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桃太郎  作者: 宗徳
1/1

おじいさんとおばあさん

1500年頃、室町時代後期。


とある集落の家に

おじいさんとおばあさんが暮らしていました。


おじいさんは山へ芝刈りに行きます。


何故芝を刈るのか?


それは芝を乾かすことで

釜戸の燃料とし、

腐らせることで畑の肥料として

使うことができるからです。


一方その頃、

おばあさんは川へ洗濯に行きました。


いつも通りここで洗濯をしていると

ふと、川上から桃が流れ来るのが目に入ります。


「あら珍しい」


そう思い、こちらに流れてくるのを待ちます。

しかしこちらに近づいてくるに連れ、


この桃が尋常ではない

大きさであることに気が付きます。


目の前に来る頃にはそれが、

人の胴体ほどもあることがわかりました。


普通であれば、ここで気味悪がっても

おかしくはありません。


しかし、あろうことか

おばあさんはこの桃を

何としても持って帰りたいという

強烈な意志に支配されます。


直後、中々のご高齢にも関わらず

川へ身を乗り出し、

渾身の力を込めて

桃にしがみ付きます。


「フン!!」


川の流れに逆らい、

桃自身の質量も合わさると

その重みは30kgほどに感じられます。


「中に人でも入っているの!?」


思わずそう叫ばずにはいられません。


おばあさんは最後の力を振り絞り、

こめかみに青筋を浮き出させながら、

必死の思いで手繰り寄せます。


「カァー!!」


ザパン!


なんと、おばあさんは桃を

陸に引き上げることに成功します。


「ゼーハーゼーハーゼーハ」


息が上がり、

地面に仰向けになって空を見つめます。


もはや洗濯どころではありません。


おばあさんはそのまま、

少し休むことにしました。


一方そのころ、

芝刈りを終えたおじいさんが

家に戻ってきました。


「お~い、帰ったぞ~!」


しかし、そこに

おばあさん気配はありません。


「珍しいな。まだ帰ってきていないのか」


おじさんは背中に背負ったカゴを下し、

刈ってきた芝を外に干すと

自宅の椅子に腰かけました。


「ん~遅い。ちょっと心配だ。

 様子を見に行くか」


そう思い立ち上がった直後。


バン!!


と勢いよく扉が開き、

中に入ってきたのは大きな桃?


と、それを押して

入ってきたおばあさんでした。


「なんじゃそれは!!」


「桃よ」


「え!?」


おじいさんは信じられませんでした。


しかし、おばあさんが

そう言うのならば仕方がありません。


というのも、

おじいさんは昔からおばあさんには

頭が上がらなかったのです。


それもそのはず。


信じられないほどの怪力です。


ひとたび喧嘩にでもなろうものなら、

怪我をするのはおじいさんです。


なのでおじいさんは

「わかった。

 おばあさんがそう言うのなら

 桃なんだろう」

と言って納得します。


「こんな大きな桃をどこで…」


「川から流れて来たのよ」


「川から?そんなバカな!」


「本当よ」


「わかりました」


「んで、この桃どうするんじゃ?」


「もちろん食べるわよ。

 きっと美味しいに決まってるわ!」


「こんな得体の知れないものを口に…」


「食べたくないの?」


「いえ、ワシもこの桃を見た時から

 ”食べたくて仕方がない”と

 思っておりました」


「じゃあ切って分けるわね!」


そう言っておばあさんは

台所から包丁を取り出し、

桃のてっ辺に包丁を入れます。


するとどうでしょう。

まだ切ってもいないのに

桃が真っ二つに割れてパカンと開きます。


「オンギャー!!」


直後、中から現れたのは

元気な赤子。


おばあさんは、またしても

強烈な意志に支配され、

この子を育てなければならないと

使命感が湧きたちます。


「おじいさん、私達でこの子を育てるわよ」


「え?」


「だって私達子供いなかったじゃない!」


余りの急展開に

おじいさんは頭が追い付きません。


結果、全く思いもしない言葉が

口をついて出てしまいます。


「名前、どうするう?」


「桃太郎よ」


「安…直な」


「なによ」


「いえ、分かりやすくて

 非常に良い名前だと思います。

 ヨッ!桃太郎!!」


こうして夫婦の間には

桃太郎が誕生したのでした。

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