最悪な朝
俺は学校へ行くために家の玄関を出た。
「うーわ…最悪だわ」
朝から気分最悪。そんな意味を込めた言葉を吐き出す。何故そんな言葉を吐いたのかって?だって目の前に月菜がいたから。
「は?私の方が朝からあんたの顔なんて見ちゃったから最悪なんですけど」
「お前ほんと可愛げ無いよな」
「結構よ。あんたに見せる可愛げなんてないから」
そういう所を可愛げがないって言ってるんだけどなぁ…まぁ本人が気づかないならしょうがない。
「そうですかい。ほら、さっさと行けよ」
俺は右手を前に突き出してシッシッ、とジェスチャーする。
「は?なんであんたにそんなこと言われなきゃならないわけ?」
もういいって。1回1回突っかかってくるなよ。
「お前と一緒に歩いてるところなんて他の人に見られたくないからだよ。分かったらさっさと行け」
「〜〜〜〜!あんたってほんとウザイ!死んじゃえばいいのに!」
黙って聞いてれば好き勝手言いやがって。
「はいはい俺はウザイですよぉだ。まぁお前よりはウザくないけどな」
「私のどこがあんたよりウザイのよ!」
「あ、頭が悪すぎてそんなのも分からないのか!可哀想に…」
「いい加減にしなさいよ!」
「お前こそいい加減にしろよ!」
これは朝7時30分の出来事である。よくもまぁこんな朝方から大声で喧嘩なんてできるものだと自分でも思う。
「緋月?どうかしたの?」
そんな喧嘩の声が聞こえていたのか家の中から母さんが顔を出した。途端、月菜は態度が一変した。
「あ、おはようございます」
「あらおはよう。月菜ちゃん。それでどうかしたの?」
「いえ、なんでもありません。今から緋月と一緒に登校しようとしていたところなので」
「はぁ?そんなわむぐ!むぐぐぐ!」
そんな訳ないだろと言いかけたが月菜がものすごい力で俺の口を押さえ込んできた。
「では行ってきます。ほら緋月、行くわよ」
「行ってらっしゃい」
母さんがそう言いながら再び家の中に戻って行った。
するとまた態度が一変した。
「誰があんたなんかと登校なんてするもんですか」
「いやそれ俺のセリフなんだけど…」
こいつ本当に同一人物か?二重人格なんじゃないだろうな…
「てか早く行けよ」
「言われなくてももう行くわよ。ほんっと朝から気分悪いわ」
「ほんとそうだよな。気分最悪」
「…」
「…」
「「チッ!」」
しばらくの沈黙の後2人揃って舌打ちした。マジで毎日鬱陶しい…
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結局あの後このままでは学校へ遅れてしまうと言うことで2人して急いで走って学校へ来た。そのせいで軽く汗をかいてしまった。
「おうおうどうしたんだ?そんなに息切らして」
軽口を叩くように声をかけてきたのは友人の未佐良 由真だった。
「いやちょっと遅刻しそうになってな…」
「ほほぉ?柚木さんと一緒にか?」
くそ、こいつ目ざといぞ。
「ちげぇよ。たまたま一緒になっただけだ」
「一緒に息を切らして登校したと…ふぅーん?たまたまねぇ?」
「も、もういいだろ」
くそ、ニヤニヤしやがって。1発殴ってやろうか?
「でもまぁ、お前と柚木さんって付き合ってるんだろ?」
いやマジでこいつぶん殴ってやろうか?
「そんなわけないだろ?プチ殺しますわよ?」
「いや丁寧にしても変わらないからな?やめてくれ。え、マジで?付き合ってないの?」
由真が信じられないものを見るように俺の顔を見ていた。
「そうだって言ってるだろ」
「…ふぅーん」
由真が何やら意味深にそう言った。
「なんだよ」
「いや、手遅れになる前にちゃんとしておいた方がいいぞって事だ」
「はぁ?なんのことだよ」
手遅れ?何が。
「いや、なんでもない。気にしないでくれ。いや、やっぱりちょっとは気にしてろ」
気にしろと言われても意味が分からないので気にしようがない。
「まぁしっかりやれよ」
結局最後まで意味は理解できなかった。
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