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15 王子だって悪い奴ばかりではない

ナディアの活躍は同じく、原因不明の症状で苦しんでいる人間が複数人寝込んでいる王城にも伝わることとなる。


王城のとある一室、ここではこの国の王子の一人であるヘイル王子とその従者であるロドストがナディアの活躍に関しての会話を行っていた。


「ヘイル様、これは先ほど医療ギルドからもたらされた最新の情報ですが、例の原因不明の病気は呪いかもしれないとのことです。」


「何、呪いか!確かにそれなら原因が分からなくても不思議ではない。」


何故、彼らが呪いに関して興味があるというと王城でも原因不明の症状を持つ人間が最近になって現れ始めたからだ。最近では、レイン王子も病状が悪化し、寝込んでいるという報告を彼も受けていた。


しかしながら、正直なところ、レイン王子の病状が悪化したと言われてもヘイル王子にとってはどうでも良いことだったのだ。


なぜなら、レイン王子と異なりヘイル王子は性格も温厚で周囲のものにも優しく、王城内での評価も非常に良い人間だ。そんな彼だからこそ、周囲のものに高圧的な態度をとるレイン王子のことを嫌っていたのだ。


そんな彼が原因不明の症状に関して関心を寄せていたのには理由がある。それは彼が大切にしていたメイドの一人がレイン王子と同様の症状を発症していたからだ。


自分の部下であれば絶対に見捨てないヘイル王子はメイドを救うための方法をずっと考えていた。そのため、ロドストからもたらされた報告には喜びを隠せないでいたのだ。


「よくやってくれたぞ!すぐに、医療ギルドで解呪を行った人間に来てもらうんだ。解呪を行える人間は限られているからな、その人物なら間違いないだろう。」


ヘイル王子の喜びの表情とは裏腹に、ロドストの表情は優れない。なぜなら、医療ギルドで呪いを解いた人間というのはナディアだったからだ。


「ヘイル様、それは些か難しいかと思われます。」


「な、なぜだ!医療ギルドで寝込んでいた患者は全員、完治したのであろう?それならば、王城の人間の解呪を行うくらい簡単だろう?」


すると、ロドストはナディアがレイン王子によって婚約破棄をされ、散々恥をかかされたことをヘイル王子に伝える。


「というわけで、ナディア様は王城にお呼びしても拒否されるかと。調べたところ、自分から貴族家を抜けていました。婚約破棄の件で余程、家族やレイン王子と関わりたくないのだと思います。


私であってもそのような目に合わされれば協力など絶対に拒みます。彼女を説得するのであれば別の解呪ができる人間を呼んだ方が速いと思われます。」


「くそっ!だからあいつは嫌いなんだ!婚約破棄など余程の理由がなければ行わないものだろうが。しかたない、別の人間を呼んでくれるか、対処法が分かっただけ進展だ。解呪ができる人間が到着次第、すぐに治療に取り掛かれるように並行して準備も進めてくれ。」


「承知いたしました。」


ヘイル王子はナディアの説得の時間を考えると別の人間を呼んだ方が速いと考えるとともに、事態をややこしくさせたレイン王子に対してますます嫌悪感を抱くのであった。


よろしければブックマーク登録や↓にある☆☆☆☆☆を★★★★★にしていただければ大変うれしく思います。


また、作者は他の作品も投稿していますので興味がある方はそちらもお願いいたします。

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