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23 不審な目線

ようやく最後の人間の解呪も終わり、ヘイル王子などに感謝されナディアは城を去る。


「本当に助かった、これもすべて貴殿のおかげだ。みなを助けてくれてありがとう。この礼は必ずさせてもらう。」


「気にされなくていいですよ。もとはと言えば私が呪いを放り出したようなものですから。」


ナディア自身もまさかここまで大事になっているとは思ってもおらず、かかわりのない人間に呪いを広めてしまったことに対して少しだけ申し訳なく思っていた。


「何を言うか!今回のことで貴殿に落ち度はない!悪いのは貴殿に寄生していた元家族とレインだ。必ず、お礼はさせてもらうからな。」


「ありがとうございます。そこまでおっしゃって頂けるのであれば楽しみにしていますね。」


これ以上、断ってしまえば失礼に当たると考えたナディアは身を引き、王子の話を聞き入れるのであった。




こうして、ナディアの活躍によって城にいた大半のものが救われてから数日が経ち、いつものようにギルドに仕事を捜しに行くと何故か分からないが周囲から見られているような感じがする。


不思議に思いながらも受付へ向かおうとするとナディアの目の前にむさ苦しい筋肉ムキムキのスキンヘッドが立ちふさがる。


「おい、ねぇちゃん!もしかしてナディアっていうのは、ねぇちゃんかい?」


「は、はい。あなたの探している人かは知りませんがナディアというのは私です。」


突然のムキムキスキンヘッドに後ずさりしてしまうナディアだった。それもそうだろう、ここまで大柄な人間が自分のことを捜していれば男性であっても恐怖に駆られてしまう。しかしながら、そんなナディアの考えは杞憂であった。


「おう、やっぱりそうか!いや~、ねぇちゃんには本当に娘が世話になったよ!助けてくれて本当にありがとうな!」


ムキムキスキンヘッドはその顔に見合わないような笑みを突然ナディアに向け、お礼を告げてきたのだ。どうやら話を聞くと、彼の娘は医療ギルドの関係者だそうで医療ギルドでナディアが解呪を行った際に彼の娘も助けてもらったからとお礼を告げていたのだ。


そんな彼の行動を境に先ほどまで周囲でナディアを見ていた者たちが集まり出す。


「あなたがナディアさんですか!彼氏を助けてくれてありがとう。もう二度と会えないかと思ったわ。」


「ありがとう!あなたのおかげで旦那が助かったよ。これ、少ないけどもっていってね。うちでとれた新鮮な野菜よ!」


ナディアの元に集まった人たちは次々にお礼を述べ、様々なものを渡していく。すぐにナディア一人では抱えきれないようになってしまったのだ。


そう、先ほどまでナディアが感じていた目線の正体はナディアが医療ギルドで治療を行った人間の知り合いや家族、恋人などだったのだ。


よろしければブックマーク登録や↓にある☆☆☆☆☆を★★★★★にしていただければ大変うれしく思います。


また、作者は他の作品も投稿していますので興味がある方はそちらもお願いいたします。

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