vsガーゴイル3体
本当はもう少し早く投稿するつもりでした。
ですが風邪をひいてダウンしていて遅れてしまいました、楽しみにしている方がいたら遅れてしまい申し訳ありませんでした。
皆様、急激な気温変化による体調不良を起こさないようお気を付けください。
「倒せなくとも追い払うだけさ!!」
そういいながら着ているローブを、後方にいるガーゴイルへと向けて脱ぎ捨てる。
上空のガーゴイルも大きく動いたローブへと視線を動かしているのを確認すると、大鳥の背から上空のガーゴイルへ向けて跳ぶ。
ローブへ気を取られていたガーゴイルが一瞬遅れてブレイドに気付く。
「グァッ?!ガガガッ!」
ブレイドの姿を確認して驚くが両腕がないことを見ると嘲笑う、腕の無い人間など恐れるに足らぬ、とでもいうように…。
手に持っている石槍を跳んでくるブレイドに向けて雑に突き出す。
「グガガガ!…ガ?」
ブレイドの顔に突き刺さると思っていた石槍が、ブレイドに刺さる寸前で横へとズレる。
無様に落ちていくブレイドを想定して笑っていたガーゴイルがなぜだ?というように間抜けな声を上げる。
「油断してくれて、ありがとうさんッ!」
突き出された石槍を『左手』で掴みながら横に逸らし、『右手』で掴んでいた短剣をガーゴイルの額へと突き刺す。
「グギャアアアッ!」
ガーゴイルが苦悶の声を上げる。
ガーゴイルのような魔物は物質系と分類され、石像などの物質が魔素を含んだ魔石を埋め込まれることで生まれるのだ。そしてその魔素の供給元となる魔石が弱点となる。
魔物の種類によっては魔石を取り付けるだけでよいものや、完全に中身に埋め込まなければならないものもあるのだそうだが
今回大鳥を襲ってきたガーゴイルには、額に大きめの赤い魔石が見えるように取り付けられていたため簡単に弱点が突けたのだ。
パリン、と音を立てて魔石が砕け散る。
それと同時にガーゴイルの体が足元から塵となっていく。
物質系の魔物は、魔素の供給元である魔石が壊されると基にされた物質も消えてしまうのだ。
「よし…!なんとか行けるな…。」
ガーゴイルが塵になり始めるのを確認し、今の自分でも倒せることを確信した。
『左手』で掴んでいる石槍、魔物から強奪したドロップ品扱いとなり一緒に塵となって消えることはないためまだ残っている。
次のガーゴイルへと視点を移し、狙いを定める。大鳥の後方にいたガーゴイルだ。
ブレイドが跳んできたのだと勘違いしたガーゴイルはローブに石槍を突き刺してしまい、ローブがまとわりついて視界が遮られている状態だ。
「…ふッ!」
そのガーゴイル目掛けて、『左手』の石槍を投擲する。
ローブをビリビリと引き裂き視界を確保したガーゴイルが大鳥を再び見やると同時に
ガツンッ!
と額へと投擲された石槍が突き刺さる。
「よし…ッ!次で最後…」
石槍がしっかりと魔石を貫いたことを見届けてから、大鳥の前方下にいる最後のガーゴイルへと視線を移す。
「しまった!オヤジさん!!」
前方下にいたガーゴイルが想定よりも早く、大鳥へ接近していた。
そして操鳥をしているオヤジさんへと石槍を突き出す。
大鳥はそのまま急降下、突き刺されたオヤジさんはガーゴイルに石槍に肩を貫かれた状態で持ち上げられている。
急いで最後のガーゴイルに向かうため、まだ完全に消え去っていない最初に倒したガーゴイルの残骸を蹴って跳ぶ。
オヤジさんをそのまま連れ帰るつもりだったのか、ガーゴイルがこちらを見て驚愕の表情を見せる。
ほかの2体がやられるなどと微塵にも思っていなかったのだろう。
怒ったような表情を見せ、石槍を振るう。
石槍に刺されていたオヤジさんはそのまま地面へと振り落とされた。
そしてこちらへと羽ばたき向かってくる。
しっかりと石槍を構え、跳んでいるこちらを狙う。もちろん、こちらは空中制御などできない。
「クソ…!間に合うか…?」
振り落とされたオヤジさんが鮮血を散らしながら地面へと向かって落ちていく。
その様子を見ながらガーゴイルに持っている短剣を投擲する。
「ガガァッ!」
舐めるな、と言わんばかりに吠えながら短剣を弾く。
さらに怒ったのかこちらへ向けて加速してくる。一気に石槍で貫くつもりだろう。
ブレイドとガーゴイル、互いに高速で飛(跳)んでいる状態で
接触する。
ゴキンッ!
鈍い音がする。
ガーゴイルは飛んでいた勢いのまま通り過ぎている。
ブレイドは上空から下方へ向けて跳んでいたこともあり、地面へと向かっている。
「間に合え…!」
ブレイドの『手』にはガーゴイルの頭部がある。
「大操鳥業者の人を死なせてたまるか…!」
大操鳥業者はオヤジさんのような、大鳥を操り人や物を生業としている人のことを指す呼び方だ。
そして大操鳥業者は魔物が増えてきたことによって操鳥者が減っていると聞いたことがある。
だからこそ死なせてはならない。
「できるかわからんが、やってみるしかないか…!」
一度跳んだ状態でさらに速度を上げるには、何かを利用しなければならない。
今手元にあるものは先ほどのガーゴイルからむしり取った頭と、ポーチの中の物しかない。
使えるのは頭だけ、それを使ってさらに加速するのだ。
この頭を加速したい方向へ投げ…
それを『掴んで』、体を引き寄せる!
無茶苦茶なことをしていると頭の隅で思いながらも、オヤジさんを助けることを最優先に動こうとした結果の行動だ。助けれれば何でもよい。
地面へと激突する前にオヤジさんに追いつく。
そのまま『左腕』で抱きかかえるようにし、近くに生えている木へ落ちるように軌道を修正する。
木々をクッションとして利用しつつ、オヤジさんへ衝撃が加わらないようにと背中を向けて落下。
バキバキバキバキッ!ドンッ!ドサッ
木々の枝や幹を折りつつ、ひときわ大きめの木へぶつかってやっと止まる。
「ぶっ…はぁっ!」
ぶつかった衝撃により、肺の中の空気が抜ける。
ゲホゲホと咳き込みながら抱きかかえたオヤジさんを見やる。
突き刺された肩の出血が酷い…。
大丈夫か…?
前回が1000文字ほどだったので、今回は2000文字を超えるくらいにしてみました。
読み応えが良くなっていればいいなあ。