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4. まさかの出逢い

==○======□======▷==



次は西岳麓。西岳麓に止まります。



==◁======□======○==






2両編成の電車、ぽつりぽつり程度の乗客。

7人掛けロングシートの端に座り、足下に置いたリュックを開く。



「でかっ」


中を覗けば、おばちゃんから貰った岳麓レタスがコンニチハ。丸々1個、リュックのキャパシティをずっしり占有している。

……狭苦しくてごめんな、でも僕の旅はまだまだ始まったばかりなんだ。家に帰るまで我慢していてくれよ。



いやー、渓澄線の旅を始めて早々、ハプニングというかサプライズというか。まさかの出逢いだった。

レタスころころどんぶりこ、巡り巡って貰っちゃったし。おばちゃんの話も意外と面白かったし。なによりあの、朝露に濡れた畑の土の匂い……新鮮だった。冒険しに来た感が一気に加速した。


……知らない人と喋るのも案外悪くないかも。

一期一会、ってヤツか。




「……さて」


リュックを閉じ、車輪が刻むローテンポなカタンコトンをBGMに車窓を眺める。

岳麓新田駅から西岳麓駅、ここまで来ると岳麓市街地の建物群も遠く小さくなる。開墾された畑と田んぼの中を、単線の渓澄線が真っ直ぐ進む。


ゆったり流れる岳麓川、田んぼの中にズドンと構える大きな民家。踏切待ちの軽トラ、畦道を散歩する柴犬とおじいちゃん。

畑を挟んで並行する県道、時々現れる押しボタン信号。コンビニのロゴ付きトラックが追いかけっこ。

電車に驚いて飛び立つスズメの群れ、そっぽを向く案山子。仕事を終えて一服中のおじいちゃん。


んー、ほどほどの田舎。

言うても県内、家からそう離れている訳でもないが……遠くまで長旅したような気分。悪くない。






キィィィィ……。

「……ん」


身体に感じる慣性力。甲高い音を上げるブレーキ。

そろそろ駅が近いようだ。


さて、次はどんな所なんだろう。

どんな出会いが待っているのかな。

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