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叫び  作者: 沼池 うろち
3/7

叫び3

 翌日にあの台詞を言ってやった。

 まるで神様が導いてくれるとしか思えないタイミングだった。


 同僚は散々残業した挙句に結局報告書を仕上げられなかったのだ。


 だから朝礼で上司が提出期限のことを散々ねちねちとあげつらったのを聞いた時

 いつもなら不快でしかないその言葉がまるで自分を肯定されているように感じた。


 口下手な同僚が思わず馬鹿な言い訳をした時

 いつもなら、止めるところを今日はあえて見逃した。


 そして、言ってやったのだ。

 誰がお前の仕事肩代わりしたと思ってんだ。お前に払う分の給料を俺にくれるのかよと


 そして妙に感心したように自分を褒めちぎる上司

 正直こいつの腐ってる性根は大嫌いだがその時は妙に心地良かった。


 だが、嫌いな上司に褒められる不快感も同時にあったので、後輩にそれと無くたずねたのだ。

 あいつ最低だよな?と


 察しのいい後輩は同僚のことを言っているとすぐに理解して、

 「まあ、誰もがその日のうちに書いてる報告書を提出できないのはまずいですよね」

 と一応同調する。


 歯切れが悪く、限定的な言い方だが、

 まあ、こいつの処世術なのだろう。

 誰を否定するでもなくただあった事実の悪い部分だけを指摘する。


 人を責めれば、自分が同じようなことをした時当然責められる。

 そういう当たり前のことに対する防御反応なのだろう。


 実際この後輩は多少抜けてるところもあるが、仕事自体は早い。

 準備も出来るだけ早い内にしておくし、

 気が効くとまでは言わないが、やることはやってるし、目こぼししてやろう。


 同僚を責めて、それを肯定されることで気持ちが弾んでしょうがない。

 

 だがそんな日に限って、意味の分からぬ機械トラブルが起きるものだ。


 部品を交換するだけのことだが、やたらと時間がかかってしまった。


 古過ぎる機械が悪い!助手をやってる後輩が悪い!

 色々と思いついては不快になるが、仕方が無い。

 自分も不具合の報告書を書いて同僚より先に終わらせてやる。

 

 そして、予定通り同僚より先に報告書を終わらせる。


 日中は現場に出ている為に残業時間に書くしかないのだが、同僚はまたやり直しをさせられているようだ。

 

 明日はこう言ってやろう。

 何であれだけ時間をかけて未だに終わらないんだ!仕事舐めてるんじゃないか?!


 そして、残業中の同僚の前であえて後輩に言っておく

 悪かったな仕事任せちゃって、報告書も終わったからすぐに俺もやるからと


 完全に自分と同僚に差をつけた。

 コレだけやれば、何も文句を言われることは無いだろう。

 やるべきことをやっているのは俺のほうだ。

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