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プロローグ
神界にて。
びっしりと文字の書かれた紙を見ながら、顔をしかめる少女がいた。
「おや、イシス。何を見ているんだい?」
「あ、ゼウス様。いま今年の占い新聞を読んでいたのですが、興味深い記事を見つけまして」
「ふむ、どれどれ?」
そこには、『近々、神に一計企てる人間現る?!』と一面に大きく書かれていた。
「ふむ。アポロンの占いはよく当たると聞くが、今回は流石に外れっぽいのう」
人間と神との間には、人間界の言葉では言い表せないほどの明確な格、力の差がある。
その記事を真に受けるのも馬鹿馬鹿しい。
「おーい、イシス! 『カミナリ』の対象者が来たぞ。頼む」
「はーい!」
呼ばれたイシスは、急いでお菓子を口に詰め込み、お茶で流し込む。
どれ、たまにはイシスの働きぶりでも見にいこうか。