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怠惰な召喚  作者: 魔神夜
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一応最終話

「それではただいまより決勝戦を開始したいと思います!」


その言葉に観客席はワッと沸いた。


そう、そんなこんなでやってまいりました決勝戦。俺たちの前に立ちこれから戦う相手はドリルとフェンリルだ。いやお前ら準決勝どうしたって思うだろ?俺もそう思ったんだが控え室に戻って少ししたらまた来いって言われていったら相手を秒殺したらしいドリルとフェンリルの姿があってそのまま決勝になった感じ。


うん、ドリルの準決勝の相手誰だか知らないけどかわいそうに……。


「ピーチさん!今日こそ以前の屈辱を晴らさせていただきますわ!」


「ふんっ!また私が勝たせてもらうわよリーシャさん!」


二人はそう言葉を交わすとやや後ろに下がり、リングに残ったのは俺とフェンリルだけになった。戦闘準備オッケーといわんばかりの表情を浮かべてこちらを見るフェンリル。心なしか前よりも強くなってる気がする、無粋なので瞳は使わない。


「フェンリル!遠慮は必要ありませんわ!最初から全力でやりなさい!」


ドリルの命令を受けたフェンリルはその場で上空を見上げると大きく方向をあげた。するとどういうことでしょう!なんと私の足元から小さな風の渦が広がり最終的には私の周りを囲むかのように竜巻ができたではありませんか!……このノリ苦手かも。


まあそれはともかく俺の周りには竜巻が起こりこのままでは行動ができなくなってしまうってことだ。竜巻はリングの石やらなんやらを巻き込むようにしている。当たったら痛そうだ。


「まっ、全部吹き飛ばせばいいんだがな」


今回収納から取り出すのは緑色の柄に青い刃の薙刀……名を風切り。その名の通り薙げばどんな強風をも切り捨てると言われる武器だ。


名付けたやつもうちょい捻れよ、俺は結構好みだけどさ。


「はっ!」


一を書くように薙刀を横に振るうと俺の回りを取り囲んでいた竜巻は嘘のように消え失せた。残っているのはそよ風だけだ。


開けた視界を見渡してみると最初と変わらない位置でこちらを睨み付けているフェンリルを見つけた。


多少は見映えとかを気にした方がいいのかもしれないが面倒なのでさっさと決めてしまおう。


地面を蹴りフェンリルに肉薄すると同時に袈裟懸けに刃を振るうと、驚くほどスムーズに両断できてしまった。


なんだこれは……前戦ったときよりも手応えが無さすぎる、プリンかって言うくらいだ。


「っ!」


不意に感じた気配を感じ横に飛ぶとさっきまで俺がいた場所にフェンリルの巨大な顔があった。その顔を見るにおそらく噛みつこうとしたんだろう。


油断していたからか気配を感じることができなかった、それにさっき切り裂いたほうも気になる、おそらく分身だろうが。


「破られてしまいましたか……ですがまだです!不意打ちが成功しなかったのは痛いですがまだまだ勝負はこれからですフェンリル!」


俺が避けたのをみたドリルがなにやら叫ぶ、それと同時に一体だったはずのフェンリルが一体、また一体と増えていき俺を囲むほどになった。


「これだけいればいくらあなたでも辛いはずです!やりなさいフェンリル!」


全てのフェンリルから俺に対して風の刃が飛んでくる。とてもじゃないが避けれる量じゃないため、先んじて前へ踏み込み、風切りで刃を切り裂き道を開くと一気にそこへ走り込み攻撃をかわした。


次の瞬間には俺のいる場所付近にいた三匹のフェンリルが牙をだし、一斉に飛びかかってきた。こうも怖い顔が一斉に近づいてくると幼子は泣くと思いまする。


風切りで一閃し全て切り裂くも手応えがなくただ霧散していくだけだった。やはりフェンリル本体が風で作ったレプリカのようだ。


サクサクと残りのフェンリルも倒し残るは最後の一匹となった。これまで倒した奴らは一切手ごたえがなかった、残るはこいつのみよっぽど俺は運が悪いんだろう。


「終わりだなフェンリル」


「ガルルッ」


目の前にいる最後のフェンリルに得物を突きつけながらそう言い放つ。かっこいいなこれ、マジ自惚れ。


フェンリルも鋭い瞳でこちらを睨みつけてくるが攻撃を仕掛けようとはしてこない、どうやら諦めたか?


そのままゆっくりとフェンリルに近づくとそのまま切り伏せた。……だがおかしい。最後の一匹だったはずにこいつもほかの奴と同じで手ごたえがない。


「かかりましたわねっ!フェンリル!」


「ガウッ」


「っ!」


突如上からフェンリルがその巨体のまま俺に向かい落ちてきた。風切りで受け止めたが全体重を乗せた攻撃を食らい吹っ飛んでしまう。


「……くっそっ」


風切りを地面に突き立てて勢いを殺すことで何とか持ちこたえることができた。おそらくあの本物のフェンリルは風を操り上でずっと待機していたのだろう。それで俺が油断した瞬間に攻撃を仕掛けてきたと……舐めてた俺のミスか。


普通に警戒していればこんなこと気づけたであろうに格下だという意識と一度勝ったということも含めていろいろあって完全に油断していたからだろう。こんなんレイズやアティスに見られたら笑われそうだ。


「危ないわね!ちゃんとしなさいよ!」


現に後ろからも叱責の声が聞こえてくる。……少しは真面目にやるか。


「悪かったなフェンリル。ちょっと油断してたみたいだわ、ただこれからは真面目にやるからよ」


完全に力を出すと周りを巻き込んでしまうだろうから流石に手加減はするがさっきまでとは一線を画す力を出そうじゃないか。


「乱風斬……」


風切りの柄を地面につけそうつぶやく。するとフェンリルの周りに四つの細長い竜巻が発生し、さらにその間を薄い風がつなぎ長方形でフェンリルを囲むようになる。


「っ!避けなさい!」


「ガルルッ!」


フェンリルを囲った瞬間四つの竜巻からそれぞれ風の刃が一つずつフェンリルめがけて飛んで行く、しかしそれはドリルの叫びによってかわされ、風の壁にぶつかった。……瞬間刃は全てが二つに割れ再びフェンリルに襲い掛かった。


再びフェンリルは回避行動をとるもうち二つが当たって若干の切り傷ができていた。またフェンリルに当たらなかった刃が再び壁に当たり再度フェンリルへ向かって行く。その中はまるで刃の嵐のようになっていた。


フェンリルもあきらめず懸命に増え続ける風の刃をかわそうとしている。だが完全にはかわし切れておらず避けるだけでも精一杯のようだ。


「風十閃」


風切りを十字に操り目の前に十字でできた風の刃を作ると最後に風切りでその中心を思い切り押し込んだ。すると勢いよく刃が飛んでいきそのまま直進方向にいたフェンリルに直撃しその体を四つに切り裂いた。


光りの粒子となったフェンリルがドリルの召喚石に吸い込まれるのを確認すると乱風斬を解き、風切りを収納へ戻した。


「リ、リーシャ選手の召喚獣の戦闘不能を確認!よってこの勝負ピーチ選手の勝利です!」


ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!


「よくやったわあんたっ!」


司会さんの言葉と響きわたる歓声の中ピーチがこちらにかけてきてそのまま抱き着いてきた。


「重い、離れろ」


「なっ!あんたってやつは……」


俺がそういうと顔をリンゴのようにしながらゆっくりとその場に降りた。


「お疲れさまでした。ピーチさん、アレスさん」


「リーシャさん……」


そんな俺たちの前にいつの間にか近づいてきていたドリルが話しかけてきた。


「完敗です、不意を突いたときに勝てるかと思ったのですがその後は何もできませんでした」


「まぁ、そう気を落とすなフェンリルもなかなかだったぞ」


「あそこまで一方的にやられてそういわれても何とも言えませんわね」


「そうよ、それじゃ煽ってるみたいじゃない」


本心だったんだけどな。正直油断してたのに喝を入れられた感じになったし。


「まあそれはそうと……改めて優勝おめでとうございます」


「ありがとう。リーシャさん」


「これで今度行われる対抗試合の一年生代表枠は決定ですわね」


「え?」


……どうやらまだまだ俺は戦う場面があるらしい。

 


まぁ一つでも完結させるってのが目標だったんでこれでよし!(雑さはんぱない)

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