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20 d・o・g・e・z・a

「頼む!どうか解呪を行ってくれないだろうか!大切な部下なのだ、助けて欲しい。レインが貴殿にした仕打ちを許せないというのであれば私のできうる限りの埋め合わせをさせていただく!だからどうか頼む!私の部下を助けて欲しい!」


そんなことを叫びながら二人の目の前に突然、土下座をする男が現れる。


「お、王子。何をなされているのですか!」


そんな光景に泡を吹いて倒れそうになっているのはシータだった。この土下座をしている人間、それはナディアに解呪を依頼するために何日もギルドで待っていたヘイル王子だったのだ。


散々、ギルドで待たせておいて王族に土下座までさせてしまうなど、ギルドの上層部にバレてしまえばどんな目に合わされてしまうか分からない。そして、彼の従者であるロドストも大慌てだった。


「ヘイル様!あれだけ、土下座はおやめくださいといったではないですか!こんな人の目が多い場所でなんてことをなされているのですか!すぐにおやめください!」


ロドストもすぐさまへイル王子に土下座を止めさせるために起き上がらせようとするが、彼は断固として土下座を止めようとしない。


「離せ、ロドスト!私の土下座一つで部下が助かるのであれば安いものだ。彼女に許してもらわなければ部下は助からないんだぞ!離せ!」


王子はナディアとシータの会話にあった絶対に協力はしないという言葉を聞いて頭が真っ白になってしまったのだ。そのため、ナディアが誤解していたことに気が付かないまま、このようなことに至ってしまったのだ。


もちろん、この場で一番困惑しているのはナディアだろう。自分のことを尋ねてきたのはレイン王子と思っていたところ、シータにはヘイル王子だと言われ、急に土下座をする王子まで現れたのだ。ナディアの脳内は完全にフリーズしてしまった。


「頼む、どうか部下を助けて欲しい!お願いだ、部下を助けられるのは貴殿しかいないのだ。」


「ナディア様、何とかしてくださいよ。はわぁ~。」


いつまでも止まらないヘイル王子の土下座にビクビクしているシータの声をかけられ、ようやくナディアの脳内は動き出す。


「はっ、私は何を。あっ、そうだ。ちょっと、ヘイル王子やめてくださいよ。別にヘイル王子なら解呪しますから。王族がこんなところで何をやっているんですか!


それにこの状況を回りが見たら変な誤解をされるのは私なんですから、早く頭をあげてくださいよ!」


「貴殿の言い分はよく分かる。あのレインにされた仕打ちを考えれば私のような王族に力を貸すなど考えられないことだろう。私だって貴殿と同じ立場であれば協力を拒むだろう。だが、そこをどうにか曲げてもらえないだろうか。呪いにかかっているのは私の大切な部下なのだ。どうか助けて欲しい。」


もはや、ナディアの声など王子の耳には入っていなかったのだった。


よろしければブックマーク登録や↓にある☆☆☆☆☆を★★★★★にしていただければ大変うれしく思います。


また、作者は他の作品も投稿していますので興味がある方はそちらもお願いいたします。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 普通、こういう類の小説は周りを下げて主人公を上げるのが常だが、これの場合、主人公が最初から下がってる。
[気になる点] うわぁ…周りに他者が居る場所での土下座は、謝っているようで「これだけやってるのに許さなければ、周りからどう見られるのか分かってるだろうな?」っていう脅迫になるんですよね…。危機的状況で…
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