~スーーパーー戦隊!!! ……なのか?~
「なあ、グリーン、お前行けよ……」
「ちょっ、まっ、待てよブルー」
「まあまあ……二人ともあまりそんなに争わないでくださいよ!」
現在、スーパー戦隊本部、休憩中。
その休憩室の片隅で、ブルー、グリーン、イエローの三人は一人ソファーに横になっているレッドを横目にこそこそ話をしていた。
なぜそんなことをやっているかと言うと、最近レッドがこの仕事を辞めるとの噂が三人の耳に入ってきたからだ。
それで今、その噂が本当かどうか、またレッドの気持ちを聞くために、三人のなかで誰がレッドに話しかけるか決めている。
「いいから! グリーン、お前行けよ……イエローは女子だし、こんなかだったら一番お前が適任だろ、ほら! 早く!」
ブルーはグリーンをうまく説得しようとしている。
かれこれ十分にも及んでいてイエローもなかばあきれてきた頃、グリーンがやっとおれてくれた。
「わ、わかったよ、行けばいいんだろ行けば!」
そしてグリーンはレッドのもとへ行った。
そして、グリーンひとつ深呼吸をし、レッドに話しかけた。
「なあレッド、レッド!」
「うっぁあ! ど、どうした? グリーン」
「あっ、す、すまないな、寝ていたのか?」
レッドは首を横に振りながら、
「大丈夫だ、グリーン、いつものことだろ?」
頭をかきながらグリーン、
「あ、あぁ。まあ、そうだな……」
「で、なんの用だ? グリーン」
「あ、あぁ。その件なんだがな。お前、もう少しで引退だろ? もう、いなくなっちまうんだよな……」
横で静かに話を聞いていたブルーとイエローも思わずグリーンとレッドから目線をそらす。
そんな重苦しい空気のなかレッドが答える。
「ま、まあな。でも一番俺ってさ、重要な役目果たすじゃん? だ、だからその疲れも来てるし、体的にも限界って感じで、俺、最近出が悪いんだ」
その言葉にブルー、
「まあ、その事は俺も前から気になっていたよ。お前、出番メチャクチャ多いからさ。気づけばいなくなってること多いし……いないと思ってたらいつの間にか帰ってきてたりで……」
イエローも、
「う、うん、私もね、レッドのこと心配だった。もっとこういうのってさ、人気のあるレッドばっかりやらせずに私たちが行くべきだったんだよ……。そう思わない? グリーン」
グリーンはイエローを見ながら、
「で、でもよ俺たちを雇っているあいつ、レッドしか使わねぇじゃんかよ……。俺たちだって使われたい、かといって、レッドの方が人気もあるし! お、俺たちが行ったところで俺たちを雇っているあいつを怒らせることにもなるし」
「で、でもレッドと私、変わってあげたかった……」
「出来るもんならしてるさ! で、でも俺、グリーンだしよ、あんま使われねぇしよ……」
「で、でもグリーン、俺みたいなブルーだってあんま使われねぇよ?」
「は?! そんなことねぇよ! ブルー!」
「まあまあ、皆落ち着け、俺は大丈夫だから、皆喧嘩しないでくれ」
レッドがブルーとグリーンの気持ちを沈める。
するとイエローが口を開く。
「レ、レッドくん、私さ、レッドくんと変わってあげても良いんだよ?」
「そんなわけには行くか」
「だ、だってレッドとイエロー、あんま変わんなくない?」
その言葉にさっきまでグリーンと怒鳴り合っていたブルーが反応する。
「おい! イエロー! レッドとイエローは結構ちがうぞ?」
その言葉にイエローは反論、
「なんで? ノートとかでマルつけするときとかレッドじゃなくてイエロー使う人いるじゃん!」
「ま、まあたまにな!でもそれをいったら俺だってブルーは間違えたあとの答案とかによく使わね?」
「まあ、二人落ち着け!」
「レッドはいいよな! 俺みたいなブルーと違って! いつもいつもマルつけの時に使われてよ! 板書を写すときとかにも結構先生とかが使うしよ!」
「は? そんな言いかたないだろ? 板書は板書で、先生とかが勝手に多く使っているだけだろ! 俺になんの責任もない!」
「おい! ほんとお前はサイテーなレッドだな! レッドほんと嫌いだわ! テストの答案用紙の点数書くときにも使われてよ! いつも良いとこ持っていきやがって!」
「なんでだよ! なんでそんなこと言われんだよ! 俺だってな! つらいんだよ! テストの点数書くときとかたまに赤点の点数取ってる奴とかいてよ、つらいんだよ!」
「うるせぇよレッド!ほんとおまえは!」
「やめろよ!」
レッドとブルーの喧嘩にグリーンが止めに入いった。
「お前らな、まだ使われるからいいさ、俺ら、ボールペンの芯はな! 大抵四色ボールペンの場合、レッド、ブルー、イエロー、そしてグリーンと相場が決まっている。だけどよ、赤はよく使うよ、そしてブルーも間違えた時とか板書の時とかたまにだけど使われる、そしてイエローも、赤シートで勉強するときとか『赤じゃ少し見えるからイエローで書いとこっ』て感じで、その他にも多く使われている! だけど、だけどよ! 俺グリーンは……使われねぇんだよ。マルつけの時とか、他のやつらが赤や黄色でマルをつけるなか、教室でひとりグリーンは……少し浮いてんだろ! しかも先生とか板書でグリーンは使わねぇ! なんでって! 黒板自体がグリーンだから! 見えずらいって苦情来るんだよ。 そしてその後、俺ら四色ボールペンは他の奴らが使いきられ、俺だけ残ってゴミ箱行きだ。そんな俺の気持ちを考えたことあんのかよ!」
「す、済まない、グリーン」
「あぁレッドと喧嘩してごめん、済まないなグリーン」
「グリーンさん、その気持ち、お察しします」
その後、そんなことがあったとはいざ知らず、四色ボールペンを使っていた山田少年はレッド、イエロー、そしてブルーを使いきり、グリーンだけを残しゴミ箱にボールペンを捨てた。
以上、一読ありがとうございます!
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それでは皆さんも物を大切に!またいつか!