに、何で夜中に交差点にいたんだか。
正直なところ全員が取る資格もなかなか取れないし、新しく入ってくる新人には厳しく当たって辞められちゃうし、自分の事を責めてたのかと思うと可哀想な人ではある。
ふと、大分前に見た赤い蛇を思い出し、蛇を下ろした木を眺めていると
「なぜ、先輩が倒れたか知りたいか?」
いつの間にか隣に老人が座っていた。
あの時のことを思い出し、答えずに相手を見ていると
「それで良い、ふとした瞬間に悪魔はお主に問うてくる。先輩も問われてしまったのだろうよ。
人の子よ 人ならば考え続けることだ 考えることを止めれば 人を責め始める 人を責めれば いずれ自分が責められる」
なんだか不思議な老人だ。
一体誰なのかを問いたいところだが、やめておく。
考え続けることだ。
なんとなくあの赤い蛇が老人じゃないかと思っているが、あえて口には出すまい。