4 ナディアの力はギルドからも警戒される
私はシータさんに案内され、ギルド長がいる部屋へと案内されていた。
「あなたがナディア様ですね、初めましてギルド長のウォーキンです。それで、シータ君、なぜ彼女をここに連れてきたのか聞いてもいいかな?」
シータさんはギルド長に私が貴族家から自分の意志で抜けてきたことを告げる。すると、先ほどのシータさんと同様に彼も喜び始めるのであった。
「よし、よし!」
私は二人の反応が理解できなかったため、ついに理由を尋ねてしまう。
「あの~、どうしてお二人が喜んでいるのですか?」
「あぁ、これは申し訳ない。実は君の父上から”娘をギルドに加入させているのであれば金を支払え”と言われていてな。今までもずっと支払ってきたうえに、昨日も追加で支払いを命じられたんだ。」
ナディアにとってそれは初耳の出来事だった。確かに、ナディアが医療ギルドに加盟していること自体は両親たちも知っていた。しかし、まさかギルドに加盟しているからと金を無心していたとは思いもしなかったのだ。
「それは本当なのですか?私は何も聞いていませんが。」
「あぁ、事実だ。今まで、かなりの金額を君の父上に払ってきた。」
ギルド長は深くため息をつきながらも事実だと認める。
「それは、申し訳ありません。ですが、それならば断わればよかったのではないですか?ギルドとは独立の機関ですよね?いくら相手が貴族と言えども、断ってしまえばどうすることもできないですよね?」
「もちろん、本来であればこんな話、鼻で笑って断っていたところだろう。それに、ギルドを脅迫してきたんだ、制裁として君の父上が治める領地からはギルドを撤退することさえすることもできた。
しかし、それは無理だったんだ。いや、正確にはしたくなかったといったところか。」
ナディアには理解することが出来なかった。ギルドとは国境すら関係なく、世界中に展開している機関だ。そんな機関と一貴族であれば力関係など比べるはずもないだろう。
「なぜ、そんなことをしたくなかったんですか?」
ナディアがそう尋ねるとギルド長はため息をつき、頭を抱える。
「君ねぇ、自分の力がどれだけすごいか分かっていないのかい?君だよ、我々が制裁を下さなかったのは君と敵対したくなかったからだよ。」
ギルド長から、衝撃の発言が飛び出したのだった。
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