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なんで昔ピーチを無理して惚れさせようとしたのか未だになぞ
「お疲れさまでした」
控え室に戻ってきた俺たちをそう言ってねぎらったのはドリルだった。まぁそれ以外に知り合いがいないんですけど。
「ありがとうリーシャさん。リーシャさんは確か四回戦目よね?」
「ええ、そうですわ。出番があるまでここで待機なのでかなり暇なんですのよね」
一応試合を見ることのできるモニターが付いているためそれで暇をつぶしていたらしいがドリルは俺が勝つと信じて疑わなかったらしく結果が分かっていて話し合う相手もいないんじゃそりゃ暇だわな。
「ほら二回戦目が始まりますわ」
ドリルの声に合わせてモニターを見ると一人の少女と少年が現れた。あれどっちが【A】ランクだったけか……忘れちまったわ。わざわざ見んのもめんどいし。
「どっちが【A】ランクの生徒なんだ?」
「女性の方ですわ」
「ほーん」
どうやら少女の方が【A】ランクらしい、じゃあ少年は【B】ランクなわけか。まぁ頑張って勝ち上がってきてくれ。
「なるほどな、じゃっ俺は寝るから」
「はっ!?この試合に勝ったほうとあんたは戦うことになるのよ!?少しでも相手の情報を知ろうとしなさいよ!」
「どうせ【A】ランクの中に俺を倒せる奴はいないだろうし、そもそも俺は初見攻略が好きなんだよ」
「ぐぬぬ……じゃあもし優勝できなかったらお小遣いは無しだからね!」
「あいよ、それじゃ俺が次戦う時になったら起こしてくれや」
ピーチにそういうと人が誰もいないベンチに寝ころびそのまま意識を手放した。
△▽△▽
「ふんっ!」
「ごううぇっ!」
「やっと起きたわねあんた」
「なんだこの最悪すぎる起こし方は」
「普通にゆすっても起きない方が悪いわ」
こいつ寝ている俺に対して肘を腹に突き刺しておきながらよくそんなことが言えるもんだ。いくら起きなかったからってそんな強硬手段に出るか?普通。
「ほら行くわよ」
「へいへい」
「頑張ってください」
そのままピーチの奴について行こうとしたら後ろから声をかけられる。
「ん?ここにいるってことはお前も勝ったのか」
「ええ、決勝でお会いできるのを楽しみにしてますわ」
「つかお前いたならあいつの事止めろや」
「だってピーチさんあなたを揺らして起きないと見るや否や急に飛び上がって肘を……」
あいつジャンプまでしてたのかよそりゃ痛いわけだ。
「まぁいいや、俺はこれから試合だからもう行くな」
「ええ、ここから見て決勝での勝ちをいただくため対策させていただきますわ」
「おう」
ドリルと話を終えると先にピーチが進んでいった方向に進み合流する。
「遅かったじゃない、何してたのよ」
「ちょっくらドリルと世間話的なのをしてきたんだよ」
「ふーん、まあいいけど、それじゃ行くわよ」
「ほいよ」
リングにでると俺たちと向かい合う位置にはすでにモニターで見た少女が立っていた。やっぱり【A】ランクが勝つ運命なんですかね。
「フッ、そこの男よ」
「ん?俺か?」
「いかにも!これより我のしもべによって地に伏す貴様に先に礼を言っておこうと思ってな。人型である貴様を下すことで我らの強さはより示される!その糧になってもらおうじゃないか!」
「……おぅ」
外見は普通の黒髪ショートの少女だというのになぜか喋り方がおかしすぎて全然内容が頭に入ってこなかった。なんか時折右手を目に当てたり変なポージング取ったりしてるし、何だこいつ。あきれてるのかピーチも変な顔してるよ。
「それではただいまより準決勝第一回戦を開始します!」
そんな司会さんの言葉で俺たちとよくわからん少女の戦いが始まった。
俺の右手が……疼くっ!




