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11 四面楚歌

ナディアの父はシータに話をしても無駄だと分かると今度は周囲の治療師たちに叫び始める。


「おい、お前たち、今すぐに娘に治療魔法をかけろ!さっさとしろ、平民の分際で貴族である娘の治療をさせてやるんだぞ!感謝しろ!」


そんな彼の言い分を聞いた周囲の治療師たちは皆、クスクスと笑い始める。


「な、何がおかしい!」


まさか笑われるとは思っていなかったナディアの父は自分のすぐ近くにいる治癒師の目の前に行き、怒鳴り始める。彼からすれば平民である治癒師たちが貴族である娘の治療を自ら率先して行わないことが不思議でならないのだ。


「あぁ?なんで俺たちがお前らを治療してやらなきゃいけないんだよ?お前らギルドから制裁を受けるなんてよほどのことをやったんだろうな。そんな奴らを相手にするわけないだろ?」


「貴様!ギルドがなんだ!そうか、金か、卑しい者どもだ!いいだろう、金を払ってやるからさっさと治せ!」


平民程度に金を支払ってやることはナディアの父からすれば惜しいことだが、彼にとって最も大切なことはミナミの体だ。そのため今回は目の前にいる失礼な治療師に金を払うと決めたのだ。


しかし、彼は全く理解していない。どうして目の前の治療師がミナミの治療を拒否したのかを。先ほどまで、ギルドのど真ん中で治療師たちのことをさんざんバカにしていたミナミの治療をする気など彼らには無かったのだ。


「お前さ、本当に俺たちがそんなことで治療をすると思っているのか?お前らなんて金をもらっても治療するわけがないだろう。いい加減気づけよ、ここにはお前たちを治療してやるようなやつはいねぇんだよ!さっさと帰りやがれ!」


「なっ!」


ナディアの父は金さえ払えばすぐにでも治療をすると思っていたが治療師の予想外の反応に驚きを隠せないでいた。周囲の治癒師たちを何人も見るも皆、目の前にいる治癒師と同じ目をしている。


「かーえーれ!かーえーれ!」


「「「「「かーえーれ!かーえーれ!」」」」」


誰が言い始めたか分からないがミナミたちを標的に彼らを追い出そうとする動きが出始める。そのことに若干弱腰になっていくナディアの父だが貴族としてのプライドから立ち去ることなどできなかった。


そのうち、いつまで経っても出ていかない二人に業を煮やした誰かが薬の入った瓶をミナミに投げつける。


バシャーン!瓶がミナミの近くで割れ、全身に中の薬が降りかかる。


「ほら、これで治療できただろ!さっさと帰りやがれ。」


そんなミナミを見て、今瓶を投げつけてきた人間を殺してやろうと思ったナディアの父だがこの状況では誰が瓶を投げてきたか分からない。


「お、お前たち!こんなことをして許されると思っているのか!」


しかし、いくらナディアの父が叫ぼうとも治癒師達は止まることがない。このままでは自身と娘の身が危ないと二人は逃げおおせるのだった。


しかし、今回の彼らの訪問が医療ギルドに未曽有の危機をもたらすことになる。


よろしければブックマーク登録や↓にある☆☆☆☆☆を★★★★★にしていただければ大変うれしく思います。


また、作者は他の作品も投稿していますので興味がある方はそちらもお願いいたします。

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