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35話目:学校崩壊

 ガラスが割れ、叫び声が教室にこだまする。

グラウンドから真っ直ぐに2階のリリたちがいる教室へと飛び込んできた異形の怪人は数人のクラスメイト踏み潰しながら立ち上がる。



「か、怪人…?」



リリは目の前で起きた光景に思考が止まる。その異形の怪人―――蛾型怪人(モスマン)に踏み潰されて血を流しているのは、先程リリにショッピングモールの事件を聞いて来た男子であった。そして固まっているリリの背後でガタガタと震えていた二宮(にのみや)が叫び声を上げて教室から飛び出して行く。



「いや、死にたくないっ!」



 それが皮切りであった。

我先にと怪人に押しつぶされたクラスメイトを見捨てて他のクラスメイトたちも二宮と同じく叫び声を上げて逃げ出して行く。モスマンはそんな阿鼻叫喚な様を見ながら、低くくぐもった声で笑う。



「ぐっぐぐ、ぐぐっぐっ」



 リリはその様子を見ながら、混乱しているクラスメイトの陰に隠れながら自分のカバンへと手を突っ込むと、カバンの底にいる銀のスライム(奏矢)へと触れる。



奏矢(ソーヤ)さん、力を貸してっ!)



(わかってる!)



 カバンへ入れられた手を伝い、銀のスライム(奏矢)がリリの身体へと侵入する。瞬き1つに満たない時間、先程まではブレザーを着たリリが居たその場所に銀の弓を手に持ったふりふりのついたピンクのワンピースを着たリリ(魔法少女)が立っていた。



「当たって!」



 リリは銀の矢をたがえるとすぐさまモスマンへと撃つ。笑い声を上げて油断していたモスマンはその銀の一矢を避けることは出来ずに、胸元―――頭部が胸部にあるモスマンにとっては額へと突き刺さる。突き刺さっだけではない。銀の矢はモスマンに突き刺さっても勢いは止まらず、モスマンごと窓ガラスをぶち破ってグラウンドへと落ちていく。



「とりあえず、これで…!」




「きゃあああああ!?」



 ひとまずは教室から怪人を追い出せた、そうリリが思ったのも束の間、今度は廊下からガラスが割れる音と叫び声がこだまする。



「えっ!?」



 リリが扉付近で固まっているクラスメイトを掻き分けて廊下に顔を出すと、そこには7人の戦闘員(シャドウ)が先頭にいた二宮を含むクラスメイトを抱き抱えて外へと消えるところであった。



(追わなきゃっ!)



 戦闘員(シャドウ)を止めようとしたリリはそこで足を止める。咄嗟に振り返ると、そこには先程グラウンドへと叩き落としたはずのモスマンが真っ黒な体液を流し、憤怒の表情を浮かべてキラキラ光る鱗粉を撒き散らしながら突っ込んでくるところであった。

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― 新着の感想 ―
[一言] やっぱ主人公じゃないと倒せないか?
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