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戦士以上、魔法少女未満の少女達  作者: 佐久間零式改
第五章 勝者は生者にあらず
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勝者は生者にあらず 第二話


「……」


 真希と鳳香はさくらが敵意を露わにしていないのを取り、警戒心を全く出さずに礼儀正しく一礼した。


「お、お姉様! て、敵ですよ!」


 紗理奈だけは、こういった場面に慣れてはいないのか取り乱していたが、


「今戦う気はないようですよ。警戒する必要はありません」


 と、鳳香にたしなめられ、すぐにいつもの紗理奈に戻った。


「で、なぜクーデター軍の参謀さんがここに?」


 真希が何の気なしに言うと、さくらと夏美が同じタイミングで苦笑した。


「元々ここの中等部の生徒でしたから」


「補足すると、私の従姉妹ですわ。できの悪い人ですけど」


 真希達はなんとコメントしていいのか迷い、口ごもった。


「先ほどの話ですが、私が補足させていただくと、量産型ロメルスが撃破された事で私達の勝利はなくなりました。ですが、戦い続けます。戦場には私たちの死地がありますから」


 さくらは屈託のない笑みを浮かべ、あっさりと言ってのけた。


「死ぬことを厭わないのですか?」


 と、鳳香がしっくりとしない顔をして訊ねた。


「私の身体は病気でボロボロです。余命一ヶ月あるかないか程度です。ですから、死に対する恐怖はありません」


「……本当ですか?」


「どうでしょう?」


 曖昧な返答に鳳香はさらに疑問の念を抱いた。


「病院で死を迎えるほど、私は人生を諦めていません。それが答えです」


 その答えを聞いて、鳳香はさくらが心正しき者だということを理解し、これ以上何も問う気が起きなくなった。


「あ、そうですわ」


 夏美がポンと手を打って、何かをひらめいたようだった。


「今日、休校になったことが伝えられていなかったそうで、お昼ご飯が納品されたそうですの。それを皆さんで食べませんか? もしよろしかったら、業者の方々にここまで運んでいただきますわ」


 その提案に対して、誰も反対はしなかった。


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