13
ブックマーク1件になってたー!
ありがと名前も知らぬ君←何かこの言葉漫画で見た気がする
<ピーチ>
巨大な音を立てて入ってきた男たちは店にいる全員を一か所に集め始めた。外から見えなくなるようにカーテンを閉め切り私たちを見張るのに一人、入り口付近に一人、さらに店員からお金を奪い取っているのが一人だ。
三人のうち一人は召喚獣ではなく剣を構えており現時点で回復中でフェンリルを使えないリーシャさんとあいつがいない私ではどうすることもできない。召喚主は見た感じ私たちしかいないようで私たちを含めた全員が抵抗せずに従っていた。
「ど、どうしましょうピーチさんっ」
「そんなこと言ったって……」
相手に聞かれないように小さな声でリーシャさんがささやいてくる。私だってこんな現場に出くわすのは人生で初めてだ。あいつが戻ってくればどうにかなるかもしれない!早くしなさいよ!私の召喚獣でしょ!
「あいつが戻ってくるのを期待するしかないわ」
「アレスさんですの?」
「そう、あいつがいれば――――」
「おいそこのお前ら何話してる!」
「「!!」」
気づかれた!私たちを見張っていた男が剣を持って近づいてきた。
「お前らその制服は……あそこの生徒か、おい念のため召喚石をよこせ!」
渋々といった様子でリーシャさんは胸ポケットから取り出した召喚石を目の前の男に預ける。
「おい、お前もだよ!」
「わ、私は持ってないわ!」
「は?何言ってやがる普通召喚主は召喚石を持ってるもんだろ」
「私の場合あいつが言うこと聞かないのよ!」
「はっ!何わけわからないこと言ってやがる、そんなことあるわけないだろうが!これ以上しらを切るなら殺しちまうぞ、そうなる前に早く出しな!」
「ヒッ」
剣を首の横にあてられて思わず変な声が出てしまった。でも本当に私は召喚石を持っていないのに……確かにあいつを見るまで私は召喚獣は召喚主の言うことは絶対に聞くと思ってたわよ。だからこいつの言い分もわかるけどでもないものは無いのに!
早く来なさいよアレス!
「あ~、すっきりしたンゴ~……って何この状況?」
そう願うと今一番頼りになる男の頼りない声が耳に届いた。
△▽△▽
<アーレス>
いやー気分爽快になってトイレから戻ってみれば……何コレ?従業員ほぼ全員と客全員が一か所に集められてて召喚獣やら剣やらを出した数人の男が取り囲む、何ならピーチがピンチ。そして一人はレジから金を……うん、強盗だな!
「おい!何者だお前!」
さっき座ってた場所の近くまで歩いてきてたんだがなぜかさっきまでピーチに剣を向けていた男が声を荒げながら近づいてきた。
「何だてめぇ、トイレから出てきたようだが……その恰好を見るに従者か……」
「えっ、あーはい……そっすね」
違うけどなんか逆らったら面倒なことになりそうだから従っとこ。
「……なるほど。で、お前の主人は誰だ?」
「あー、あそこのピンク髪の奴です」
「ちょっ!」
普通に言った、だって状況かなり悪いしなんか逆らったら面倒くさそうだし別にほとんど嘘ついてないからいいだろ。
「ほー」
なぜか俺の話を聞いた強盗A(仮)がニヤニヤとしながら俺に剣を向けてくる。ちょっ、刃が危ないって。
「なぁお前からも言ってくれよ、あんたの主人がどうしても召喚石を出してくれないんだ。普通なら持ってるっていうのによ、そうすると俺らも不安なんだ。だから――――」
「自分の命が惜しいので助けるために召喚石を出してくださいってな」
そういうと今度は堂々と俺の首筋に剣をあててきた。うん、そういわれてもこいつ俺が召喚石入る?の拒否ったから多分本当に持ってないんだよね。
「いや、無理だってあいつ本当に持ってないだろうし」
「……いいのか?お前の首が飛ぶぞ?」
「いやだからあいつは召喚石持ってないんだって、それにそんなんじゃ俺の首は飛ばんぞ?」
「舐めたこと言ってんじゃねぇぞっ!」
強盗Aは怒った様子で大声をあげるとそのまま俺の近くにあった机を思いっきり蹴飛ばした、するとものの見事にひっくり返るわけでその上に載っていたものすべてが吹き飛び……。
「こっちが手ぇ出してねぇからって調子に乗ってんじゃねぇだろうな!俺たちゃ――――プギャッ!」
「あっ……べぇ」
……やばい、本当はおとなしくしてるつもりだったけど吹き飛ばされるケーキ見てたらイラついておもっきし殴っちゃったわ。まぁ死んではいないだろうが壁に衝突して気絶したのかピクピク痙攣して動かなくなっている。
こればっかりは仕方がない、あんなにうまいケーキを、というか食べ物を粗末にするやつには制裁だ。
「てめぇっ!」
今の惨状を見てか入口を見張っていた強盗B(仮)がこちらを見て叫んできた。
これからもきままにがんばるでー




