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真青と化す

それは水の青…

詩の雰囲気、静かでちょっと怖い

すり鉢状の深さ数百メートル、石灰岩を伐り出した採石場跡に出来た水溜まり、人工の湖


故に、そこに生き物は棲息しない


故に、そこに水草は揺らめかない


故に、そこに潮流はなく、時を止めて早幾年月―――



水は澄み、縦横の透明度は優に50メートルを超えている


たくさんの透明を折り重ねた深い深い青の色


上から差し込んだ陽の光は水の中をどこまでも真っ直ぐに突き進み


だけど決して水底には辿り着けない



群青に溶けた光は途中で煙のようになり、青に白を混ぜ込ませてゆく


更にそこに新たな()が降り注ぎ、複雑な光の反射、乱射を生み出した



光が届く一番下の焦点を合わせたその一点を中心に


立体的であって平面的、直線的であって


次の瞬間には爆発的な螺旋を織り成す、光の競演、きらめき


不思議と時間の感覚と遠近感が狂うような


複雑な放射の絵を描く


雄大なる自然のカンバスに一体どれくらい酔いしれ、見惚れていたことだろう


不意にくらりと眩暈がした




―――捉われる―――




水の“死”という名の深淵が


そこにぽっかりと大口を開け、私が落ちてくるのを待っていた





深い深い水の青


青に溶ける色と温度


放射に弾ける光



たくさんの透明が折り重なって



やがて水色は





真青と化す




《詩よりも長い創作エピソード》


創作ネタは豪国に実在する湖、通称ブルーレイク。でも上から見るとターコイズブルー。おそらくは石灰岩のせいだろう。

ちなみにターコイズブルーとはトルコ石の透き感の無い白っぽい水色のこと。

だから最初は濁っているのかと思いきや…、とんでもない!

本当にあの水中の景観には驚き、圧倒され、恐怖した。


またあの水温にも。真水だから冷たく、海水に比べると浮力が得られない。

こう、心臓をぎゅっと握り締められるような、空気がいっぱい吸えなくなるような、身が委縮する鋭い冷たさとでも言おうか。

多分、水温で言ったら5~6℃。(間違いなくシングルではあった)

逆に手足や皮膚の表面温度は熱いとさえ感じる。

(そうやって人の体は本当に冷やすと危険な内臓などを守るように出来ているのだ)

そんな所で足が付かない、前後左右周りに誰もいない、掴まれる物など何もない恐怖を想像してみよう。…どうだろう?


今考えると、標高もそれなりにあったのだろうと思う。そんな中で感じた水の、青の、本当に少しでも潜ったら引きずり込まれそうな、もう二度と戻って来られなくなるような死の恐怖が、息を吞むようなその美しさと共に少しでも読み手に伝わればいいなと願う作者。


※ちなみに作中では生物は存在せずとしているが、実際には浅瀬(水深15メートル程の所)に陸生の木が朽ちるでもなく、文字通り時を止め、ひっそりと静かに佇んでいた。




豪国に実在する神秘の湖、ブルーレイクのお話。


ここまでお読みいただきまして誠にありがとうございました。


<(_ _)> からくにしのぶ



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