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欠陥能力と断罪された俺が、管理社会の“例外”だった話  作者: うまれつきウタマロ


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7/7

会議


「整理しよう」


 年配の男が、淡々と言った。


「被観察個体は、

 測定中に能力を使ったか?」


「いいえ」


 即答だった。


「施設内では一切、

 能力反応は確認されていません」


「当然だな」


 別の声が重なる。


「所詮能力者は管理しやすい豚だ。

 檻の中でしか暴れられない」


 誰も咎めない。


「測定時、ブレスモニターは?」


「規定通り一時解除」


「その時点で異常は?」


「ありません」


「では、なぜゲート通過時に外れた?」


「接続できなかったんです」


「説明しろ」


「測定室には、

 能力反応源が存在しません」


「……ああ」


 誰かが鼻で笑う。



「我々は未能力者だからな」



「はい」



「能力者は病原体だ」


 低い声。




「では、能力覚醒は?」


「測定中に起きています」


「だが、発動は?」


「していません」


「反応対象がいなかったからか...」


「ゲートの外には?」


「能力者がいます」


「——なるほど」


「つまり」


 年配の男が言葉を継ぐ。


「覚醒は内側で起き、

 発動は外で起きた」


「はい」


「その瞬間、

 ブレスモニターとの接続が遮断された…と。」


「故障ではない?」


「ありません」


「再装着は?」


「不可能です」


「なぜ?」


「彼の能力が、

 管理そのものを拒絶します」


 一瞬、沈黙。


 だが、誰も動揺しない。


「実験体としては?」


「非常に優秀です」


「危険性は?」


「低い」


「被害は?」


「ゼロ」


「なら問題ない」


 誰かが笑った。



「我々無能力者からしてみたら、

 ただの実験体ですから。」


「居住区送りか」


「ええ」


「ブレスモニター無しとは異例だな。」


「管理とは、

 安全を作ることではない」


 年配の男が結論を出す。


「平和を維持することだ」


「そうやって平和を作ってるんだ」


 誰かが言った。


「感謝してもらいたいね。」


「では次の議題...

追放後の彼と周りの影響について」


端末に映し出されたのは、

 スタビリティ・ゾーン内部のモニタリング映像だった。


 能力者たちは、互いに距離を取り、

 無駄な衝突を避けるように生活している。


 静かすぎるほどに。


「……見事だな」


 誰かが、感心したように言った。


「暴発件数、ゼロ」


「争い、ゼロ」


「管理コスト、想定以下」


「理由は?」


 年配の男が聞く。


「被観察個体の存在です」


「彼自身は、何かしたか?」


「いいえ」


「命令は?」


「出していません」


 短い沈黙のあと、

 一人が笑った。


「まるでロボット掃除機みたいだな!

 何もしなくても綺麗になる。」


 会議室に、軽い笑いが漏れる。


「能力を奪ったわけでもない」


「壊したわけでもない」


「ただ、

 “使えなくなるかもしれない”

 と思わせただけだ」


「能力者は単純だ」


 別の声。


「あいつら、能力が全てだと思い込んでる。

 滑稽だ。」


「能力があるから価値がある」


「能力があるから生きていい」


「能力があるから——」



「——だから、

 失う可能性を恐れる」


 年配の男が静かに続ける。


「操りやすいマリオネットとは知らずに…」


 その言葉に、

 誰も否定しなかった。


「彼らは、自分で抑制しているつもりだ」


「実際は?」


「抑制されている」


「誰に?」


「状況にです」


「被観察個体は?」


「おそらく自覚はありません」


「なら理想的だ」


「恐怖は、

 見えない方がよく効く」


 画面の中で、

 能力者の一人が、

 無意識に主人公から距離を取った。


 それだけで、

 周囲の数値が安定する。


「……本当に」


 誰かが、ぽつりと言った。


「人間を管理するのは簡単だな」


 年配の男が、端末を閉じる。


「スタビリティ・ゾーンは、

 成功している」


「理由は?」


 一拍。


「彼らが、自分たちを

 “自由だ”と思っているからだ」


 会議は、

 それ以上の言葉を必要としなかった。


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