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VTuberになるために  作者: Cucu
3/3

初配信の心#3

日曜日、事務所に行ってきた。


大人はみんなスーツ着て固い感じなのかと思ったら、全然そんなことなく、結構フリーな感じだった。


 


 


事務所に着くと早々に僕のマネージャーになるという阿部さんに会った。


 


 


本当に自分であっているのかなどをと問いつめたいが、そんな勇気などあるはずもない。


 


 


契約とか機材とか配信の仕方とか色々教えてもらった。自分が持ってない機材はなんと会社が用意してくれていた。


 


 


阿部さんは「一緒に頑張って行きましょう!」っとあまり乗り気ではない僕に明るく話しかけてきた。コミュ強やん。


 


 


普段そんなに話すことの無い僕は、VTuberなんてやってけるのか不安だった。すぐにクビになるに違いない。デビューは2週間後と言われた。


 


 


ちょっと早すぎやしないか?とは思っていたがこれまた言える訳もなく。


 


 


次の週、同期となる3期生の自分を含めた5人とマネージャーさんとで通話で打ち合わせをすることとなった。自己紹介だけをし、あとは流れが説明された。僕はなんとトリを任されてしまった。


 


 


なんでこんな陰キャを最後にしますかねぇ?え、無理無理無理。とは言えない。


 


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 


時の流れ早すぎ。初配信の日。僕は心の準備なんてできていなかった。機材などはマネージャーさんから説明を受け、何とか設置できた。編集ソフトなどは元々触ったことはあったので何となくわかった。今は、同期達が順番に初配信をしている。なんかみんなとっても自由ですごい。チャット欄はとても大盛り上がり。


 


 


 


 


ちょっと前に公式ホームページのプロフィールを見た。僕がなるのは蒼井美海。「高校2年生の女子高生。おちゃめな性格と可愛いのが好き。」である。


 


 


え、僕と真逆じゃん。


 


 


同期のことを見てみると一応、みんな学年はバラバラだが、高校生という設定だった。


 


 


中でも、気になったのが鈴音奏りんねかなでという子。「高校生で、クラスのみんなから慕われる委員長。」とか書いてあった。


 


 


なにこれ、僕と真逆じゃん。


 


 


そして、ついに自分の前の順番の鈴音奏が配信を始めた。僕はそれどころではなく、緊張しまくりです。


あぁ...お腹痛くなってきた。また今度にしません?


 




 


鈴音奏はどうしてVTuberになったのか語っていた。見た感じとっても元気なJKだった。


 


「私、みんなからは頼りにされてると思うの。」


 


コメント:うん

コメント:へぇ〜!

コメント:自分で言うかw

コメント:俺と真逆やん

コメント:委員長だしね


 


陽キャだ。


 


 


 


「みんなから頼られて動いてるだけで、自分から動いたことがあまりないなと思ったの。」


 


 


 


「私は自分の能力が活かせる場所を探していたの。だから、私をみんなに見てもらいたくて、VTuberになりました!」


 


コメント:すごいやん!

コメント:かっこいい!

コメント:行動力のバケモン

コメント:かっこいい!

コメント:さすが委員長


 


 


 


え、それだったら僕だったら満足ですよ?


 


僕はいちいち悪態をつく。


 


 


 


 


「いつまで待っていても仕方ないから自分から行こうってね!」


 


 


 


 


 


急にドキッとした。


 


 


 


 


キラキラしたその声に。


 


 


 


 


本人は「本当はバイトがクビになったから、お金が欲しかったんだけどねぇ!あはっ!」と流してコメントで色々ツッコまれてたけど。


 


文句しか言っていなかった僕にその言葉がとても心に刺さった。


 


今までは、なんでこんなことになったのか、どうすればいいのかなんて分からず、ただただ逃げていた。


 


でも、こうやって自ら進もうとしている人だっている。この時は自分もそうでありたい、と思った。


 


まるでVTuberを初めて見た時や、誕生日ライブを見た時と同じ気持ちだった。


 


でも、少し違う。これからは自分もVTuberになるんだ。うだうだしてたって何も変わらないし、いつ男に戻れるかなんて分からない。だったら自分もみんなに認めてもらえる、キラキラした存在になりたい。


そして決意した。


 


いつか、ここでこの世界で頑張って頑張って認められるように。


 


 


 


僕は私になることを、私は私になることを。


 


 


 


ダメなことなんてないんだから!!

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