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欠陥能力と断罪された俺が、管理社会の“例外”だった話  作者: うまれつきウタマロ


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無能力判定

「能力反応、ありませんね」


淡々と告げられた言葉に、俺は何も言えなかった。


水晶板に手を置いたまま、職員の顔を見る。

困ったようでもなく、驚いた様子でもない。

ただ、事務的だった。


「もう一度測りますか?」


「いえ、結構です。結果は変わりませんので」


周囲から、ひそひそと声が漏れ始める。


「反応なしって……」

「今どき珍しいな」

「ランクE以下か?」


俺は、手を離した。


分かっていた。

ここに来る前から、薄々は。


能力管理社会。

人は十六歳になると、必ず能力測定を受ける。

能力の有無と強度は、その後の人生を決める。


強い能力を持つ者は、守られる。

弱い能力でも、管理されれば居場所はある。


——だが。


能力がない者は、例外だった。


「名前は?」


「……リクです」


「リクさん。能力反応ゼロのため、登録不可。

 本日付で管理対象外となります」


それは、つまり。


「……追放、ですか?」


「そうなりますね」


軽く、うなずかれた。


帰り道、街のモニターが目に入る。


《能力管理局からのお知らせ》

《未登録能力者の保護は行っておりません》


知っている言葉なのに、今日はやけに刺さった。


俺は、能力者の両親から生まれた。

だから当然、自分も何かしら持っていると思っていた。


弱くてもいい。

地味でもいい。


ただ、ないとは思っていなかった。


家に戻ると、すでに連絡は行っていたらしい。


父は黙っていた。

母は、何度も「大丈夫よ」と言った。


でも、その声が震えていたのを、俺は見逃さなかった。


翌朝。


管理局の職員が来て、告げた。


「本日をもって、この居住区から退去してください」


それだけだった。


荷物は少なかった。


能力者用の訓練端末。

ランク表示の腕輪。

——どれも、もう使えない。


居住区のゲートを出る直前、

腕輪が自動的に外れ、床に落ちた。


カラン、と乾いた音がした。


「……終わり、か」


そう思った、その時だった。


ゲートの向こう側で、警報が鳴り響いた。


《能力暴走警報》

《付近の能力者は直ちに退避してください》


ざわめきが走る。


能力暴走は珍しくない。

だが、ここは管理区画の出口だ。

本来、起きるはずがない。


俺は、立ち止まった。


そして気づく。


近くにいた能力者たちが、苦しそうに膝をついている。


「な、なんだ……能力が……」

「制御できない……!」


光が、揺れていた。


能力の発動が、不安定になっている。


——俺は、何もしていない。


ただ、そこに立っているだけだ。


なのに。


「……?」


胸の奥が、妙にざわついた。


さっきまで何もなかったはずの場所で、

何かが、繋がるような感覚がした。


その瞬間。


能力者たちの光が、一斉に途切れた。


静寂。


誰かが、息を呑む音。


「……止まった?」

「能力が……使えない?」


俺は、自分の手を見る。


何も変わっていない。

光も、印もない。


ただ一つ。


——なぜか、分かってしまった。


これは偶然じゃない。


その時、背後から声がした。


「……やっぱり、出たか」


振り返ると、管理局の上級職員が立っていた。


その目は、さっきまでと違っていた。


恐怖と、確信が混じった目。


「無能力じゃない」


その人は、はっきりと言った。


「君は——

 この社会にとって、最悪の例外だ」


つづく

読んでいただきありがとうございます。

次話、管理局が動きます。

よければブクマしてもらえると励みになります。

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