表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

読み切り短編集

このT字路沿いでは毎月誰かが死ぬ

作者: ルーク猫

 私の実家は、高台の街の一番端にあって、北側窓から見えるのは葛の葉の生い茂った法面と、その向こうの低地に整然と並んだ新しい戸建て住宅群だった。


 南側にあるのは昔からの古い街で、T字路の突き当たりにM家があり、我が家はM家の裏に位置している。


 以前は、M家は無くて、我が家がT字路の突き当たりだった。

 変形した台形のような土地が、道路ではなくて家の敷地だとわかったのは、M家が建ち始めた時だ。


 南側を遮られた挙げ句、道路に出るためには家並みをぐるりと回り込まなくてはならない。ちょっとした恨みのようなものを抱いた私達には、その家の奥さんは意地悪そうに見えた。


「猫を飼い始めたの? 道理で貴方、顔が猫に似て来たわね」

 と嗤うような人だった。


 ある時、このT字路沿いの家で、毎月誰かが死ぬというまるでオカルトのような噂が広まった。

 あやふやな噂なので、いつ、どの家から始まったという確かな話ではない。

 先々月はH家で病死、次の月には北隣のO家で老衰死、今月はその北隣のS家で事故死と、何かが北に向かって移動するように、毎月死人が出た。


 角にある家には、私の中学時代の同級生が、両親と兄との四人で住んでいた。色白でしっかり者の女の子、という印象で、運動部に入っていて身体は丈夫な方だった。

 隣の家で葬式が出た次の月、彼女は若くして亡くなった。


 慌てたのは、T字路の突き当たりにある、M家だ。

 次は自分達の番に違いないと、翌月M家は、知り合いや親戚の家を転々とした。空き家からは当然死人が出ることもなく、その裏手にある我が家も恙なく一月を過ごした頃に、M家は帰還した。


「まるで探しにきたみたいに、近くに住む親戚が急に死んだけれど、仲は良くなかったからいい気味だわ」

 と、M家の奥さんはうちの母に語った。


 それ以降この街では、毎月人が死ぬという話は聞かない。

未だにM家は苦手











⋈ ・・・・・・ ⋈ ・・・・・・ ⋈

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ