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弁明してもらったが、勧誘された!

タシューさんは完全敬語口調ではなく、時々普通の口調も混ざります。

「まあ、ここじゃなんだし、僕が座れないから場所を移そう」


 タシューさんは占い師の女性に水晶玉を返し、部屋の外へ連れて行く。

 俺が少し遅れて部屋から出ると、廊下の奥の部屋から片腕が出ていて、手招きしていた。


 俺は軽く警戒しつつも、手招きされている奥の部屋へと進む。

 

 その部屋は、所謂リビングダイニングキッチンというやつで、右手にはあまり使われていないのか、道具もなく、少し寂れた雰囲気のキッチンがあり、正面、左手には三脚の椅子が並んだテーブルと、小さな机を挟んだ二つソファーがある。テーブルは縦横合わせ六脚ずつは並べられる大きさだが、三脚しかなく、ソファーも片方しか使われている形跡がない。


「あれ?」


 ここまで見渡して気づく。

 タシューさんと、占い師の女性の姿が確認できないことを。


 確か、手招きしていた手は左のほうから出ていた筈……。


 少し見回して、気づいた。ソファーの裏から木の板がはみ出していたのだ。


 そこを見ると、案の定、床の一部が外され、地下への梯子が……ゲームか!

 ここ以外どこにも居なさそうだし……。


「はぁ」


 俺は少し小さなため息をついて、鉄の梯子をカツン、カツンと慎重に下りていった。









「――ええ! 本当!?」


「ああ。僕もびっくりしたけどね」


 梯子を下り進んでいると、下のほうから話し声が聞こえてきた。

 下りきると、少し進んで、部屋の扉がある。扉は少し開いていて、中の光が漏れてきている蝋燭や、ランプの橙色の光ではなく、日の光のような白い光だ。


 特に入らない理由も無いので、普通に扉を開けて入る。


「マジか」


 その扉の向こうにあった空間は、寂れた部屋ではなく、暖かい日光が差し込む自然の風景だった。

 いや、違う。ここは外の自然な風景を模した空間であった。


「地面は土だが、一定まで進むと、透明な壁に阻まれて進めない。映し出されている感はなく、立体感がある……何だここ」


 俺が佇んでいると、十メートルほど先にあるキャンプセット、もしくはピクニックセットのベンチに座っているタシューさんに急かされたので、駆け足で向かう。


「よし、ここならいいでしょう。あ、レト君はそっちに座ってください……はい! では先ず自己紹介からですかね!」


 と、タシューさんが爽やかな笑みで手を叩く。

 

「えっとですね。こちら、レト・アルトレア君。教えたと思いますが、僕が家庭教師を務めていた先の教え子です」


 と、タシューさんが女性に向かって話し、俺に向き直って続ける。


「こちらはリズ・ビスコットさん。一応、仲間なので、勘弁してあげてください」


「さっきはごめんね。リズお姉さんって呼んでね!」


「こちらこそ、すみませんでしたリズさん。レトでお願いします」


「さ、さらっと流された……」



 と、定型の挨拶をすませ、お互いに納得した。


「いろいろ聞きたいこともあるでしょうが、先に言っておきますが、リズさんや、ほかの仲間のなかで、種族、性別、生い立ち、年齢、秘密などに関して、一切の偏見を持たず、皆同じく接します。個人的なことでない限りは隠し事をしなくても大丈夫です」


「俺が、クォーターエルフで、両親を探している事も言っていいんですか?」


「もうそれ言っちゃってるじゃないですか。あはははは」


 と、ノリが良いタシューさんはお腹を抱え笑う。


「いや、ごめんねー。私もタシューからどんな人物が来るかは聞かされてたけど、まさか学生とは思いもしなくて……容姿についても聞いておけばよかったよ。あ、どんな人物かってのは性格とかの話ね」


「それで勘違いして俺を襲ったと……。ん? え、なんで襲われたの? 俺。人違いだったらどうしてたんですか」


「い、いやーあははは」


 リズさんが苦笑いすると、タシューさんが落ち着いて、引き継ぐ。


「彼女は少し早とちりなきらいがあってね。それについても話したいんですが……先ずは君にここへ来てもらった件について少し。レト君、君には僕たちの仲間になってもらいたい」


 タシューさんの真剣な表情に、俺は思わず唾をごくりと飲んでしまう。


「先ほども言いましたが、仲間内では気軽に会話できるし、何かあったら相談もできます。ただ、秘密組織なので、守秘義務もあります。今から僕が話そうとしていることはその守秘義務に抵触してしまうので、話せません。ただ、レト君に仲間になってもらえるのなら、話せますし、何かとお役に立てることもあるでしょう」


 本音をいうと、レト君に入ってもらえたら、とても助かるのです。と、タシューさんはほほ笑む。


「入ります……ただ、俺自身、無理に母さんと父さんを探すつもりはありません。心配はありますが、無事であるならきっと大丈夫です。あと、今の学園生活も楽しく過ごしているので、やめろと言われてもやめるつもりはありません……それでも受け入れてくれるのであれば、喜んで参加させていただきます」


「驚いた。てっきり少しは悩むのかと思っていました。……では、ようこそ」



 罪の(フォール・トゥ)宴会場(パーティー)へ――






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