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欠陥能力と断罪された俺が、管理社会の“例外”だった話  作者: うまれつきウタマロ


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3/7

「例外管理プロトコル」

「こちらへ」


短く告げられ、俺は通路を歩かされた。

床も壁も白く、清潔で、足音だけがやけに響く。


「少しお待ちください」


そう言われて通されたのは、小さな待機室だった。

椅子が一脚。

すりガラスの向こうに、ぼんやりと人影が見える。


扉は閉まらない。

半開きのまま、静かに止まった。


——待て、という意味なのだろう。


空調の音が一定のリズムで鳴っている。

どれくらい時間が経ったのか分からない。


やがて、壁の向こうから声がした。


「数値、まだ安定しませんね」


「前のケースより?」


「ええ。かなり」


「じゃあ、まだですね」


「廃――」


「その言葉は使わないでください」


一瞬、沈黙。


「クローズに回すには早い、という意味です」


「前回は?」


「三日です」


「短いな」


「感情反応が、ほとんどありませんでした」


俺は、息を止めた。


「じゃあ今回は?」


「……あります」


「それは良いのか?」


「観測価値は高いです」


「つまり?」


「使える」


端末を操作する音がした。


「食事は通常でいいですか」


「ええ。衰弱されると困ります」


困る、という言葉が

なぜか、耳に残った。


「彼、自分の立場を理解してますか?」


「理解していたら、

 こんな反応は出ません」


「……そうか」


「運がいいですよ」


「どこが?」


「前の例外は、

 彼ほど面白くなかった」


言葉が、胸の奥に沈んだ。


「記録は?」


「クローズ済みです」


「じゃあ問題ないですね」


誰も、声を荒げない。

誰も、ためらわない。


「今回は、何日持ちますかね」


「条件次第です」


「条件?」


「感情が、

 いつまで残るか」


足音が遠ざかっていく。


しばらくして、扉が開いた。


「お待たせしました」


さっきまで話していたのと同じ声が、

何事もなかったように言う。


「これから説明を行います」


説明。

その言葉が、ひどく軽く聞こえた。


俺はもう分かっていた。

ここで語られることは、

真実じゃない。


真実は、さっき聞いた。


——俺は裁かれていない。

——選ばれてもいない。


ただ、

消すには惜しい

それだけだ。


運がいい。

比較対象が、

もうここにいないという点で。

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