表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/26

9月6日

しれっと新連載。短期…になるのかな。あんまり時間はかからないと思います。

無駄に話数は多いですが、1話あたり1000文字とかそんなんです。気軽に読んでいただければ。

 勿忘草の種をまいた。

 ずいぶんと前にネットで取り寄せて、でもずっと機会が見つからないまま、机の引き出しに袋ごと眠っていたキット。放置しておいたからといって、そのまま芽が出る前の時点で既に枯れている、なんてことがあるわけでもないだろうが、やはり放っておいた罪悪感もあるからなおさら心配だ。

 けど、こんな機会でもないと、なかなかね。

 誰にも見つけられず、持ち主にさえも忘れ去られて、これから何年もずっと、そのままだったかもしれない。


 引っ越した部屋は壁も天井ももの悲しいほど真っ白で、物はまだほとんど置かれていない。これからわたしはここで暮らしていくわけだが、必要最低限の家具や道具以外のものが、果たしてこれから増えるのだろうか。

 そんな一抹の不安もありつつ、わたしはまず初めに、植木鉢を置いた。

 鮮やかなカーテンが掛かる、窓の横。植木鉢の茶色と、カーテンの萌葱色のコントラストが、なかなか目に眩しいような、自然に優しいような。

 何にもなくて寂しかった部屋の雰囲気が、パッと明るくなったような気がして、ほんの少し嬉しくなった。


 お母さんに手伝ってもらって、やっておかなきゃいけない作業は全部、この部屋に来る前にやっておいた。

 もともとうちのおばあさんが、植物を育てるのが好きな人で、実家の庭には無数の使われていない植木鉢がごろごろ転がっていた。そこから小さく手軽なものを一つ拝借してから、中に栄養満点の花壇の土を八分目くらいまで入れて、小さな種をひとつまみ、ぱらぱらっとごま塩みたいにまく。

 その上からさらに土をまぶして、軽く整えれば完了。……たぶんね。

 おばあさんは肥料を使わない人だったから、うちに肥料は置いてなかったんだけど、大丈夫かなぁ。もし必要なら、また後日買いに行かなくちゃ。


 それから、悩みどころがもう一つ。

 どうしても一つはわたしの目の届く、窓の近くに置きたかった。だからわざわざ小さめの植木鉢にしたんだけど、それだけじゃやっぱり種が余っちゃうんだよね。あんまりひとところに多くまいても、密集しちゃったりなんかしたらかわいそうだし……。

 どうしようかなと悩んだ末、残りの種をまいたプランターを、ベランダに並べて置くことにした。そうだ、この部屋ベランダがあったんだ。今更気づいた。

 最初っからそうしたらよかったよ。


 そんなわけで今日から、勿忘草を育てる。

 そして、観察がてらの日記も、始める。

 多分、毎日は、無理だけど。


 お水をやったら疲れちゃった。少し寝よう。

 冷たいんだろうなぁ、お布団。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ