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欠陥能力と断罪された俺が、管理社会の“例外”だった話  作者: うまれつきウタマロ


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2/7

管理局の判断

能力暴走の現場は、すぐに封鎖された。


俺は、何が起きたのか分からないまま、

管理局の職員たちに囲まれていた。


「君は、ここから動かないでください」


低い声で言われる。


逃げようとは思わなかった。

正直、頭が追いついていなかった。


——能力が、止まった?


さっきまで苦しんでいた能力者たちは、

今は呆然と立ち尽くしている。


「装置の異常か?」

「いや、制御ユニットは正常だ」


職員同士の会話が聞こえる。


俺は、ただ立っていただけだ。

何もしていない。


それなのに。


「……君、名前は?」


上級職員が、俺を見て聞いた。


「リク、です」


「能力は?」


「……ない、はずです」


一瞬、沈黙が落ちた。


その人は、周囲を一瞥してから、

静かに言った。


「通常の測定で反応が出ない能力は、三種類ある」


俺は、初めて聞く話に耳を傾けた。


「一つは、完全な無能力。

 二つ目は、未覚醒。

 そして——」


少しだけ、言葉を切る。


「三つ目は、測定できない能力だ」


胸の奥が、嫌な音を立てた。


管理局の施設は、

思っていたよりも無機質だった。


白い廊下。

番号だけが振られた部屋。


俺は、小さな面談室に通された。


「怖がらなくていい」


そう言われたが、

言い方が逆に怖い。


机を挟んで座ったのは、

さっきの上級職員だった。


「正式な手続きを踏めば、

 本来なら君はもう関与しない存在だ」


「……追放、ですよね」


「そうだ」


否定はしなかった。


「だが、今回の件で状況が変わった」


その人は、端末を操作する。


画面には、

さっきの暴走記録が表示されていた。


「能力暴走は、通常“能力者自身”が原因だ。

 外部から同時に複数の能力が停止する事例は……」


画面を切り替える。


「存在しない」


はっきりと言われた。


「君がゲートを出た瞬間、

 半径十メートル以内の能力がすべて遮断された」


「……遮断?」


「正確には、接続が切られた、という表現が近い」


接続。


その言葉を聞いた瞬間、

胸のざわつきが、はっきりした。


「君は能力を奪っていない。

 干渉もしていない」


職員は、俺を見つめる。


「ただ、繋がりを消した」


「それって……危険なんですか?」


俺は、思わず聞いていた。


答えは、即座だった。


「危険だ」


迷いもなく。


「能力管理社会は、

 能力が“制御できる”という前提で成り立っている」


「もし、制御できない存在が現れたら?」


少しだけ、声が低くなる。


「社会が壊れる」


俺は、何も言えなかった。


「だから君は、

 無能力として追放された方が“都合がよかった”」


その言葉が、重く落ちる。


「だが、もう遅い」


職員は、端末を閉じた。


「君は、観測された」


——見つかった。


その意味は、はっきり分かった。


面談が終わる頃、

俺は一つだけ、質問をした。


「……これから、俺はどうなるんですか?」


しばらく沈黙があった。


そして、答え。


「二つに一つだ」


「管理下に戻るか」


「——それとも、

 本当に“排除”されるか」


心臓が、強く脈打った。


追放より、

ずっと重い言葉だった。


部屋を出る直前、

職員が、ぽつりと呟いた。


「安心しなさい」


俺は、振り返る。


「君の能力は、

 まだ完全には分かっていない」


その言葉は、

安心にはならなかった。


むしろ——


「だからこそ、

 我々は一番警戒している」


廊下を歩きながら、

俺は自分の手を見る。


相変わらず、何もない。


光も、印も、反応も。


それでも。


——繋がっていたものが、切れた感覚。


あれは、確かにあった。


俺は、

能力を持たない存在じゃない。


でも。


能力者でもない。


その中途半端さが、

この社会で何を意味するのか。


——考えなくても、分かってしまった。


つづく

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