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私の夫を殺してください  作者: 三愛 紫月


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プロローグ《一部分修正》

 昨日の夜遅く、新婚旅行から帰ってきたばかりの私達夫婦は、今日は1日家でゆっくりと過ごしていた。


 今はパジャマに着替えて寝るまでの時間をリビングでゆっくりとくつろいでいるのだ。


 夫である久間智春ひさまともはるは、明日から会社へと出社する。

 妻である私は、結婚と同時に会社を辞めたので、当分の間は専業主婦をするつもり。

 


「疲れとれてないんじゃない?」

「大丈夫だよ。1週間は休めたんだから」



 笑いながら話す智春の笑顔が好き。

 優しい声が好き。

 こんなにも好きになれる人に出会うなんて夢にも思わなかった。



「でも、真理亜。ごめんな。片付け頼んじゃうけど」

「大丈夫よ、気にしないで。智春の段ボールは部屋の前に置いとくからね」

「ああ。よろしくお願いします」

「わかりました」



 2週間前に結婚式が終わって、すぐにお互いにマンションを引きはらった。

 そして、家賃の安い智春の会社の社宅にやってきたのだ。

 社宅は3LDKの広さがあるから、お互いに自分の部屋を作ることにした。


 引っ越し業者にだいたい分けて段ボールを部屋に置いてもらったけれど。

 リビングと書かれた段ボールはまとめて置かれている状態だ。

 リビングを整理しなければ、料理すら作れない。



「それじゃあ、もう寝るよ」

「わかったわ。おやすみなさい」



 智春が寝室に行ってからリビングを見渡す。

 20箱は積んである段ボールを解体するのは大変だ。

 リビングにある段ボールが多いのは、私も智春も料理が大好きだから。


 私達が出会ったのも、料理教室だった。

 ある人から1日無料体験のチケットをもらった私は、何となく行ってみることにしたのだ。

 その何となくで愛する人に出会って結婚までするなんて、本当に奇跡よね。


「私も寝よう、はぁーー」


 大きなあくびをしてから寝室に向かう。

 寝室に入ると智春がスヤスヤと寝息を立てていた。

 眠るのが得意だって自慢していたけど、本当ね。

 付き合ってる時から、智春はすぐに寝てしまうタイプだった。

 私は、0時を回ってから寝に行くタイプの人間だけれど。

 智春は違う。



 22時には、うとうとし始める。

 付き合いたての頃は、智春が私に合わせて頑張って起きていてくれた。

 それは、それで嬉しかったのだけれど。


 日中眠そうにしている智春を見ているのが、だんだん辛くなってきてしまった私は、早めに寝るようにすることにしたのだ。

 まあ、実際は智春が寝たらリビングに行ってたんだけどね。

 もしかしたら、智春にはバレていたかも知れないけれど。


 同棲はしていなかったから。

 一緒に住むのは、結婚してからが初めてになる。

 これから一緒に暮らしていくうちに、智春の嫌な面も見えるかもしれないけれど。

 それでも、きっと。

 私達なら大丈夫だよね。












ーー6時



ーーピピピピ



「うーーん」



 サイドテーブルに置いてある目覚まし時計を止めるために私は上半身を起こした。



「はぁーー」

「おはよう、真理亜」

「えっ、いつから起きてたの?」


 ぼやぼやとした視界に入って来たのは、隣のベッドで寝ているはずの智春の姿だった。


「さっき起きたんだよ。でも、本当に寝顔も綺麗だね」

「何言ってるのよ、そっちだって」

「まあね。ってのは、冗談。ベッド、早めに1つにしてもいいんだよ」

「だめだめ。2人で1つのベッドに寝たら疲れがとれないってテレビで言ってたから」

「別にいいのに」

「だーーめ」

「じゃあ、休みの日は?」

「どっちかのベッドで寝る?」

「よし、決まり」




 智春は、私のベッドに入って寝転がるとギュッーと抱き締めてくれる。



「愛してるよ」

「私も愛してる」



 智春の鼓動が聞こえる。

 幸せ。

 ずっとこの幸せが永遠に続いて欲しい。




「もう行かなきゃ。朝ご飯ないだろ?」

「そうだね。今日、頑張ってキッチンの段ボール片付けるね」

「じゃあ、晩ご飯は楽しみにしてる」

「うん」



 智春はベッドから出て行く。

 私も起き上がってベッドから出る。

 リビングの段ボールを片付けなくちゃと考えると朝から憂鬱だ。


 リビングに向かって歩く。

 智春が洗面所で顔を洗っているのが見える。

 喉が乾いている私は、洗面所を通りすぎてキッチンへと向かう。

 キッチンは使えないので、昨日の夜は宅配弁当を頼んだ。

 シンクには、洗う予定で置かれた弁当のプラスチックが入っている。

 


「はぁーー」


 小さくため息をついてから、レバーを浄水に回し、水を紙コップに注ぎ入れる。

 食器もまだ出していないから、水を飲むのも紙コップだ。



「俺も水もらっていい?」

「うん」



 紙コップに汲んだ水を智春にも差し出した。



「紙コップだと何だか美味しく感じないね」

「わかる、何となくだけどね」

「だよな」


 智春から紙コップを受けとってシンクの中に置いた。

 ごみ袋も出さなきゃ。



「じゃあ、着替えたら行ってくるよ」

「うん。行ってらっしゃい」

「見送りはいいよ」

「何で?玄関までは行くよ」



 智春は自分の部屋に行ってスーツを着替えに行く。

 私も智春も服はお互いの部屋に置くことに決めたのだ。

 新婚旅行に行く予定があったから、衣類の段ボールだけはお互いに片付けていた。

 智春が部屋から出て来るのを私は玄関で待つことにした。

 


 部屋に入らないのは、何となくお互いのプライバシーを考えてだ。

 入っていいよって言われなくちゃ、入っちゃいけない気がする。


 

「待っててくれたの?」

「うん」

「部屋に来たらよかったのに」

「それは何か駄目かなって思って」

「まあ、まだ。片付いてないからね」

「それは、私も同じだよ」

「やましいこともないし。見られてまずいものもないから。遠慮なく入っていいよ」

「特に入る予定はないよ」

「あっ、そうだ。もしリビングの段ボールに俺の物があったら部屋に入って置いてていいから。じゃあ、行ってきます」

「わかった。行ってらっしゃい」



 革靴を履きおえた智春は、私の方を向いて両手を広げる。

 私は、その腕に飛び込んで抱きつく。

 お互いの鼓動が重なるのがわかる。

 幸せな朝。

 私は、智春から離れた。

 


「気をつけてね」

「ありがとう。真理亜も気をつけてね」

「ありがとう」



 智春を見送った私は、リビングへ戻った。



「お昼までに半分は減らせるように頑張ろう」



 朝ご飯がわりに買っていたゼリー飲料を飲みながら荷解きを始める。



「これは、食器だから慎重に。こっちは、鍋ね。これは……智春のだ」



 3つ目の段ボール箱の中身は、智春の小説や漫画、料理本が入っていた。

 段ボールに料理本と書いていたから、ここに置かれたのがわかる。

 料理本は、リビングでもいいけど。

 小説と漫画は智春の部屋に持って行かなくちゃね。


 料理本だけを抜き取って、段ボールを抱えて智春の部屋に持って行く。


 

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