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長女として


私は長女なんだから、しっかりしないと。

そう思いながら生きてきた。

私の家はいわゆる母子家庭というやつで、私に手伝えることならなんでもやった。

家族のため。母と妹の為と思うと、頑張れた。

「お姉ちゃん、ジュース買ってきてー」

「はいはい、サイダー?」

「それそれ」

妹、瑠宇の多少のわがままも聞き入れる。

「行ってくきます」


少し歩いた所にコンビニがあるので、そこで買う。

「110円になりまーす、ありがとうございましたー」

間延びした声。

なんで私がこんなことしなきゃいけないんだろうということはたまにあるけど、苦ではない。

夜の道を1人で歩く。

夜風が冷たい。

でも、この時間帯が一番好きだったりする。


「買ってきたよー」

「ありがとー……ってこれじゃないって!今好きなサイダーはあれなの!」

「あれって何?」

「もういい!自分で買ってくるし!」

バンっとドアの音がうるさい。


「待って!」

追いかける。

夜道は危ない。

「ついてこないで!」

視力の悪い妹が行くのは危ないと思ったのだ。

せめて、メガネを持っていくべき。


「危ないよ」


「お姉ちゃんは過保護過ぎるの!」


後ろを振り返って叫ぶ瑠宇。


キキキー

トラックが目の前に迫る。


「危ない!」

私は走った。

妹を横につきだおす。

赤い……

自分の血か、瑠宇は大丈夫かな……


「お姉ちゃんごめんっ、ごめんねえっ」

瑠宇がひくっ、ふくと涙を流す。

(なか……ないで)

声が出ない。

手で拭ってあげたいけれど、手も動かない。


目の前が暗転する。

今までのことが走馬灯のように流れる。

ああ、私死ぬんだなあ。

死んじゃうのか。母と妹を置いて、ごめんね……。





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