再会したクラスメイト達は、相変わらず変わっていた! 後編
「そ、それは良かったな?」
「ああ。父さんと母さんも元気にしていたのだ!」
少し息がつまってしまう。俺も父さんや母さんと会いたい。その為にもまず――。
「次は俺らでいいか?」
俺が少し考えに耽っていると、和樹が喋り出す。
途中でアインの補足が入ったりした。
……うん。絶対その街って俺がこの前まで居てた街、グレアックだ。スラムや貴族街には用がなくて立ち入らなかったが、絶対と断言できる。特に街に入るときなんか俺の追体験じゃねーか!
グラフィルさんも相変わらず疲れてそうだな……よし、今度行くときは手土産でも持って行く事にしよう。
「――って感じだ。質問あるか?」
と、説明を終えた和樹は締める。
「一応……というかほぼ確認なんだが、さっき言ってたギルマスの名前は……」
「ガレッタ・オルベイと言っていた……ん? どうかしたのか、レト」
俺が質問の答えを聞いて無意味に溜め息をつくと、和樹が顔を覗き込んできた。
「いや、俺が冒険者やってたの……その街だったから」
「そうか……あ――」
「どうかしたか?」
今度は少し考え込む様に顎に手を掛ける和樹の顔を俺が覗き込む。
「――赤黒い髪……レト、お前……熊のエプロンに心当たりは?」
確かに俺の髪の色はそんな感じだが……表現の仕方が血と同じなので、せめて赤っぽい黒、黒っぽい赤と言って欲しい。因みに父さんは黒、母さんは黄色で赤も少し混じっている感じだ。
「え? いや、熊のエプロンか……ないな!」
「そ、そうか……じゃあ質問はこのくらいで、次に移ろう」
「ああ。俺達のチームだな」
「あたしも少し興味があるぞ! レト君の魔法は興味深いからな、話を聞くだけでも勉強になりそうなのだ!」
と、急かして来るので、適当に話し始めた。
「そうだな……まず俺達が飛ばされたのは何処までも続くようなでっかい森でな――」
話しているうちに体調不良グループも戻って来て、残りも交えて、話を終えた。
「――んで、戻って来たんだけど、意外に俺らのチームが一番難易度高かったのかもな……」
「間違いないな! あたしや和樹君とこはまだ人里だからな! いや、和樹君のところが楽だったとは言わないぞ?」
と、キューテが言い、和樹がそれを肯定するように頷く……疲れてあまり喋っていないドラヴィスは何故か震えている。
「ああ。この中でなら一番怪我したのは俺だろうからな。特に――」
「アリスちゃん、後でお話する」
和樹が何か言おうとするが、横からマインが出てきて俺の隣でちょこんと座っているアリスに話し掛ける。
心なしか和樹の顔が引き吊っている。
と、教室の扉――誰かに蹴飛ばされ壊れていない方――が開き、ロイルとレミルが入って来た。
「ご、ご心配をお掛けしましたの……」
と、レミルが今にも倒れそうな足取りで言う。
「はぁ。だから言ったじゃん……もうちょっと安静にした方が……」
「い、いえ。それには及びませんわ。こ、これしきの事……あの地獄に比べれば……うぅ」
ロイルが宥めるが、レミルは意地があるのか戻ろうとしない。そのまま席に着くが、口に手を当てて気分が悪そうにしている。
うん、どうせだから治験者になってもらうか……!
俺はアイテムボックスから一本のポーションが入ったビンを取り出す。
「レミル、気付け薬だ飲め」
俺が放ると、レミルは蜘蛛の糸を掴むようにキャッチし、コルクを抜いてそのまま口に流し込む。
「む……むぐ!?」
一瞬苦しそうな声を発し、俯く。流石に分量を間違えるほど俺は馬鹿じゃないぞ。あ、でもなんか適当に――ごほん。勘で――ごほんごほん。なんとなく――作ったからな、うん。流石に命は助かると思うが……。
「だ、大丈夫か……レト、これは何の薬だ?」
和樹が恐る恐る訪ねるが、返事はなく、俯いてむぐむぐ言っているので、空のビンを指差し、俺の方を向く。
「言ったろ、気付け薬だ。ただ手製ではあるが……」
「だ、大丈夫ですよ和樹さん! 私、この前、ちゃんとレト君が調合してるのを見ましたから!」
和樹が少したじろいだと感じたのか、アリスがフォローしてくれる。
「あ、でも変な葉っぱとか根っことか混ぜて得たいの知れない物になって失っぱ――いしてました、はい」
「……はい」
訂正、フォローではなく、全員の不信感を高め、和樹に睨まれ、レミルのむぐむぐ音が増し、俺の傷口に塩を塗り込んできました、はい。
「むぐ……む!?」
と、レミルが喉に詰まらせた様で自分の胸を叩く。俺は慌てて水のビンを取りだし、レミルに渡した。
レミルはそれを一気に飲み、はぁはぁと息を荒らげる。
「はぁ……はぁ。あ、ありがとうございますの。命の恩人ですの……助かりましたの……」
と、言って机に突っ伏す。今度は何事かと思えばただ寝ているだけの様だ。
「どっちなんだろうな……?」
「ん?」
和樹が浮いた腰を落ち着け、腕を組んで言う。
「命の恩人って、気付け薬の効果の事か、危うく気付け薬で死に――」
「待たせたな。配布物と説明があるから机を戻して全員前を向け!」
危うく……本当に危うくフェーン先生が教室へ入って来た。あと数秒遅かったら疑いの目で見られていたにちがいない。セーフセーフ。
和樹は一際大きな溜め息をついてから、ははは……と、乾いた笑い声をだしながら机を運ぶ。
なんかよく分からんが本人よりちゃっかり隣の席に移動している姉妹が笑いを抑える位楽しそうなので良いのだろう。
因みに席順がごちゃごちゃになって、席替え状態になったので、席順を確かめる。
レト ロイル キューテ
アリス レミル ドラヴィス
アイン 和樹 マイン
こんな感じだ。俺は一番前の席の左側。
教室は右手に扉(故障中)があり、左手に窓がある。
少し手間取ってしまったが、それぞれの席に落ち着き――レミルは復活した――前を向く。
フェーン先生は配布物が入っているであろう紙袋を教壇に置いてから、今回の事についての説明を始めた。




