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地に立つ者 第三話
「妙ですね」
オペレーター席に腰掛けていた春日井さくらはそう呟き、後ろの方にいる三好秀吉に判断を仰ぐべく、そちらに身体を向けた。
「何がです?」
秀吉は余裕の笑みをさくらに向け、キザっぽい仕草をしながら反応した。
「魔法少女一人で長門を撃墜しにくるそうですよ。なんとも勇ましい少女ですね」
「ほう。また獲物が来たのですか」
「……どうします? 量産型を向かわせますか?」
「いや、私が出ましょうか。また返り討ちにしてあげますよ」
「なら、いいんですけど」
「当然、修理は終わっていますよね?」
「整備主任から報告を受けているので、終わっているはずですよ」
「よろしい」
もう勝利を信じているかのような、そんな自信満々の顔をして、秀吉はブリッジから出て行った。
「たかだか一勝しただけで有頂天ですか。救いようのない人ですね」
秀吉が出て行った方を見やりながら、ぼそっと呟き、オペレーターの仕事を再開した。




