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叫び  作者: 沼池 うろち
5/7

叫び5

 最近また不快な気持ちが止まらない。


 原因は分かっている。

 俺が言い過ぎだの人を追い詰めてるだのと噂をしている奴がいるのだ。


 ある時後輩がかなり遠慮がちに言ってきたのだ。

 あの人が仕事できないことは皆良く理解したわけだし、ちょっとほっといたほうがいいんじゃないですか?と


 まあ、はっきりと人の名前を言ってあげつらうような後輩じゃないので、聞き出すのにも納得するのにも忍耐力が必要だったが一応俺のために言ったのだ。

 我慢してやる。


 むしろ面と向かって言ってくるだけマシだ。

 影でこそこそと悪い噂を流しやがって、最悪な会社だ。


 同僚を責め立てることで、不快な気持ちを一瞬すっきりさせる。

 そして誰も俺を責めることのできないように、完璧な仕事をしてやる。


 時折、他の機械から応援で来る連中に駄目なところを指摘して、いかに俺の持ち場が特殊な仕事をしてるか教えてやる。


 抜けてる後輩がやらかせば、誰にでも後輩がやったと分かるように叱り飛ばす。


 上司が応援で入った時は完全に狙い目だ。

 駄目なところを徹底的に駄目だしする。

 そんな重箱の隅をつつくようなだとか誰が悪くて起きた不具合じゃないだろう等と言っても容赦しない。


 そもそも唐突な機械トラブルにすら報告書を書かせているのは上司の方だ。

 上司がいる状況で起こったトラブルに上司が責任持たなくてどうする。

 

 それでも上司だけは報告書を書かなくていいのだから、いい気なもんだよな。


 結局お客様に連絡するのは事務に押し付けて、製品の手直しはこっちに押し付けるのだから。


 そもそも俺は完璧に仕事をこなしてる。

 それぞれの持ち場の人間がしっかりしないからそういうことになるんだ。

 責任感が欠けているのは上司の方だろう。


 誰にも責められぬようにひたすら完璧に仕事をこなす。


 そうやって意識すればするほど、後輩やその他の連中がミスをする。適当な仕事をする。

 苛立ちが止まらなくなるので、

 その度に責め立てる。

 当然のことだ。やるべきことが出来てないのだから責めてやるのだ。


 そうするといつの間にか影でこそこそと噂をする奴が増えてくる。

 会社の中は敵ばかりだ。

 どいつもこいつも俺の隙を狙ってる。


 俺は当然のことを言ってるだけなのに逆恨みしているのだ。

 

 皆で俺を監視して失敗するのを待ち構えている。 

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